友引町を奪還せよ-act2- (Page 4)
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「高校時代の俺ならラムの心配なんかよそに助けに行っただろう。だが今は行けない」
コースケは少し怒りを感じた。
「お前、ラムちゃんを命がけで守ろうとは思わねえのか!」
声は少し大きかった。その大きな音で屋根につもっていた雪が落ちた。
「この件、ラムの命は大丈夫だ。一族の長の娘を殺したとしたら鬼星艦隊は全力で攻めてくる。やつらもそこまで馬鹿じゃない」
日本と鬼星の条約には『地球で起きた事件は地球人によって解決する。ただし鬼星の人間が殺害された場合、その犯罪組織に対して武力行使に出る』
と、あった。しかし裏を返せば殺害されないと鬼星艦隊は来れないのである。
「それでも・・・」
「今死んだら、ラムに『好きだ』って言え無いままだろうが!」
まだあたるはラムに対して『好きだ』の『す』も言っていないのである。
「このままじゃ、未練が残って死んでも死にきれん・・・それにラムも言われないまま死んだら余計悲しむだろうが・・・」
時刻は十二時を過ぎ、十二月三十日午前零時五分を示していた。時計の音が静かな空間を支配していた。
「大人になって・・・いろいろと人のこと考える用になって・・・それで行動がやりにくくなる・・・。大人ってのは損だな・・・」
あたるは悲しく笑いながら言った。
「でも、大人になってお前はラムちゃんの気持ちが分かるようになった。失う物はあるがそれで得る物がある。良いことなんじゃないか?」
あたるはコースケを見た。
「お前も大人になったな。そんな難しいことを・・・。高校時代じゃ考えられんな・・・」
「やかましい・・・」
ー続ー





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