うる星やつら 赤い花が散るとき 第5話 封印 (Page 1)
Page: 01 02 03 04

      うる星やつら
      赤い花が散るとき
      第5話  封印

 ラムがあたるを抱き起こすのを見ていたテンはラムの近くに行くと
 「ラムちゃん、どないしたん?このアホはラムちゃんの電撃でのびてるんやないか」と言ってラムの顔を覗き込んだ。しかしラムは
 「テンちゃんこそ何言ってるっちゃ?何でウチがダーリンに電撃を?」と言って怪訝な顔をした。それを聞いたテンは
 「ラ、ラムちゃん、まさか覚えてへんのんか?」と言って不安そうな顔をした。するとその時、ラムの腕の中であたるが目を覚まし
 「ん?ラム…俺は何を?」と言うと回りを見渡し、勢い良く起き上がるとラムの顔をじっと見つめた。ラムは訳が分からないと言った表情で、キョトンとしてる。あたるはすぐに花の方を見た。すると花は一回り大きくなり、更に花びらの数も6枚に減っていた。あたるは花の元へ行くと
 「くそっ、成長しちまったか」と言った。ラムはあたるの行動が全く分からず
 「ダーリン、何言ってるっちゃ?」と言って、あたるの元に行くとテーブルの上の花を見て
 「綺麗な花だっちゃねぇ。これダーリンが持って来てくれたっちゃ?」といった。そんなラムの言葉にあたるは
 「お、お前…この花の事覚えとらんのか?」と動揺を隠せずに聞くと、ラムは
 「この花がどうしたっちゃ?ダーリンが持って来てくれたんじゃないのけ?」と逆にあたるに聞いた。あたるは愕然として次の言葉が出なかった。しかし、心の中では
 (因幡の言う通りだった…今のラムは、花を拾ってからの記憶がないんだろう。だとすると、一体いつ頃のラムなんだ?)と思い、どうするべきか悩んでいると、ラムとあたるの会話を聞いていたテンが
 「なぁ、わいにも分かる様に説明してんかぁ」と言って近づいて来た。しかしあたるは
 「説明は後だ。まずは対策を練らねば」と言うと、ラムに言った。
 「なぁラム。ちょっと俺をサクラさんの所に連れて行ってくれんか?」あたるの言葉にラムは、ちょっと不機嫌そうに
 「サクラに何の用だっちゃ?まさかデートに誘うとか言うんじゃないっよね?」と言ったが、あたるは
 「アホ!お前も一緒に行くんじゃ!」と言って、大きくなった花を抱えた。ラムは理由が飲み込めないまま、あたるの言う通りにサクラの所に向かった。
 ラムは、あたるの抱えている花がどうしても気になり我慢出来ずに聞いた。
 「ねぇ、ダーリンの持ってる花は一体何なんだっちゃ?妙に気になるんだっちゃよね」そんなラムの質問に、あたるは
 「今説明してる暇は無い。とにかく急いでくれ」と答えた。ラムは、渋々聴くのを諦めてサクラの家に急いだ。
 サクラの家に着いた頃には、すっかり日は落ちて周囲は暗闇に包まれていた。
 あたるはすぐに玄関の所へ行くと、玄関を激しく叩き
 「サクラさーん!」と叫んだ。すると家の中から
 「何じゃ騒々しい。今開けるから少し待っとれ」と声が聞こえ、玄関の引き戸が
  ガラガラガラ
 と音を立てて開き、サクラが姿を現した。サクラは、あたるが抱えている花を見ると何も言わずに家の中に入り
 「着いてくるがよい」と言って、奥に歩き出した。あたるとラムも慌ててサクラの後を追って家の中に入った。
 あたるとラムが通された部屋は、何も無い20畳ほどの部屋で、サクラはその部屋の中心に座ると
 「そこに座るがよい」と言って、サクラの目の前に有る座布団に目配せした。あたるとラムが言われるがままに座布団に座ると、部屋の奥の襖が開き
 「お?諸星あたるではないか」と言いながら錯乱坊が姿を現した。そして錯乱坊はあたるが抱えている花を見て
 「なるほどのう」と言いながらサクラの横に座った。錯乱坊の登場にあたるは
 (何でチェリーまでおるんだ)と思った。そんなあたるの気持ちが分かったのか錯乱坊は
 「そんな嫌な顔する事もなかろう。妙な気配を感じて来たんじゃ、助けてやろうではないか」と言ったが、あたるは
 「嫌な顔にもなろうが!お前が関わると、ろくな事にならん!」と言った。するとサクラが
 「まぁ、落ち着け。こう見えても叔父上の霊力は本物だ」と言って錯乱坊を横目で見て、更に
 「して、お主が尋ねて来たのは、その花の事であろう?」とあたるに聞いた。するとあたるは花とラムの事について事細かく説明した。
 あたるの説明を聞いていたラムは次第に暗い表情になり、あたるの話が終わると言った。
 「そんな…じゃウチはこのまま記憶が無くなって行くのを待つだけだっちゃ?」そんなラムの言葉にあたるは
 「だから、こうしてサクラさんに相談に来てるんだよ」と言うと、サクラに
 「それでサクラさん、何とかならないか?」と聞いた。すると話を聞いていた錯乱坊が
 「ふむ。これは物の怪の類いではないのう」と言い、サクラも
 「そうじゃな…この花からは妙な気配と力は感じるが、邪悪さは感じん。霊や物の怪ではない以上、お祓いする事は出来んのう」と言った。それを聞いてあたるは
 「やっぱりダメか…」と言ったが、サクラは

Page 2
戻る
Page: 01 02 03 04