Welcome To Another World(Chapter 5) (Page 3)
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ランはただそう言った。しかしラムはうつむいてしまい、これを見た弁天は、
「・・・ケッ、やめた、やめた!てめえみてえな腰抜けに何言っても無駄みてえだな。
こうなったらアタイ1人でも行って来てやらあ。こいつが気の毒だもんなあ。
こんな腰抜けのバカ女のために命を賭けたこいつの間抜けさ加減がな・・・」
と言った。「間抜け」その言葉にラムは猛烈に反応した。
「・・・今、何て言ったっちゃ・・・?」
すると弁天は、
「ああん?聞こえねえなあ!?」
とラムを挑発した。するとラムはもっと大きな声で、
「今なんて言ったっちゃって聞いてるっちゃ、弁天!!」
と叫んだ。すると、
「へえー、聞こえなかったのか!?おめえ耳わりいのか?じゃあもう1回言ってやらあ!!
てめえみてえな腰抜け女のために命を賭けた諸星は間抜けだ、バカだ、ドジだ、
これじゃ犬死だなって言ったんだよ!!」
と外にも聞こえるような叫んだ。これを聞いたラムは、
「弁天っ!!ウチのことはともかく、ウチのダーリンの悪口はいくら友達でも許さないっちゃよ!!」
と激しく怒鳴った。突然始まった2人の口論に、周りは騒然とした。お雪は、
「弁天、言い過ぎよ。ラムに謝りなさい」
と言って弁天を押さえようとしたが、弁天は、
「はァ!?何が言い過ぎだってんだよ!?アタイは本当のことを言っただけだぜ!?
こいつはなあ、てめえの亭主のピンチに何もせず、ただじめじめ泣いているだけなんだぞ!
こんな薄情な女のために命を賭けるなんて、まさにバカな野郎のやることじゃねえか!!
諸星はタコなんだよ、スカタンなんだよ!!ハッハッハ!!おい!何とか言ってみろよ!!」
とあたるへの暴言を続けた。周りがフォローできずにいると、ラムが、
「やめるっちゃっ!!これ以上ダーリンの悪口言ったら、ウチ本気で怒るっちゃよ!!
それに、ダーリンはまだ死んでいないっちゃ!!ウチが・・・このウチが・・・
絶対にダーリンを助けてみせるっちゃ!!父ちゃんやテンちゃん、レイのようには絶対にさせないっちゃ!!」
と弁天に向かって叫んだ。すると弁天は薄笑いを浮かべ、
「ほー。じゃあおめえ、これからどうするんだよ?」
と尋ねた。ラムは、
「知れたことだっちゃ!ウチもミラクルセージ採りについていくっちゃ!!文句はないっちゃね!?弁天!!」
と答えた。それを聞いた弁天はかすかに笑い、
「・・・おめえの口から、その言葉が聞きたかったんだ」
とささやいた。この言葉を聞いた面堂は、
(なるほど・・・これで弁天様の腹の中が読めた)
と思い、竜之介も、
(弁天の奴、はなっからこれが狙いだったんだな・・・)
と思った。2人とも、これでいけると確信した。このあと早速、作戦会議が開催された。
「アタイのバイクにはあと2人誰か乗れるぜ!この中で誰かアタイらについてきてえ奴はいるか?」
弁天のこの申し出に、2人が名乗り出た。
「ボクが行きましょう!何せ、このまま諸星にばかりいい格好はさせられないですからね」
と言った面堂と、
「オレも行くぜ!どうせオレは、ここにいたって何の役にもたたねえからな」
と言った竜之介であった。
「よーし。これで決まりだな。じゃあ早速出発すっか!・・・おっとその前に、
おい、ジャンヌ。おめえの目で見て、諸星はあとどのくらい持つんだ?」
弁天にこう尋ねられて、ジャンヌは、
「そうですね・・・この症状の進み具合だと、もってあと24時間ですね。
それを過ぎたら、私はもう彼の生命は保障できません・・・」
と答えた。
「24時間ですか・・・それで間に合いますかね?」
不安げに面堂が言うと、弁天は、
「間に合いますかじゃねえ。間に合わせるんだよ!どんな手を使っても」
と言った。ラムも、
「24時間あれば十分だっちゃ・・・ダーリン、待ってて・・・すぐ戻ってくるから・・・」
と言うと、青ざめたあたるの頬に軽くキスをした。誰も騒ぐ者はいなかった。
そしてあたるの心拍数と脈が常に分かるように、携帯心電図と脈伯計を持った。
「じゃあジャンヌ、おめえはお雪やランと一緒に諸星のことを頼む。
それと残りの奴らは、病院周辺と町の警備をしてくれ」
弁天は巧みにリーダーシップを発揮した。
「弁天さん、それにほかの皆さんも、気をつけてください。
亜空間ベクトルXYZは、金と力がすべての、すさんだ世界です。
どんな危険が待っているか分かりませんから・・・」
ジャンヌがそう言うと、
「心配すんな!任しとけって!これ以上犠牲者を増やすようなマネはしねえよ!」
「だっちゃ!」
という頼もしい返事が返ってきた。
「面堂さんも竜之介君も気をつけて・・・」
そう言ったしのぶに、2人はそれぞれ、
「心配ありませんよ、しのぶさん。すぐミラクルセージを手に入れて、戻ってきますから」
「どんな敵が現れたって、オレがちょちょいとぶっとばしてやっからよ」
と答えた。そして4人が乗ったエアバイクが、今飛び立った。
ラムたちが部屋を出て行った直後、
「あ、みんな!そういえばご飯まだなんでしょ?あたし、何か作ってくるわ!」

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