うる星やつら―アナザーワールド― エピソード11 (Page 4)
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夕飯も食べ終わり、入浴も済ませたラムは、テンを寝かしつけていた。その間に、あたるも入浴を終え部屋に戻ると、既にテンは寝ていてラムは正座してあたるを待っていた。そしてあたるが部屋に入って来ると
「それで、ダーリン。話ってなんだっちゃ?」と聞いた。あたるはラムの前に座り
「向こうの世界とは連絡とったのか?」と聞くと、ラムは
「うん、メッセージを送ったから大丈夫だと思うっちゃ」と言った。するとあたるは
「そうか……それで、いつなんだ?俺達が入れ替わるのは」と更に聞くと、ラムは
「明日の夕方4時だっちゃ」と言った。それを聞いたあたるは、驚き
「何!明日?……随分急だな?」と言うと、ラムは
「うん……でも、早い方がいいっちゃ。みんなには明日学校で話すっちゃ」と言って微笑んだ。あたるは、うつ向き腕を組んで黙っていたが、やがて
「なぁラム、俺考えたんだが……」とポツリと呟いた。そんなあたるにラムは
「ん?何だっちゃ?」と聞いた。するとあたるは
「そのぉ、無理に入れ替わらなくても、このままでいいんじゃないか?……そうすれば一番簡単だと思うんだが」と言って、ラムを見た。するとラムは
「…………ごめんね、ダーリン……今のダーリンは、ウチが本当に好きなダーリンじゃ無いっちゃ。ウチの本当に好きなダーリンは、向こうの世界に居るっちゃ」と言って、うつ向いた。しかし、あたるは
「でも、俺も、向こうの俺も、同じだろ?」と言って、食い下がるとラムは
「ううん、同じじゃないっちゃ……一緒に笑ったり、泣いたり、怒ったり……いつもウチの側に居てくれて……危険を承知でウチを助けてくれたのは、向こうの世界に居るダーリンだっちゃ」と言った。そんなラムの言葉を聞いてもあたるは
「だったら、これからは俺がお前を守ってやるよ!これから一緒に、笑ったり、泣いたり、怒ったりすればいいじゃないか!」と言ってラムの肩に手をかけると、あたるは思わずサッと、手を引いた。ラムは、肩を震わせていたのだ。あたるがうつ向くラムを見ると、ラムはその大きな蒼い瞳からポタポタと涙落としていた。それを見たあたるは
「ラ、ラム…………」と言って言葉を失った。ラムは
「本当にごめんね、ダーリン……ウチには時間が無いっちゃ。だから、最後はウチが本当に好きなダーリンと一緒に居たいんだっちゃ」と言った。そんなラムに、あたるが
「時間が無いって……どう言う事だよ……」と聞くと、ラムはルクシオンと言う粒子が空間移動の鍵で、その粒子がラムの体内に蓄積している事、そして空間を閉じるとそのルクシオンが消滅し、向こうの世界に自分が存在しないラムは、この世界から消えてしまう事を話した。ラムの話を聞いたあたるは
「じ、じゃぁ、尚更入れ替えなんてしないで空間も閉じなければいいじゃないか!」と言った。しかしラムは
「そう言う訳には行かないっちゃ。空間の歪みが大きくなりすぎて、もう自然に閉じる事は無いっちゃ。それどころか、更に拡がり続けて最後には、2つの世界は崩壊してしまうっちゃ」と言った。するとあたるは
「そ、そんな……て事は、何が何でも空間を閉じないと……」とラムに聞いた。ラムは
「うん……だから、お願いだっちゃ」と言った。ラムの目には、まだ涙が浮かんでいる。あたるは、ラムが嘘を言ってるとは思えなかった。あたるは
(ラムが、今本当に必要としているのは、俺じゃない……だったら、せめてラムの思う様にさせてやらなきゃな)と思った。あたるは、そっとラムを抱き寄せると
「分かったよ、ラム」と言った。ラムはそんなあたるの腕の中で静かに涙を流した。
ついに閉じられる空間の歪み。それと同時に起こるラムの体の異変。あたるとラムに試練が待ち受ける。
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