Welcome To Another World(Chapter 5) (Page 2)
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酸性の物質すべてというわけではなく、なぜか酸性雨だけに・・・
でも私は大丈夫なんです。何でも、突然変異なんだそうです」
と答えた。
「やっぱりそうだったのね。ではジャンヌさん、もし彼らが酸性雨を浴び続けるとどうなるの?」
お雪がさらに質問すると、ジャンヌは、
「死に至るということはありません。でも、浴び続けるとたちまち皮膚が腐り、
中までも腐り、最後は体のその部分が腐り落ちてしまうのです」
と答えた。
「ねえ、あたしからも質問していいかしら?どうしてあなたのお兄さんたちは、
ラムやあたる君を狙うの?ラムはスーペリオル族に対する恨みからだととしても、
あたる君は地球で生まれて18年間ずっとここで育ったのよ?
普通に考えて、あなたたちがあたる君のことを知っているはずがないし、
ましてあたる君を恨む理由も、狙おうとする理由もないはずよ」
しのぶにこのように尋ねられて、ジャンヌは、
「兄やその仲間がラムさんやあたるさんを執拗に狙うのは、恨みからではありません・・・」
と答えた。
「じゃあどうして?あたる君とラムに何か秘密でもあるの?」
しのぶがさらに質問すると、ジャンヌは、
「実は・・・ラムさんとあたるさんの体には、それぞれレッドクリスタルとブルークリスタルがあるんです。
兄はそれを狙っているんです」
と答えた。しのぶがクリスタルのことを尋ねようとしたその時、
「うっ!!ぐわあああーーっ!!」
突然あたるが叫びだした。
「ダ、ダーリン!?どうしたっちゃダーリン!?」
ラムが泣きそうな声で叫ぶと、お雪が、
「中和剤の効き目が切れたんだわ!ラム、どいて!中和剤を注射するわ!」
と言い、あたるの左手に中和剤を注射した。するとあたるの発作は鎮まった。
「ふう、落ち着いたようね・・・でもこの中和剤もいつまでもつかしら・・・?
どんな薬も習慣性があるから・・・」
お雪がそう言うのを聞いて、ラムはまたしくしく泣き出した。ジャンヌが、
「中和剤!?お雪さん!どうして中和剤なんか使っているんですか?」
と尋ねると、お雪は、
「この人はね、あなたのお兄さんに殺されそうになったラムをかばって、
あなたのお兄さんの爪の毒に侵されてしまったのよ。それで・・・」
と答えた。それを聞いた瞬間ジャンヌは、
「な・・・何ですって!?それは本当ですか!?」
と血相を変えて叫んだ。
「なあ、おめえ解毒剤の作り方知らねーのか?」
弁天がそう言うとジャンヌは申し訳なさそうに、
「すみません・・・解毒剤はないんです・・・」
と伝えた。
「じゃ、じゃあ諸星はやはり、このまま死ぬしかないということですか!?」
面堂がそう尋ねると、ジャンヌは、
「いえ!方法がないわけではありません。ある植物の葉をすりつぶして、
エキスにして飲ませれば、あるいは・・・」
と答えた。
「ある植物って!?一体何なんだ!?」
メガネが尋ねると、
「ミラクルセージですわ」
とジャンヌは答えた。
「ミラクルセージって何なの?セージってことはシソの一種だとは思うけど・・・」
しのぶがジャンヌに尋ねると、
「ええ、おっしゃるとおり、それは薬草であるシソの葉の一種です。
それをすりつぶしたエキスを一口でも口にしたら、あらゆる怪我、病気もたちどころに治る、ということです」
とジャンヌは答えた。
「それで、それはどこにあるのですか?」
面堂が尋ねると、
「亜空間ベクトルXYZというところです。そこのジェームスの森の奥地に・・・」
とジャンヌは答えた。
「ア、アクウカン!?な、何ですかそれは?」
面堂がさらに尋ねると、
「平たく言えば異次元空間、別世界のことですわ」
とお雪が横から答えた。
「よーし、だったらこうしちゃいられねえ。アタイがひとっ走り行って来て、
その何とかセージってヤツを取ってきてやらあ。じゃあ・・・」
これで希望が見えてきたと陽気になった弁天の目に、
「うう・・・ダーリン・・・ダーリン・・・」
と湿っぽく泣くラムの姿が映った。
弁天は突っ伏して泣き続けるラムを無理やり引き起こし、ラムの左頬に、
パシィーーーン
と平手打ちをした。そして左頬を押さえてその場に立ち尽くしたラムに向かって、
「いつまで泣いてやがるんだっ!!」
と怒鳴りつけた。ラムが何も言わないので、さらに、
「おめえな、そうして泣いてりゃ、諸星が救われるのか?体の毒が消えるのか?
諸星のやったことが報われるのか?こいつの命が助かるのかよ!?
てめえの亭主はなあ、てめえを守ろうとして、今こんな目に遭ってんだぜ!?
それに対して女房として報いようと思うなら、今やることは1つだろうが!!」
ときつい口調で言った。弁天はラムに顔を近づけてさらに、
「周りを見てみろ。悲しいのはてめえ1人じゃねえんだぞ。ランだって、
レイの奴を目の前で殺されて・・・それでもこの場で必死に涙をこらえてんだぞ。
それを何だ!?そんなランに対して遠慮もなくピーピー泣きやがって・・・」
と怒鳴りつけた。
「弁天・・・別にあたしは・・・」

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