うる星やつら―アナザーワールド― エピソード11 (Page 3)
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 「なぁチェリー、お前、自分の事だから何処に居るか見当つくんじゃないのか?」と言うと、錯乱坊は
 「まったく、仕方ないのう。明日の夕方4時までには、待ち合わせ場所まで連れて行くから、心配するでない」と言った。そして、明日の夕方4時に喫茶店ピグモンの前に集まる約束をして、それぞれサクラの家を出た。

 その頃、元の世界のラムは学校も終わりランの宇宙船に向かっていた。ラムは、ランの宇宙船に着くと、いつもの様にドア横のチャイムをならした。すると、ランがドアを開け顔を出し
 「あら、ラムちゃん。どうぞ入って」と言って、ラムを中に招き入れた。
 ラムは、中に入ると
 「ランちゃん、とうとう明日の夕方4時に向こうのみんなと、こっちのみんなの入れ替えをする事になったっちゃ!これも、ランちゃんが力を貸してくれたお陰だっちゃよ!」と言って、両手でランの両手に握手をした。するとランは
 「ううん、いいのよ。私たち、友達じゃなぁい」と言ってニコリと笑った。それを見てラムは
 「ありがとうランちゃん。やっぱり持つべきものは友達だっちゃね」と言って、ラムもニコリと笑った。しかしランは心の中で
 (あれだけは、ぜ〜ったいラムにばれん様にせな、わし殺されるで……)と思った。そんなランの顔をラムは覗き込み
 「ランちゃん、どうしたっちゃ?難しい顔して?」と言うと、ランは慌てて
 「え?な、何でもないのよラムちゃん。そ、それよりラムちゃんもルクシオンの数値調べておいた方がいいかもね。実際ダーリン達が消えた時も、その場に居た訳だしぃ」と言って、計測する機械をラムに向けた。ランは、機械の数値を見て
 「あ、あれ?この機械壊れちゃってるのかなぁ」と言うと、機械をラムに渡し
 「ラムちゃん、ちょっと私を計ってみて」と言った。ラムは、言われた通りに機械で計測し、機械をランに渡すとランは、青くなり再びラムを計測した。そして、その数値を見て
 「う、うそ…………」と言って言葉を失った。そんなランの反応にラムは
 「ランちゃん、どうかしたっちゃ?」と聞くと、ランは
 「いい?ラムちゃん良く聞いてね」と真剣な表情をすると
 「ラムちゃんのルクシオンの数値……通常の1000倍くらい有るの……」と言った。それを聞いたラムは
 「え?それってどう言う事だっちゃ?」と戸惑いながら聞くと、ランは
 「ルクシオン自体は、人体に影響は無いって言ったわよね、でも、ここまで蓄積されるはずは無いの。ここまで蓄積される前に放出されるはずだから……でも、ラムちゃんの場合は向こうの世界にラムちゃんが存在しない為に、相互関係が成り立たないから放出されずに蓄積され続けてしまったみたい。向こうの世界と、こっちの世界は、分かりやすく言うと表と裏。こちらが表なら、向こうは裏。つまりアナザーワールドって事ね。そして、ルクシオンと言う粒子を通じて表と裏が入れ替わるんだけどラムちゃんには、裏が無い状態……」と言い、それを聞いたラムは
 「え?じゃぁ、ウチどうなるっちゃ?」とランに問いかけると、ランは
 「もともと、その粒子は向こうの世界の物だから、空間を閉じると恐らく消滅するはず」と言い、ラムは安心した様に
 「なぁんだ、なら大丈夫だっちゃね」と笑った。しかしランは
 「なぁに、呑気な事ぬかしとんのや!ええか、相互関係が成り立っとる場合は向こうの世界に飛ばされるけんどなぁ、ラムの場合は相互関係が成り立っておらんせいで、飛ばされる所がないんじゃ!」と激しい口調で言った。するとラムは
 「じゃぁ、ウチは……」と言い、ランは
 「恐らく、この世界からは消えてまう……多分、どこかの亜空間に飛ばされると思うで」と言った。ランの発言の後、しばらく沈黙の時間が過ぎ、ラムが口を開いた
 「でも……でも、空間を閉じないと両方の世界が無くなってしまうんだっちゃよね?」ラムが、そう言うとランは
 「…………そうや」と答えた。するとラムは
 「だったら、悩む事なんて無いっちゃ。ウチが居なくなっても、ダーリンは助かるっちゃ」と笑顔で言った。そんなラムの笑顔を見てランは
 「ラムちゃん……」と言うと、涙を浮かべ静かにラムと抱き合った。
 
 ラムがランの宇宙船を出て、家に着くと既にあたるは帰宅していた。ラムは、あたるに怪しまれない様に、精一杯に普通を装った。ラムは
 「ただいまぁ」と言ってあたるの部屋の窓から中に入ると、あたるは寝転んでマンガを読んでいて、テンはオモチャをいじっていた。テンはラムが帰って来たのを見て
 「あ、ラムちゃん、おかえり〜」と言うとラムに向かって飛んで行った。あたるは
 「あぁ、おかえり」と言うと、起き上がり
 「ラム、後でちょっと話が有るんだが……」と言った。ラムは
 「何だか分からないけど、分かったっちゃ」と言った。すると1階から
 「あたるー、ラムちゃーん、てんちゃーん、ご飯よー」と、あたるの母の声がした。

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