うる星やつら チェンジ・ザ・ライフ 第8章 逆転 (Page 2)
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 「お前なぁ!もっと慎重にやらんかぁ!ったく、こんな状況でよく笑ってられるな」と言うと、立ち上がりラムのブレスレットを見た。派手な爆発の割にはブレスレットはむきずだった。しかし、一部分は消えている。どうやらディメンションカッターで消失したらしい。ラムはブレスレットをいじりながら言った。
 「何だか、昔みたいで楽しいっちゃね」ラムは本当に楽しそうに笑っている。その笑顔を見てあたるは思った。
 (ラムのこの笑顔……久しぶりだな)あたるは自然と優しそうな笑顔でラムを見つめていた。あたるの視線に気づいたラムは、あたるの方を向くと
 「どうしたっちゃダーリン?とても嬉しそうだっちゃね。うちのブレスレットが外れるのがそんなに嬉しいっちゃ?」と言って、あたるに微笑みかけた。あたるはラムの言葉にハッと我に返り
 「な、なにをやってんだ!はよ外さんか」と言うと、ラムの腕を取りブレスレットを外そうとしたが、ディメンションカッターでの消失部分が狭く、ラムの腕が通らない。それを見てあたるは
 「もう少しさっきの道具を使わないと腕が通らんな。おい、さっきの道具は?」とラムに聞くと、ラムは足下に落ちていたディメンションカッターであったであろう残骸を拾うと、あたるに見せて言った。
 「壊れたっちゃ」あたるはラムの手から残骸を受け取ると
 「こ、これじゃあ使えんではないか」と言った。するとラムも
 「そうだっちゃね」と言った。ラムのあっけらかんとした態度にあたるは
 「お前ずいぶん余裕だな」と言ったがラムは再び笑顔を見せて言った。
 「大丈夫だっちゃ。きっとダーリンが何とかしてくれるっちゃ」そんなラムの言葉にあたるは
 「お前、それ本人に言う事じゃないだろう」と言いながらもブレスレットを両手で掴むと、力一杯拡げ始めた。それを見たラムは
 「ダーリン…それは無理だと思うっちゃよ?」と言ったが、あたるはやめようとせず
 「うるさい!お前は黙って見とれ!お前の言う通り、俺が何とかしちゃる!」と言って更に力を込めた。しかし、ブレスレットは全く拡がる気配すら無い。あたるは顔を真っ赤にして力を込めるがブレスレットはビクともしなかった。肩で息をしながら必死にブレスレットを外そうとするあたるを見てラムは
 「ダーリン、もういいっちゃよ」と言って抱き締めた。あたるはそんなラムに
 「ふざけるな!俺は絶対に諦めん!と言うとラムの手を払い
 「剛力招来!!」と掛け声をかけた。すると、ビクともしなかったブレスレットは徐々に開いて行き、最後にあたるが
 「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」と奇声をあげると
  パリンッ!
 と言う音と共に真っ二つになった。ラムの腕からブレスレットが外れるとすぐにラムは体の中に力が湧いて来るのを感じた。ラムの髪の毛も、徐々に以前の緑色に戻って行きラムは自分の両手を見ると、右手を前に突きだしバス停の時刻表に向かって電撃を放った。
  バリバリバリバリバリバリ
 時刻表はラムの電撃で黒焦げになり、それを見たラムは振り返りあたるに抱きつくと言った。
 「ダーリン!うち、力が戻ったっちゃ!ありがとう!」力を出し尽くしたあたるは、ぐったりしながらも
 「あぁ…良かったな……て事で、少し休ませてくれ…」と言うと、ラムの腕の中で眠りに落ちた。ラムは、そんなあたるに囁いた。
 「ダーリン…本当にありがとうだっちゃ」ラムはあたるをベンチに寝かせると、あたるの頭を膝の上に乗せ優しく頭を撫でた。

 あたるが目を覚ますと、そこは…………
 バス停だった。そして、あたるが目を覚ますと同時にラムが
 「ダーリン!目が覚めたっちゃね」と言った。あたるはゆっくりと起き上がり回りを見渡して言った。
 「ここは…元居た世界…何故過去に戻って無いんだ?」あたるの様子を見たラムは
 「どうしたっちゃ?ダーリン?」と聞くと、あたるは
 「夢を見なかった…過去の夢を見なかったんだ!」と言った。ラムはちょっと考えてから言った。
 「もしかして、うちのブレスレットが外れた事で過去との接点がなくなったっちゃ?」それを聞いたあたるは
 「なるほどな…と言うこは、もう過去には行けないってことか…」と言って、二つになったブレスレットを拾い上げ
 「まぁ、ブレスレットは外れたんだし、もう過去には用は無いか」と言って、壊れたブレスレットをゴミ箱に捨てようとした。しかし、その時ラムが慌ててあたるに言った。
 「あ!ダーリン待って!」あたるは捨てる寸前にラムの声で思いとどまり
 「ん?何だ?こんな物いらないだろう?」と言ったがラムは
 「それが有れば研究所に潜り込めるっちゃ」と言った。しかしあたるは
 「いや、さすがにあそこはもうヤバいだろう?騒ぎを起こしちまったしな」と言うと首を振った。ところがラムはそんなあたるに予想外の事を言ったのだ。

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