うる星やつら 赤い花が散るとき 第3話 行く末 (Page 3)
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「そう言えば因幡のヤツ、他にも何か言ってたな…」あたるは呟くと、その場に座り込み腕を組んで考え出した。そして、因幡の言った事を思い出し顔を上げた瞬間、あたるの目に写ったのは世にも恐ろし形相で、あたるは心臓が止まりそうになった。
あたるの目前に居たのは錯乱坊で、錯乱坊は
「こんな所で昼寝か?」と言ったが、あたるはすぐに立ち上がると錯乱坊の頭にゲンコツを振り下ろし
「おい、チェリー!お前は俺を殺す気か!!」と叫んだ。しかし錯乱坊はゲンコツをものともせず
「いやな、お主が死んでおらんか心配での」と言った。あたるは更に錯乱坊を足蹴にすると
「お前のせいで、死ぬかと思ったわ!!」と言い、更に
「いつもいつも変な出方ばかりしおって!」と言って、錯乱坊を蹴りまくった。そのせいであたるの足元は土煙で錯乱坊が見えなくなるくらいだった。すると、あたるの背後から
「そんなに地面を蹴って楽しいのかのう」と声が聞こえ、あたるは激しくコケた。あたるは体制を建て直し振り向くと、そこには地面に座布団を敷いてお茶を啜る錯乱坊の姿が有った。あたるは何処からともなくフライパンを取り出し、そのフライパンで錯乱坊を叩き飛ばし
「いい加減にしろ!この妖怪坊主がぁぁぁー!」と叫んだ。
その頃ラムは因幡を探して公園に行きベンチの所へ行ってみたが、そこに因幡の姿はなかった。ラムは
「え?何処行ったっちゃ。?」と言うと、慌てて辺りを見渡した。しかし、いくら探しても因幡の姿は見当たらなかった。ラムは公園を離れ他を探す事にしたが
(一体どこに行ったっちゃ?)と思い公園の上空から見つけようと、周辺が見渡せる所まで上昇して辺りを見回した。すると商店街近くをトボトボと歩く白い影を見つけた。
「あれだっちゃ!」ラムは、そう言うと一目散に因幡の元に向かった。
因幡は、項垂れながら
「はぁ、また怒られるなぁ…今度はどんな罰を受けなきゃならないんだろう」と言うと、大きなため息をついた。
その時
「やっと見つけたっちゃ!」と言う声と共に、目の前にラムが降りて来た。因幡はラムを見て
「あ!ラムさん!」と言って、すぐにラムに
「ラムさん!教えて下さい!さっき言ってた人は誰ですか?」と言って迫った。ラムは突然因幡が訳の分からない事を言って迫って来たので、慌てて飛び上がり
「いきなり何だっちゃ?」と叫んだ。すると因幡は
「ラムさんがさっき言ってた人の事を教えて欲しいんです!」と叫んだ。しかし、ラムは因幡が何を言ってるのか分からず
「さっきの人って誰だっちゃ?」と聞くと因幡は
「何を言ってるんですか、さっきラムさんが似た様な花を持ってる人が居るって言ったんじゃないですか」と言った。ラムは因幡の言葉を聞いて愕然とした。
(…全く覚えてないっちゃ…やっぱり、記憶の一部が完全に消えてるっちゃ)ラムは、そう思うと因幡の真剣な顔を見て決心した。
(やっぱり因幡くんに話した方がいいっちゃね)そう思うとラムは、ゆっくりと地上に降りた。
ラムはまず
「因幡くん、実を言うとウチ…さっきの記憶がないっちゃ…」と言った。それを聞いた因幡はラムが何を言っているのか理解で出来ず
「何を言ってるんですか?ラムさん」と言った。しかしラムは、因幡の問いには答えず、意を決した様に話し始めた。
「因幡くん、怒らないで良く聞いて欲しいっちゃ」ラムは、何か言いたげな因幡を静止して、話を続けた。
「実は、因幡くんが探している花は…」そう言ってラムは因幡の目を真っ直ぐ見ると
「ウチが持ってるっちゃ…」と言った。因幡はラムの予想もしないカミングアウトに戸惑いながら
「え?ラムさんが?」と問い返した。ラムは小さく頷くと因幡に聞いた。
「あの花って何だっちゃ?」それを聞いた因幡は
「さっきもいいましたが、あの花は人の感情をエネルギーにして成長するんです」と言った。するとラムは
「成長?だっちゃ?」と言った。それを聞いて因幡は
「本当に覚えてないんですね」と言うと、ハッと何かに気が付いた様な顔をすると、因幡の顔は一気に青ざめ
「ま、ま、まさか…もう花びらが…」と言った。するとラムは何も言わずに頷き、それを見た因幡は
「た、た、大変だ!一体どうすれば!」とあたふたと行ったり来たりし始めた。そんな因幡にラムは
「とにかく落ち着くっちゃ!」と言い聞かせると、因幡は我に返り再びラムの方を向くと
「そ、それで今、花びらは何枚ですか?」と聞いた。ラムは俯き加減で
「7枚だっちゃ」と言った。それを聞いた因幡は、ガクンと膝を地面に着き
「7枚…手遅れだ…」と言った。そんな因幡にラムは
「え?手遅れ?手遅れって、どう言う事だっちゃ?」と言って、膝まづいている因幡の襟首を掴んだ。因幡は全く抵抗せず
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