友引高校こたつ騒動 (Page 1)
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友引高校こたつ騒動

<SUNDAY>
月は9月末、友引町は緑色の葉をつけていた木々がその葉を茶色に染め、外は昼間でも服を重ね着しなければならないほど寒くなりいよいよ本格的に秋になってきていた。そんな中、一人の男が歩いていた。その男はふと黄色くなったイチョウに目をやり、
「ようやく秋ですねえ、読書の秋、スポーツの秋、芸術の秋、秋というものはほんといい季節です。
そしてこれから寒くなる・・・。」
とつぶやいた。そう、この日差しもあまり気にならなくなっている中ひときわ輝く頭にメガネ、そして優しそうな雰囲気、この男こそ言わずと知れた(?)友引高校の校長である!!しばらく物思いにふけった後校長は再び歩き出したがすぐに足をとめた。そこには巨大なネコ、コタツネコがいた。
「これはコタちゃん、お散歩ですか?」
コタツネコは首をふり、袋をとりだした。校長はそれをみて
「おや、焼いもですか、あなたには食物の秋といったところのようですねえ。」
と笑いかけて言い、そして
「実はこれから学校の私の部屋におくこたつを買いに行くんですよ、あなたもご一緒に行きませんか?」
と尋ねた。コタツネコはそれにうなずき二人(一人と一匹)は町の景色にみとれながら(片方はいもを食べ
るのに夢中だったが)いつも校長が買っていたこたつ屋へとむかった。
しばらくして二人は目の前にあるものに驚いて足をとめた。そこには校長が見たこともない建物があり、看板に『こたつ専門店・コンタツ』とかかれてあった。
「コタちゃん、あなたここ知ってましたか?」
校長は尋ねてみるがこたつマニアのコタツネコもしらないようであった。
  「まあ、入ってみましょう。」
校長がそう一言いうと二人はその店へと消えて行った・・・。

<MONDAY>
 キ〜ンコ〜ン、1時間目の始業のベルが鳴り、学校全体が静まり返り勉強モードにはいった。もちろんこの2年4組も・・・。

この日4組は英語の授業からであり、もちろん教師は温泉マークである。
「え〜今日はテキスト38ページをするわけなんだが・・・、諸星!!きさまは朝っぱらから早弁をするな!!」
温泉は怒鳴りつけると同時に手元にあった黒板消しをあたるに投げつけた。ところがあたるはそれを簡単によけ黒板消しはあたるの後ろの美男子面堂終太郎にあたってしまい、面堂の顔は真っ白になってしまった。
 「イエ〜イ!!」「きゃ〜面堂さん!!なんてひどいことを。」
と男子は面堂にあたったことを喜び、逆に女子はあわてふためき、投げつけた温泉を怒った。
 「す、すまん面堂、諸星を狙ったんだ、諸星がよけたのがいけないんだ。わかってくれるよな?」
とあわてる温泉に向かって
 「何を言うか!!こともあろうにおまえがこの俺に向かって投げたからいけないのではないか。しかも俺の早弁タイムを邪魔しおって・・・。」
とあたるが文句を言った。すると面堂がむくっと立ち上がりどこからともなく自分の愛刀を抜き罵声をとばした。
「きさまら!!二人でこの面堂終太郎を愚弄するとは、もはやゆるせいん!!」
 「だ、だからあれは事故だ。おちつけ面堂。」
と温泉がなだめるが頭に血が上った面堂には通じていなかった。
「やかましい、この固太りが!!二人まとめてたたっきてくれる!!」
結局、ばかにされたと思い込んでいる面堂と早弁を邪魔されたあたる、そして固太りと言われ怒った温泉マークがバトルロイヤルを始めることになってしまい授業どころではなかった。
これを見た生徒たちは
 「今日も授業はつぶれたな。花札しようぜ。」
などとそれぞれ自分のやりたいことはじめだした。
こうして2年4組だけは毎日こうれいのいざこざで実にうるさい授業を展開していた、が・・・。

数十分して授業中であるのに全校放送がなりひびいた
 「授業中もうしわけありません。至急全員体育館に集まってください。」
その声は校長であった。この放送を聞いた例の3人は
 「い、一時休戦だ、校長のご命令だからな。はあ、はあ。」
「しかたがないな。おい面堂、命拾いしたな。」
「なにをいうか、それはきさまのほうだ。首根っこ洗ってまっておれよ。」
あたる・温泉はぼろぼろになったハンマーを、面堂は折れ曲がった刀をおいて体育館へ向かった。
 「ねーダーリン、なんで授業中に呼びだすっちゃ?」
空を飛び、緑色の髪をした美少女ラムはあたるに尋ねた
 「そんなこと俺が知るわけないだろうが。」
先ほどのけんかの余韻のためあたるは少々邪険に答えたところ、
 「おのれは、ラムさんに向かってなんという口の利き方を!!」
と横にいた面堂はあたるの言葉を聞いて怒って言った。
 「ふん、俺がラムにどう言おうがおまえには関係ないだろうが!!」
二人は今にもまたけんかを始めんばかりの形相であった。そこに怪力机投げで有名なしのぶが、
 「もう、いいかげんにしてよ二人とも、さ、面堂さんはやく行きましょ。」
と言って面堂をひっぱって行き、さらにラムが
 「ダーリンもはやく行くっちゃ。」

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