うる星やつら―アナザーワールド― エピソード9 (Page 2)
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 面堂がタコ達の居る部屋に入ると、タコ達が顔を出した。1匹、2匹、3匹、4匹……10匹……20匹……そのタコの数に面堂は
 「な、な、何だ!この数は!!」と思わず声をあげた。するとそれを聞いた黒服は
 「え?足りませんか?」と言った。面堂は、黒服の言葉を聞いて耳を疑い
 (なに?足りないだと?……こっちの世界では、この数は普通なのか)と思い、咄嗟に
 「い、いや、大丈夫だ。僕の数え間違いだったみたいだ」と言うと、無造作に池の中に大量のアサリを流し入れた。それを見て黒服は
 「……そんな食事のあげかた……若らしくもない」と言い、面堂の顔を覗きこんだ。すると面堂は
 「き、今日はこんな気分なのだ」と言い、さっさとタコ達の部屋を後にした。
 ーーーーパラレルワールドーーーー
 その頃、パラレルワールドの面堂も屋敷に到着し、中に入ると黒服が近付いてきて
 「若、お帰りなさいませ」と言った。面堂は
 「うむ、ではすぐにタコ達に食事を与えるぞ」と言ったが、黒服は
 「え?タコに?」と戸惑いを隠しきれない様子だった。それを見た面堂は
 「ん?どうした?それより、タコ達の食事はどうした」と言うと、黒服は
 「若、急にその様な事言われましても……」と言った。それを聞いた面堂は
 (なんだ?僕が帰ったらタコ達に食事を与えるのは、毎日の日課なのに……)と思ったところで、更に
 (ハッ!まさか、こちらの世界の僕はタコ達に食事を与えないのか?)と思った。面堂は
 「き、今日は、タコ達に食事を与えたい気分なのだ、早急にタコ達の食事を用意してくれ。僕は、先にタコ達の部屋に行っている」と言うと、さっさと歩き出した。
 面堂はタコ達の部屋に着くと、思わず
 「な、な、何だ!この部屋は!」と声をあげた。なんと、タコ達の部屋にはあの大きな池は無く、いくつかの水槽が置いてあり、数匹のタコが居るだけだったのだ。そんな光景を見て面堂は
 「な、なんと言う事だ…………我が面堂家にとって、家紋のヒョットコに酷似したタコは、神聖極まりないもの。それを、この様な扱いをするとは!」と言うと、更に
 「おい!誰か居らぬか!」と叫んだ。すると、すぐに黒服がやって来て
 「若!どうなされました!」と言ったが、面堂は 
 「どうしたも、こうしたも有るか!タコ達をあの様な水槽に入れておくなど、愚の骨頂!今すぐ、タコ達専用の池を造り快適な環境にしろ!」と言った。黒服は戸惑いながらも
 「わ、わかりました!」と言うと、急いで部屋を出て行った。面堂は、すぐにタコの入った水槽に近づき
 「この様な所に閉じ込めて、すまなかったな」と言ったが、妙な違和感を感じた。それは、タコと意志の疎通が出来てない気がしたからだ。面堂は、再びタコに
 「ん?どうした?こんな所にずっと居たから、怒ってるのか?」と言ったが、面堂はタコから何も感じとれず
 「どうしたと言うんだ……僕にはお前達の気持ちが分からなくなってしまった……」と言った。それを部屋の入り口で見ていた黒服は慌てて
 「た、た、大変だー!若が、若がおかしくなってしまわれたー!」と言いながら、走って行った。
   ーーーー元の世界ーーーー
 元の世界では、あたるとラムがちょうど家に着いたところだった。あたるは玄関を開けると、いつも通りに
 「ただいまー」と言い、ラムも
 「ただいまー」と言った。すると、すぐにあたるの母が出てきて
 「あぁ、お帰り。全く、いつまでほっつき歩いてるのよ。すぐご飯にするから着替えてらっしゃい」て言うと、再び台所に戻った。あたるとラムは階段を上がると、あたるの部屋に入った。すると、あたるの部屋ではテンがオモチャを拡げて遊んでいたが、ラムがそれを見て
 「ほらテンちゃん、もうすぐご飯になるから片付けるっちゃよ」と言うと、テンは
 「なんや、せっかくええ所やったのに」と言った。すると、そんなテンにあたるが
 「人の部屋で勝手に遊んでる奴の言葉とは思えんな」と、制服を脱ぎながら言い、テンも、あたるに
 「今片付けとるやんか、文句言いくさんな」と言った。あたるが、着替え終えて
 「本当に、可愛くないガキだなぁ」と言うと、テンも
 「別にお前に可愛がられよう思てないわい」と返す。そんないつもの光景が、そこには有った。そんな2人を見てラムは
 (やっぱりダーリンは、どっちの世界でも同じだっちゃね)と思い、笑った。それを見たあたるは
 「何笑っとるんだ?」とラムに聞くと、ラムは
 「あ、何でもないっちゃ」と言った。あたるは
 「ふ〜ん、なら下行って飯にしよう」と言って、部屋を出て階段を降りた。ラムとテンもあたるに続いて下に降りると、茶の間に向かった。茶の間では、あたるの父がテーブルの前であぐらをかき新聞を読んでいる。あたる、ラム、テンが席に着くと、ちょうどあたるの母が夕食を運んで来た。
 あたるの母が席につくなりあたるは
 「頂きまーす」と言うと、ガツガツと食事を始めた。あたるは、ラムを見て

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