うる星やつら チェンジ・ザ・ライフ 第5章 逆襲 (Page 3)
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 「嫌だっちゃ」と満面の笑顔で言い、そのまま電車に乗り込み雀の宮に向かった。電車の中でもラムはあたるにピッタリとくっつき、あたるが引き離そうとしても全く離れる気配も無いので、あたるも呆れて諦めラムの顔を見ると、本当に幸せそうな顔をしているのに気づいた。その時あたるの脳裏に夢の中のラムの顔が浮かんだ。それは、今のラムとは対照的なその表情だった事に改めて気づき
 (ラムは本来、明るく前向きな性格なハズなのに、夢の中のラムは考えられんくらい暗い表情だった。あんなラムの顔を見るのは、もうゴメンだ。だから絶対にブレスレットを切断できる道具を届けなければ)と思った。
 やがて電車は雀の宮駅に着き、あたるとラムは電車を降り駅を出るとバス停に向かった。そしてあたるはラムに
 「それで、例の道具ってのは?」と聞くと、ラムは制服のポケットから何か取り出しあたるに見せ
 「これだっちゃ。これは
 【ディメンションカッター】
って言って、マーキングした部分を異次元に転送するっちゃ」と言った。それを聞いたあたるは
 「異次元に?間違ってラムの手まで異次元に転送するなんて事ないよな?」と聞くと、ラムは
 「心配いらないっちゃ、この機械は無機物にしか反応しないっちゃ」と言ってニコリと笑った。あたるは良く分からないが、ラムが大丈夫と言うのだから大丈夫なのだろうと思い、今度は
 「それで、そのなんとかカッターだが、どうやって何年も人に見つからないで隠しておくんだ?」と聞くと、ラムは更に制服のポケットから小さな機械を取り出した。そしてそれをディメンションカッターに取り付けると
 「この機械を付けておけばカモフラージュで見えなくなるっちゃ」と言って、小さな機械のボタンを押した。するとディメンションカッターはみるみる透けて行き、やがて完全に透明になって見えなくなった。それを見たあたるは
 「き、消えた!それって見えないだけなのか?」と言うとラムの手に自分の手を伸ばし確認した。すると確かにラムの手のひらには何かが乗っているのが分かった。そしてあたるは
 「本当に透明になってるんだな」と言った。そんなあたるにラムは
 「これを、人が触れない様な場所に置いておけばきっと大丈夫だっちゃ」と言うと、キョロキョロと周りを確認し始めた。そして
 「やっぱりこの木しかないっちゃね。この木は、未来でも残ってるのをダーリンが確認してるし」と言った。しかしあたるは
 「でも、こんな木のどこに隠すんだ?」とラムに問いかけた。するとラムは
 「やっぱり根本に埋めるのが一番安全だと思うっちゃよ」と言った。それを聞いたあたるは
 「埋める?じゃあ、透明にしても意味無いじゃないか」と言ったがラムは
 「この機械は、ただ透明にするだけじゃないっちゃよ。対象の物を外部からのあらゆる障害から守ってくれるっちゃ」と言うと、あたるに笑顔をみせた。すると突然あたるを強烈な睡魔が襲い、あたるはその場に座り込んでしまった。そんなあたるにラムは
 「ダーリン!どうしたっちゃ?」と叫ぶと、あたるの元に駆け寄った。心配そうにあたるを見つめるラムにあたるは
 「こ、これは夢の中と同じだ…」と言ったが、ラムは何の事だか分からず
 「夢の中と同じって、どう言う事だっちゃ?」とあたるに問いかけた。しかしあたるは
 「…ダメだ…説明してる時間は無さそうだから、簡単に言うぞ!俺は、この後多分寝ちまうけど気にするな。ちょっと向こうの世界に行くだけだから」と言いながら、フラフラと近くのベンチに向かい、ベンチに横たわった。ラムも一緒にベンチまで行くとあたるね頭を膝の上に乗せた。そんなラムにあたるは
 「はは、やっぱラムはラムなんだな」と言うとラムは
 「え?どう言う事だっちゃ?」とあたるに聞いたがあたるは
 (向こうのラムと全く同じ事しやがって)と思うとラムに答える前に、完全に眠りに落ちた。

 あたるは目を覚ますと周りを見た。するとそこは街角のベンチで、ラムの姿も無い。あたるは
 「ラムは帰ったらしいな」と言って立ち上がると、薄明かるくなった空を見上げた。どうやら、そろそろ夜が明けるらしい。そん空を見上げながら
 (過去の夢の中の出来事…まるで俺達の過去と違ってたなぁ…でも、向こうではいつも夜寝てからこっちで目覚めてたけど、今回は違った)と思うと、ラムのディメンションカッターの事を思いだし
 「しまった!何処に埋めたか分からんではないか!そもそもラムはちゃんと木の根本に埋めてくれてるのか?」と言うと、急に不安になり慌てて駅前のバス停に向かった。
 あたるはバス停に着いて我が目を疑った。なんとそこに有るはずのモノが無かったのだ。そう、あのあたるが落書きを彫った木が無くなっていたのだ。あたるはすぐに木の有った場所に行くと、そこには木が有った形跡すら無いではないか。かなり前に伐採された様だった。それを見たあたるは思わず

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