「だっちゃね、でもウチに考えがあるっちゃ」と言って、ニコリと笑った。その時、授業開始前の鐘が鳴りみんな慌てて教室に戻った。
　そして午前中の授業が終わり、昼休みになるとラムがあたるに
　「ダーリン、ウチこれからサクラの所に行って来るっちゃね」と言った。あたるはラムの方も見ずに
　「ああ」と言った。ラムは、あたるの態度に戸惑いながらも
　「じゃぁね、ダーリン」と言って、窓から飛び去って行った。それを見ていたメガネは
　「よし、今だ」と言うと、面堂とパーマ、カクガリ、チビは頷き、あたるに近づいた。あたるの所に行くとメガネが
「おい、あたる。ちょっと顔貸してもらおうか」と言って、あたるを無理矢理に時計搭屋根裏部屋に連れて行くと、あたるは
　「いったい何だ！俺をこんな所に連れ込んで！」と言った。するとメガネは
　「お前に1つ聞きたい事が有る」と言い、メガネを外し息を吹きかけレンズを拭いた。あたるは、そんなメガネに
　「いったい何だっちゅうんじゃ、俺は早く飯が食いたいんだ！用が有るなら、さっさとしてくれ」と言った。メガネは、外したメガネをゆっくりかけると
　「では、単刀直入に聞こう。お前は、向こうの世界に帰りたいか？」とあたるに聞いた。すると突然思いもよらない事を聞かれたあたるは
　「な、なんだ藪から棒に」と答え、メガネは更に
　「いいから答えろ、帰りたいか、帰りたくないか」と言った。するとあたるは
　「……そんな事聞いてどうするんだ？」と逆に聞き返した。メガネは、くるりとあたるに背中を向け
　「分かった、正直に言おう。ラムさんには悪いが、俺達は向こうの世界に戻るつもりは無い」と言うと、あたるは
　「なに？」と言った。メガネは、再びあたるの方を向くと
　「そこで、お前の気持ちを知りたい訳だ。お前がラムさんの一番近くに居る。悔しいが、ラムさんはお前……いや、元々こちらの世界に居たお前の事で頭が一杯だ。だから、お前がラムさんを説得すれば俺達は、この世界に残れるかもしれん」と言った。メガネの言葉を聞いたあたるは
　(こちらの世界に残れる？……そうすれば、ラムともずっと一緒に居られる訳か……)と思い
　「しかし、そう簡単にラムが納得すると思うか？」と言うと、それまで黙っていた面堂が
　「とにかく、説得してみてくれ。成功したあかつきには、牛丼1年分やろう」と言った。それを聞いたあたるは
　「なに！牛丼1年分！ほ、本当だろうな！」と言って、面堂に詰め寄った。すると面堂は
　「ああ、武士に二言はない。ただし、お前がどうしても向こうに帰りたいと言うなら、話は別だが」と言って、ニヤリと笑った。しかしあたるは
　「ふん、牛丼1年分、忘れるなよ」と言うと屋根裏部屋から出て行った。
　あたるは、教室に向かいながら
　(にゃははは、これで牛丼もラムも俺のもんじゃ！)と思い、不敵な笑みを浮かべた。
　一方ラムは、サクラの家でサクラと錯乱坊と一緒に入れ替わりの計画を練っていた。そしてサクラが
　「ところで、連絡が取れるのはいいが、どうやって入れ替わるのだ？」とラムに聞くと、ラムは
　「それなら、簡単だっちゃ。向こうとこっちで、喫茶ピグモンの前に集まるだけだっちゃ」と言うと、サクラは
　「なに？ただそれだけか？」と信じられない様子だった。ラムは
　「そうだっちゃ。そうすれば、喫茶ピグモンの前に有る空間の歪みから、お互いに引かれ合って、入れ替わるっちゃ」と言った。するとサクラは
　「なるほど、良く分からんがとにかく、双方の世界の喫茶ピグモンの前に全員集まれば良いのじゃな？」と言い、ラムも
　「そうだっちゃ。だからチェリーに向こうに行ってもらってピグモンに集まる時間を決めたいっちゃと言った。そして、更に
　「実は、入れ替わりが済んだら空間を閉じないとなんだけど、それをサクラとチェリーに手伝って欲しいっちゃ」と言うと、サクラは
　「私たちに出来る事なら、遠慮なく手伝わせてもらうが、何をすれば良いのじゃ？」とラムに聞くと、ラムは
　「二人には、空間の歪みに向かって霊力を放出して欲しいんだけど、その事でちょっと聞きたいっちゃ」と言い、サクラは
　「ん？なんじゃ？」と言うと、ラムは
　「実は、空間の歪みが拡がった理由が、あそこでサクラとチェリーが霊力をぶつけた事が関係してるみたいなんだけど」と言い、それを聞いたサクラは
　「ちょっと待て、わたしはあそこで叔父上とやり合ったら覚えは無いが……」と言った。するとラムは
　「やり合ったのは、向こうに居るサクラだっちゃ。それで聞きたいんだけど、ここに居るチェリーは、どっちのチェリーだっちゃ？」と錯乱坊に聞くと、錯乱坊は
　「儂は良く分からんが、あの喫茶店の前では儂等二人とサクラとでやり合ったぞい」と言った。それを聞いたラムは
　「え？チェリーは二人だったっちゃ？……そう言えば、サクラがチェリーが二人になったって言ってたっちゃ……」と言い、更に