うる星やつら―アナザーワールド― エピソード12 (Page 3)
Page: 01 02 03 04

 「いや、別に」と言った。するとラムが思い出した様に
 「そうだっちゃ!みんなに、ちょっと手伝って欲しい事が有るっちゃ」と言うと、メガネは
 「ラムさんのお願いなら、何でも聞きますよ!何ですか?」と言った。ラムは
 「ありがとうだっちゃ。実は、もうすぐ温泉先生が来るんだけど、先生が来たら、みんなで先生を縛り上げて欲しいっちゃ」と言って、ロープを渡した。面堂はロープを受けとると
 「そう言えば、先程からラムさんの後ろに居る、美しい女性は?」と聞いた。するとラムは
 「あぁ、この子はウチの幼なじみのランちゃんだっちゃ」と言った。それを聞いた面堂は、ランの前に行き
 「ラムさんのお友達でしたか。僕は面堂終太郎と言います。僕にもう少し時間が有れば、お食事にでもお誘いするんですが……」と言った。それを聞いたサクラは、あたると面堂を見て
 「お主ら、本質はかわらんな」と言ったが、それを聞いた面堂は
 「サクラさん!それはどう言う意味ですか!僕を、あんなアホと一緒にしないで下さい!」とサクラに食ってかかった。サクラは
 「いやぁ、すまんすまん」と言って苦笑いをした。その時、向こうからこちらに歩いて来る人影が有った。その独特の風貌から、それが温泉マークだと言う事はあきらかだった。温泉マークは、白地に赤の温泉マークの入ったスーツ上下に、ピンクのワイシャツ、それに赤の蝶ネクタイと、まるで似つかわしくない格好だった。その姿を見たあたるが
 「温泉のやつ、あんな格好してデートでもするつもりか?」と言うと、メガネが
 「なんかそんな感じだな」と言い、更に面堂が
 「しかし、なんと言う趣味の悪い服だ。だいたい、あんな服一体どこに売ってると言うんだ」と言って、呆れた様子だった。そして、温泉マークがピグモンの数メートル手前に来た時、あたるが
 「よし!今だ!」と言うと、一斉に温泉マークに飛びかかった。
 温泉マークは、突如現れた6つの黒い影に驚いて足を止めると、瞬く間にロープでぐるぐる巻きされ路上に放置された。温泉マークは、自分の身の上に何が起こったか理解出来ず回りを見渡すと、そこには、あたる、面堂、メガネ、パーマ、カクガリ、チビの6人が温泉マークを見下ろしていた。それを見た温泉マークは
 「き、貴様ら!一体なんのつもりだ!早く、このロープをほどかんか!」と言った。その時
 「すまんな、手荒な真似をして。しかし、お主にはここに居てもらわんとならんのでな」と言って、サクラが温泉マークのもとに行った。そんなサクラを見た温泉マークが
 「サ、サクラさん!も、もしかして……あなたも諸星達と……」と言うと、サクラは
 「うむ、グルじゃ」と言った。それを聞いた温泉マークは
 「そ、そんな……じゃ、あの手紙は!」と言ったが、サクラは
 「あの手紙に書いた事は、嘘偽りの無いわたしの気持ちじゃ」と言った。すると温泉マークは
 「だったら何故こんな事を」とサクラに聞くと、サクラは
 「ならば、全て話そう」と言って、事の経緯を全て話した。すると温泉マークは
 「そ、そんなバカな」と言って、ひきつった笑顔を見せた。しかしサクラは
 「嘘では無いぞ。だから、手紙にも書いたが、向こうの世界に帰る為にはお主がどうしても必要だし、わたし達が向こうの人間である以上、わたしにとってもお主にとっても帰れるかどうかで、これからの人生が左右される。そして、もしお主が現れなかったら、お主はこちらの世界に残る訳だから、二度と会う事はないじゃろう。どうじゃ?嘘は言っていまい」と言った。それを聞いた温泉マークは
 「そ、そんなぁ」と言ってうなだれた。時間は、3時55分だった。
 その頃、パラレルワールドでは錯乱坊をあたる達が、今か今かと待っていた。しびれを切らしたあたるが
 「チェリーの奴、いったい何してるんだ!」と言うと、後ろから
 「誰か待っておるのか?」と声がして振り返ると、目の前に錯乱坊の顔が有り、あたるは危うく気絶する所だったが
 「いつも、いきなりアップで出るなと言っとろうが!!」と言い、錯乱坊を殴りつけた。そして、更に
 「来てるなら、何故来てると言わん!!」と言った。どうやら、もう一人の錯乱坊も見つかったらしく、錯乱坊は2人になっていた。それを見たメガネは
 「しかし、2人のチェリーなんて何度見ても、不気味としか言い様がないなぁ」と言った。その時サクラが
 「叔父上!一人は向こうへ行ってもらわんと!」と言うと、片方の錯乱坊が
 「わしが向こうの人間じゃと思うから、向こうに行くとするかのう」と言うと、その場から忽然と消えた。次の瞬間、元の世界では錯乱坊が突然、何の前触れも無く現れ、それを見たラムは
 「チェリー!!」と声をあげた。すると錯乱坊は
 「向こうは、全員揃って準備万端じゃぞ」と言い、サクラの方へ行き
 「良いか、向こうに行ったらすぐにその辺に霊力を放出するのじゃ」と、ピグモンの大きな窓を指差した。サクラは頷くと

Page 2 Page 4
戻る
Page: 01 02 03 04