Tomorrow Never Knows (Page 1)
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               - Tomorrow Never Knows -

錯乱坊「みなさん、こんばんはチェリーです。
   今夜は日常がどれほど危ういバランスの上で保たれているかについて
   拙僧が経験したなかでも特に悲惨なる話をお聞かせしてしんぜよう。」

錯乱坊「それはまだ平和な夜のことであった。だがしかしそのふとしたきっかけから
   平和は終わりを告げ、争乱への導火線に火がついてしまったのであった。」
-諸星家食卓
あたる「うひょう!今日はチンジャオロースか」
あたるの母「一人きっちり100gですからね。おかわりはありませんよ。」
あたるの父「おまえちょっとビンボ臭いんじゃないか。ヒエッ」
-睨まれて新聞の裏に隠れる父
あたるの母「なんですか!それもこれもみんなあなたの安月給のせいでしょ。
     あなたも毎日毎日ビール瓶一本も空けないでもらえます。
     今日からはこれ一本で我慢してもらいます。」
-ドンと出たのは250mlのチビ缶

-そんな幸せそうな家の中と違い、外は真昼のように明るくなり近付く巨大な宇宙船一隻
-光の柱を下ろし容赦なく家ごと吸い上げる
あたる「なんだなんだ」
-船の中、元我が家であったガレキをから頭を出し見回すあたる
ラム「ここは・・・父ちゃんの船だっちゃ。」
-奥から出て来るラムの父ちゃん
ラムの父ちゃん「こんばんは、いきなりお訪ねしてすみませんなぁ。」
あたる「そういう問題じゃない。あなたねぇ!」
ラムの父ちゃん「なんでしょう。」
^笑顔で近付くラムの父ちゃん、ただただその大きな体に圧倒されるあたる
あたる「いえ、べつにいいんですよ。なんでもないですから、ははははは。」
-続いてガレキから顔を出すあたるの父と母
あたるの父「わたしの家、わたしの汗の結晶、わたしの血一滴一滴・・・。」
あたるの母「ちょっと、これはどういうことよ。またあたるの友達?いいかげんに
して欲しいわね。」
-ラムの父ちゃんの姿に気付く二人
あたるの母「あら、お父さんご機嫌うるわしゅう。それで今日はどんな御用件で?」
-ラムの父ちゃんは豹変振りにも気付かず、
ラムの父ちゃん「奥さん、どうも今晩は。御用件ってほどのもんじゃないんですが、
       今日は結婚している両親の親がろくに話をすることがなかったのもどうか
       思いまして、一度じっくり若い二人も交えてお話しよう思いましてな。」
-あたるの母はちょっとたじろいで、
あたるの母「せ、せっかくですが今日はちょっと。明日も予定がありますし。」
-あたるの母に耳打ちする父
あたるの父「(おまえ断わったらどうなることか。)」
あたるの母「(しょうがないでしょ。これ以上かかわり合いたくないの。)」
ラムの父ちゃん「人の目の前でこそこそ何やっとるんですか!」
ラムの母ちゃん「あんさん、そう怒らんと、無理言ったらあきまへん。
       先方にも事情っちゅうもんがあります。
       けど、ほんに残念どすなぁ。
       お食事の方も用意しておりましたんやけど。まあ、しょうがありませんな。」
-キラッと光る母の目
あたるの母「お父さん、やはり両家の理解と言うものはなんとも重要なものです。
     今日を逃したらまたいつになるともわかりません。
     お互いのためにぜひ今日おねがいします。」


-翌日、友引高校2年4組教室
-二つの空席を見て
パーマ「今日はあたるとラムちゃんそろって休みか。どうしたんだろ。」
カクガリ「それがよ、昨晩ラムさんの母船が諸星家上空にいたのを
    見たってやつがいるんだよ。それであたるの家がなくなってるんだよ。」
チビ「じゃ、じゃあとうとう地球を捨てて移住したのか。やばいんじゃないのか?」
-さりげなく耳を立てている面堂
メガネ「笑止!何を心配することがある。あたるのやつが結婚なんてすると思うか。」
パーマ「うむ、そういわれると確かに。」
-気を取り直す三人
しのぶ「あまいわね。」   
メガネ「どういうことだ?」
-しのぶはチラッと面堂に目をやって
しのぶ「あれでもね、あたるくんてけっこうお母さんに弱いとこあるのよ。お母さんに押されて、
   ラムのお父さんの迫力で攻められたら、意外にあっさり陥落するんじゃないかしら。」
-目を丸くし表情を隠しきれない面堂、口が半開きになり青くなるメガネ
しのぶ「まあ決まったわけじゃないけどね。」
-バッタリと倒れ伏すメガネ
パーマ「おい、メガネ。あっ!こいつ息してねえぞ。いそげサクラさんのとこだ。」
-メガネを担ぎ上げ運んでいく三人、少々離れた所でどっぷりと考え伏す面堂
しのぶ「(さてと、これからが勝負よ。時間との戦いだわ。いまのうちに面堂君と
   既成事実を作ってしまえばこっちのものよ。)」
-面堂の方を見て、心の中で呟くしのぶ

錯乱坊「だが、しのぶの考えは甘かった。UFOに一人おいてけぼりをくったテンの活躍もあって、

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