うる星やつら チェンジ・ザ・ライフ 第2章 疑念 (Page 2)
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(おいおい!やっぱりこれは夢だ!俺がこんなに簡単にラムを抱きしめる訳が無い!)と思った。一方突然引き離されたラムは訳が分からず呆然とあたるの顔を見つめ
「ダーリン、どうしたっちゃ?急に」と言った。するとあたるは
「アホ!こんな公衆の面前で抱き合える訳無かろう!恥ずかしい」と言うとプイッと顔を背けた。あたるの急変に戸惑うラムは
「ダーリン……まるで高校時代のダーリンみたいだっちゃ」と言った。それを聞いたあたるは
(まぁ、高校生の俺の夢だからな)と思った。すると、また激しい睡魔が襲って来た。あたるは
(またこの睡魔……だが、まだ眠る訳にはいかん!ここが何処だか分かるまでは)と思ったが睡魔はどんどん強くなって行く。あたるの様子が変な事に気付いたラムは
「ダーリン?どうしたっちゃ?」と言うとあたるの顔を覗き込んだ。あたるは睡魔と必死に戦いながら
(何か、何か目印の様な物は無いのか?)と思いながら、周りを見渡した。しかし、目印らしき物と言えばバス停の横に有る大きな木ぐらいしか無く、駅名もこの位置からだと見えなかった。しかその時あたるは有る事に気付いた。自分が居るのはバス停なのだ、バス停ならバスの時刻表があるはずだ。あたるは朦朧とする意識の中で、時刻表を探した。すると、それらしき物を見つけた。そして、そこまで行こうとするが体が思う様に動かず、倒れてしまった。するとラムがあたるを抱え起こし
「ダーリン、大丈夫だっちゃ?」と言った。あたるがラムを見ると、今にも泣き出しそうな顔であたるを見ている。あたるはそんなラムの顔は見た事が無かった。まるで不安と恐怖を同時に感じている様な表情。あたるの知らないラムの顔。あたるは
(ラムのあんな顔見た事無い…本当にこれは夢なのか?)と思いながらも力を振り絞り時刻表の方へラムに支えてもらいながら歩いて行った。ラムは、あたるの体を支えながら一緒に歩いて行く。あたるはやっと時刻表に辿り着くと、時刻表に記載されているこのバス停の名前を見た。そこには
【雀の宮】
と書かれていた。それを見たあたるは
「す、雀の宮……何処だ?」と言ったが、ついに我慢出来ずに
「ラ、ラム…悪い、少し寝る……」とラムに告げると深い眠りにに落ち、意識が遠くなった。ラムは、眠りに落ちたあたるをベンチに寝かせると
「ダーリン……一体どうしたっちゃ?」と小声で呟き心配そうに見つめた。
あたるが目を覚ますと、そこは……自分の部屋だった。何も変わらぬいつもの光景。壁に掛けられたカレンダー、使い込まれた勉強机、壁に貼られたポスター、どれも見覚えの有るものばかり。それを見たあたるは
(夢か……また、あの夢…)そう思うと時計を見た。時刻は朝の6:30早い時間たが、もう一度寝るのには時間が無い。あたるは仕方なく、もう起きる事にした。布団を畳みながら先ほど見た夢のことを思い出すと、頭の中に最後に見たバス停の名前が浮かんだ
【雀の宮】
あたるは、机の上に置いてあったノートとペンを取ると、そこにバス停の名前を書き
「よし、これで忘れないな」と言った。やはり、あたるは先ほどの夢がただの夢じゃない気がしてならなかった。あたるはラムの寝ている押し入れを見ると
(あの夢は、絶対に何かの暗示か何かだ。俺が何としても調べてやる!)と思った。その時、押し入れの襖がスーっと開き、眠そうな顔をしたラムが顔を出し
「あ、ダーリン、おはようだっちゃ。今日も早いっちゃね」と言うと、ニコリと笑った。あたるはラムの顔を見ると
「あぁ、おはよう」と素っ気ない態度をとったが、心の中では
(昨日から、ラムがやたら俺の事を気にしているから気づかれん様にせんとな)と思った。一方ラムは
(やっぱりダーリン昨日から、何か変だっちゃ)と思った。
バレバレである。
あたるの異変に気付いたのはラムだけではなかった。テンもまた、あたるの様子がおかしい事に気付いたのだ。いつもなら、朝食の時におかずの取り合いをするはずのあたるが、普通に朝食を食べていたのである。テンは、ラムの所へ行くと
〈なぁラムちゃん、あたるのやつ何かいつもと違うと思わへんか?〉と小声できいた。するとラムも
〈そうなんだっちゃ、昨日から様子が変なんだっちゃよね〉と小声で答えると首をかしげた。そして続けて独り言の様に
〈ダーリン、まさか病気とかじゃないっちゃよね?〉と呟いた。それを聞いたテンは
(なんやて!アホのあたるが病気やて?えらい事聞いてしもうた)と思い、朝食もそこそこに慌てて出て行った。
朝食を済ませたあたるとラムが、いつも通りに学校へ行くと何やら物々しい雰囲気に包まれていた。あたるは気づいていない様子だが、ラムはすぐに生徒達のあたるに向けられる異様な視線に気づき、すかさずあたるに
〈ダーリン、何だか様子がおかしいっちゃ〉と耳打ちをしち。しかしあたるは
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