うる星やつら―アナザーワールド― エピソード6 (Page 3)
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 「なんや、騒がしいなぁ」と言いながらテンが茶の間に入って来た。あたるはその声に振り返る
 「な、な、なんじゃ!このガキは!!」と声をあげた。そして、ふわふわと空中に浮いているテンをマジマジと見ると
 「ち、宙に浮いとる……いったいどんな仕掛けだ」と言うとテンを鷲掴みにして、何か仕掛けが無いかとクルクルと回した。あたるに手の上で回されたテンは
 「あわわわわわわわ」と言って目を回し、あたるに
 「こ、こらー、や、やめんか〜い」と言った。あたるは何も仕掛けが見つからずテンの顔を自分の方へ向けると
 「おい、お前は何で飛んどるんじゃ」と言った。てんは、そんなあたるに
 「このアホー、何を今更!わざとらしい真似すなー!」と言うと、あたるに向かって火を吹いた。あたるはテンの火炎放射をもろに喰らい、頭からプスプスと煙をあげた。あたるはテンを鷲掴みにしたまま黙って台所へ行くと、フライパンを持ち出し、もう一度茶の間に戻ると茶の間のサッシを開け、テンをボールに見立ててフライパンを振り抜き、テンをフライパンで上空に打ち上げた。上空で星になったテンを見ながら
 「口から火を吹くとは、なんちゅう非常識なガキじゃ」と言い、茶の間を出ようとすると、あたるの母が
 「全くお前達は、毎日毎日よく飽きないわね」と言い、更に
 「ご飯は食べないの?」と聞いた。するとあたるは
 「あぁ、今日はもう学校行く」と言うと、2階に行き制服に着替え学校に向かった。
 その頃、あたるにフライパンで打ち飛ばされたテンは、ラムのUFOに戻りながら
 「あのアホが、絶対仕返ししちゃるど」と言ってUFOの中に入ると、そこにはラムが大きなモニターの前で寝ていた。そんなラムに
 「なんや、ラムちゃんここで寝てたんかいな」と言うと、自分のオモチャ箱の所に行くと
 「ラムちゃん起こさん様、静かにせんとな」と言いながら、オモチャ箱の蓋を開けると
 パーン!ピロピロピュ〜!ポンポンポン!
一斉に、中のオモチャが動きだし、テンは
 「あわわわわわわわっ」と慌ててオモチャのスイッチを切った。あまりの音に、さすがにラムも目を覚まし
 「あ、テンちゃん。どうしたっちゃ?」と眠そうに目を擦りながらテンに声をかけると、テンは一瞬ビクッとなりラムの方を向くと
 「あはは、ラムちゃん目ぇ覚ましたんやなぁ」と言った。するとラムは
 「あんな大きな音がすれば、誰だって目を覚ますっちゃ」と言いながらテンの所に行き
 「ところでテンちゃん、何してるっちゃ?」と言い、テンの手元を覗き込むとテンは
 「あわわ、こ、これは」と言って、手に持った何かをサッと隠した。しかしラムはそれを見逃さず、テンの顔を見ると
 「テンちゃん、何隠したっちゃ?」と聞いたがテンは
 「な、何でもあらへん、オ、オモチャや」と言うと、引きつった笑顔を作った。その顔を見たラムは
 「だったら、それを見せるっちゃ」と笑顔で言った。しかしテンは
 「ほ、本当につまらん幼児のオモチャや」と言って、隠したまま見せる気配は無い。するとついにラムは
 「いいから見せるっちゃー!!」と笑顔から一変した。ラムの迫力にテンもつい
 「あ、はい……」と隠していた物をラムに見せた。それを見てラムは
 「これは、〈みんなで変身愉快な動物園銃〉だっちゃね?」と言うとテンは、黙って頷いた。するとラムは
 「こんな物、何するっちゃ?」とテンに聞くと、テンは
 「こ、これでアホのあたるを動物に変えたるんや」と言った。ラムは呆れながら
 「もう、何でテンちゃんとダーリンは仲良く出来ないんだっちゃ?」と言うとテンは
 「今日と言う今日は、絶対許さへんのや!あのアホ、ワイの事クルクル回した挙げ句フライパンで叩きよったんや!」と言うと、ラムから〈みんなで変身愉快な動物園銃〉を取り返した。ラムは、そんなテンに
 「どうせそんな事したって、またダーリンに仕返しされるっちゃよ。でも、ダーリンもダーリンだっちゃ…………」と言って、ラムはある疑問を持った。ラムは
 (ちょっと待って、今のテンちゃんの話はいつの事だっちゃ?テンちゃんの様子からすると、今日の事みたいだけど……)と思うと、テンに
 「てんちゃん、今言ったダーリンにクルクル回されてフライパンで叩かれたのって、いつだっちゃ?」と聞くと、テンは
 「いつって、ついさっきやけど、それがどないしてん?」とラムに聞くとラムは
 「ううん、何でもないっちゃ!てんちゃん、ありがとう」と言うと、勢いよくUFOを飛び出した。ラムは、あたるの家に向かいながら
 (ダーリン、帰って来れたんだっちゃ!)と思い、全速力で飛んだ。そして、あたるの家に着くとあたるの部屋の窓から中に入ったが、部屋の中には誰も居なかった。ラムはすぐに部屋の時計を見たが、いつもあたるが学校に行く時間より随分早い。ラムは部屋を出ると一階に降り、茶の間に向かった。茶の間では、あたるの母が朝食の後片付けをしていたので、ラムは

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