うる星やつら 赤い花が散るとき 第3話 行く末 (Page 2)
Page: 01 02 03 04

 「ぼくも詳しくは知らないですが聞いた話だと、願いが叶うとか、嫌な事を忘れられるとか…でも最悪は、記憶を奪われるとか…」と答えた。その話を聞いてあたるは
 「なに!願いが叶うだと!」と言って因幡の肩を強く掴むと
 「一体何処で落とした!その花はどんな花だ!」と言った。そのあたるの迫力に因幡はたじたじになり
 「あ、商店街の近くの大きな木のあたりで…花は、虹色の花びらの花です」と言った。するとあたるは
 「分かった!俺が必ず見つけてやる!」と言うと物凄い勢いで走って行った。取り残されたラムは
 (記憶を奪われるって…)と思い、堪らず因幡に聞いた。
 「その花って、どんな風に成長するっちゃ?」ラムの質問に因幡は、不思議そうに
 「ぼくも聞いた話ですけど、エネルギーを吸収する度に花びらを1枚落とすそうです」と言った。それを聞いたラムは
 「花びらって、元々何枚だっちゃ?」と因幡に迫った。因幡は、ラムの勢いに思わず
 「ラ、ラムさん、ちょっと、どうしたんですか?」と言った。するとラムは、ハッと我に返り
 「あ、ごめんっちゃ。つい」と言って苦笑いをすると、再び
 「それで、花びらは最初は何枚だっちゃ?」と改めて聞いた。すると因幡は
 「花びらは、10枚です。でも、ラムさんは何でそんなに花の事が気になるんですか?」と不思議そうにラムを見た。そんな因幡の態度に気づいたラムは
 (まずいっちゃ…何とか誤魔化さないと)と思い、咄嗟に
 「あ、う、うん…実は、ウチの知り合いが似た花を持ってるみたいだから気になったっちゃ」と言った。すると今度は因幡が
 「え?それ本当ですか!その人は今どこに居ますか?」とラムに迫った。するとラムは後ずさりをしながら
 「あ、でも、良く聞いたら違うみたいだっちゃ」と苦笑いを浮かべると、逃げる様に飛び去った。因幡は飛んで行くラムに向かって
 「ラムさーん」と大声で叫んだが、ラムは戻る事は無かった。因幡はその場に立ち尽くすと
 「あぁ、やっと手がかりが見つかったと思ったのに」と言うと、その場に座りこんだ。
 ラムは、因幡の言った事が気になり花を確認しにUFOに向かった。
 ラムはUFOに向かう途中で
 (確か、今朝見た時に花びらは8枚だった様な気がするっちゃ…もしそうなら…)と思い、不安で押しつぶされそうになりながらもUFOに急いだ。
 UFOに着いたラムは、一目散に花の所に向かった。そしてラムは花を見て愕然とした。やはり花びらは8枚だったのだ。ラムは
 「やっぱり8枚だっちゃ」と言うと不安が更に膨らんだ。しかし、花を見ているとさっきまでの不安が嘘の様に消えて行くのを感じた。ラムの不安が全て消えた時、花びらが1枚落ちた。花びらはユラユラとテーブルの上に落ち、それを見たラムは
 「え?嘘だっちゃ…どうして?」と言うと落ちた花びらを拾い上げた。するとやはり花びらは、スーっと消えてしまい、ラムは自分の手を見つめていた。ラムは自分の手を見つめ
 「…あれ?ウチ…何してるってちゃ?」と言うと首をかしげた。そしてラムは
 「うーん、何か大事な事を忘れてる様な…」と言い、なんとか思い出そうとしたが、どうしても思い出せなかった。その時ラムは、フッと思った。
 (あれ?ウチ何でUFOに居るっちゃ?)そしてラムは、自分の記憶を辿った。
 (確か、ウチはダーリンと一緒に帰る途中で、公園のベンチで落ち込んでる因幡くんを見つけたっちゃ)ラムは、そう思うとウンウンと頷き自分を納得させた。そして更に
 (それでダーリンと因幡くんの所へ行って……行って…どうしたっちゃ?その後が思い出せないっちゃ。その後、何か理由が有ってウチはUFOに来たはずだっちゃ)そう思い、ラムは必死に思い出そうとしたが何も思い出せない。ラムが何気なく花を見た時、花びらが7枚なのに気づき
 「あれ?確か今朝は、花びら8枚有ったはずだっちゃ」と言い、テーブルの周りを探したが、花びらを見つける事は出来なかった。ラムはその花に、なんとも言いようのない恐怖を感じ、思わずUFOを飛び出した。そしてラムは
 (何だっちゃ?何だか凄く悪い予感がするっちゃ)と思うと、深呼吸をして気持ちを落ち着かせると
 「とにかく、もう一度因幡くんの所に行って話をしてみるっちゃ」と言って公園に向かった。

 その頃あたるは商店街近くの大きな木の周りに花が落ちてないかと探していたが、どうにも見つからず木の上を見上げ
 「これだけ探して無いなら、もう木の上しかないな」と言うと、木を登り始めた。普通なら、人が登れる様な木ではないのだが、あたるにW普通Wは通用しない。まるで猿の如く木を登り始めた。そして、一通り木の枝などを調べたが花が見つかる事はなかった。あたるは
 「くそっ、やっぱり誰か拾ってしまったか…」と言うと、スルスルと木を降りた。あたるは下に降りると
 「きっと今頃、花を持ってった奴は訳も分からず鉢にでも生けてるんだろうな」と言いながら、フッと因幡の言った事を思い出した。

Page 1 Page 3
戻る
Page: 01 02 03 04