同窓会パニック!カニ先生が泣いた日(前編) (Page 3)
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「大丈夫だよ。それに、幹事が参加しない同窓会なんて、聞いたことないぜ」
これまた意外な事実に、あたるとしのぶはまた驚いた。企画したのも彼だった。
再びラムサイド。会場に入ると、お雪が現れた。
「あら、あなたたち、いらっしゃい。僭越ながら今回は私が幹事をやらせていただくことになったわ。
開始までまだ時間があるから、それまでゆっくりくつろいでいてね」
そう言うと、彼女はどこかに去っていった。
そこで、ラム、ラン、弁天の3人は、中学時代の友人を探して会場内を一緒に歩いた。
友人と適当にしゃべり、一通り会場内を歩いたところで、ランが、
「そういえば、あいつ、来るんかなー?」
と言うと、
「あいつって、誰だっちゃ?」
とラムが言うので、ランが、
「あいつや、あいつ!ほら、担任のカニ道楽のことや。ワシらの事何かと目の敵にしとった・・・覚えとるやろ?」
と答えると、ラムはああっと言った。どうやら思い出したようだ。
弁天がいやそうな顔をしながら、
「来て欲しくねーよなー。せっかくの楽しいパーティなのに、あいつのツラ拝みながらじゃ、おちおちくつろぐこともできねえ」
とぼやくと、ラムも、
「だっちゃねー。来て欲しくないっちゃねー。ウチ、できれば一生会わなければいいのにって思ってるっちゃ」
と同調した。ランは、
「あたしたちの気持ち、お雪ちゃんがちゃんと理解してくれていれば、カニ道楽を呼んだりなんかしないと思うんだけど・・・」
と、お雪に対して過大な期待を寄せた。
3人がこんな会話をしていると、突如会場が暗くなった。
すると、突然スポットライトが光り、その中にお雪が現れた。
ずいぶん凝った演出だなとラム、ラン、弁天の3人は思った。
「皆様、大変長らくお待たせいたしました。ただいまより、惑星中学3年P組の第1回同窓会を開始いたします。
私、今回の会の幹事を務めさせていただきます、お雪です。
いろいろと至らぬこともございますでしょうが、どうか最後までよろしくお願いいたします。
なお、担任のカニ道楽先生は・・・」
来るな来るな・・・ラム、ラン、弁天は祈るような思いでお雪の冒頭の挨拶を聞いていた。
「・・・先ほど連絡がございまして、お乗りになられていた宇宙船が交通事故に遭われたそうです」
こうお雪が言った瞬間、声こそ出さなかったものの、3人はやったと思った。
これで楽しい同窓会が・・・しかし、ここで話は終わらなかった。
「ですが、先生は、少し遅れるそうですが、参加については差し支えないそうです。
必ず来る。たとえ天と地が逆転するようなことになっても絶対に来るとおっしゃっておられました。
皆さん、どうかご安心ください」
この言葉で、3人の淡い期待は打ち砕かれた。3人ともがくっとした。
そして、このことがラム、ラン、そして弁天のその後の運命を決定づけてしまった。
弁天は、彼女を幹事に指名したことをとても後悔した。
開会の挨拶が終わった後、弁天は真っ先にお雪のところに行き、
「バッキャロー!!お雪、てめえ何でカニ道楽なんか呼ぶんだよ!?」
とものすごい剣幕で詰め寄った。しかしお雪は、
「だって同窓会でしょう・・・?私たちの担任として大変お世話になった先生を呼ぶのは当然じゃない」
と言って取り合わなかった。
ラムがテーブルの料理をつつきながら、
「あーあ、結局カニ道楽のヤツ、来るんだっちゃね。せっかくの楽しい同窓会が台無しだっちゃ!」
と言うと、ランもジュースを飲みながら、
「ほーんと、がっかりだわ。あのクラブ8式折檻型サイボーグ・・・考えただけでも寒気がしちゃう!」
と言うので、弁天も続けて、
「まったくおめえらの言うとおりだぜ!アタイらには、あいつとのいい思い出なんて、これっぽっちもねぇからなあ」
とぼやいた。
3人がこれほどまでにカニ道楽のことを嫌うのには、それなりのワケがあった。
ランが言ったとおり、担任はカニの形をしたサイボーグである。性別は男。
折檻型と言う呼ばれ方のとおり、彼は折檻が得意なのである。
話は2年前にさかのぼる。
ラムと弁天の悪童ぶりは、小学校時代にも増して激しくなっていた。
一方ランも、そんな2人に引きずられるように、小学校時代と同様(本人いわく嫌々)悪事を働いていた。
しかしお雪は、これまた小学校時代と同様、周囲の環境に惑わされることなく、
自分が今何をするのが一番よいのかを常に判断できる、したたかさを持っていた。
もっとも、普段は周りの人(例えば、あたる)からよく、しとやかだと言われるが。まあ外れてはいない。
そんな4人組の3年生のときの担任が、カニ道楽だった。
4人の性格は上で述べたとおりであったから、当然お雪は彼に褒められ、優等生とたたえられたが、
後の3人は、彼によって問題児、劣等生のレッテルを貼られた。
当然、3人は折檻の対象となったが、そのやり方がすさまじい。
彼女たちが今でも忘れられない折檻についてのこんなエピソードがある。
ある日のことだった。

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