Welcome To Another World(Chapter 5) (Page 4)
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とランが言った。誰の目にも、空元気であることは明らかだった。
「ラン・・・いいわよ。無理しなくても。あんなことがあった直後だもの。
私としのぶさんでやるから、あなたはもう少しゆっくりしなさいな」
お雪はランを気遣って、このように述べたが、
「いいの・・・何かやってるほうが気が紛れるし・・・ありがとう、お雪ちゃん・・・」
ランは寂しげに笑いながらこう言って病室を出て行った。
「お雪さん・・・私はインフェリオル族ですが、兄とその仲間がしたことは、
インフェリオル族として恥じています。いえ、自分がインフェリオル族であることを恥じています。
ですから私は、正義を守るため、ここに来たのです」
ランが出て行ったあと、ジャンヌがそう話すと、お雪は、
「そう。でも私は、正義のための戦争なんてこの世に存在しないと思うわ。
私はどんな形であれ、一刻も早くこの戦争が終わって欲しいと思うの。
だからあなたには、正義のためでなく、これ以上新たな悲しみを産まないために、
私たちに協力して欲しいの」
と伝えた。ジャンヌが難しそうな顔をしたので、
「あら、ごめんなさい。つまらないお説教しちゃって」
とわびると、ジャンヌは、
「いえ、よく考えたら、あなたの言うとおりですわね。私はインフェリオル族として、
仲間に対してこの侵略戦争が間違っていることを訴えたいと思います」
と答えた。
その頃ラムたちは亜空間に行くために、次元のひずみを探していた。
「ラム、さっきはすまなかったな・・・」
突然弁天がこう言い出したので、ラムは驚いた様子で、
「ど、どうしたっちゃ?いきなり・・・」
と返事すると、弁天は、
「ほら、さっきの諸星への悪口のことだよ!あれは本心で言ったことじゃねえんだ。
おめえがよう、いつまでもめそめそしてたから・・・それで・・・」
と決まり悪そうに言った。それを聞いてラムは、
「わかってるっちゃよ!弁天が友達の傷つくようなこと言うわけないもんね。
大丈夫だっちゃ!ウチは、ダーリンの命が助かるまでは、絶対にもう泣かないから」
と元気に答えた。それを聞いて弁天はニッコリ笑った。
そんな中、面堂が携帯電話を取り出し、どこかに電話をかけ始めた。
その様子を見ていた竜之介が、
「よう、面堂。こんなときにどこにかけてんだ?」
と尋ねると、面堂は、
「いえ、ちょっと忘れていたことがあったもので・・・ボクだ、終太郎だ」
と言い、電話に向かって話し始めた。
「・・・というわけだから、すべてお前に任せる。いいか、ボクが家を空ける今、
お前がしっかりしなければならんのだからな。じゃ、切るぞ」
と言うと、電話を切った。
「ねえ、終太郎。誰にかけたっちゃ?」
ラムの問いかけに対し、
「了子です。ちょっと言い忘れたことがあったものですから」
とだけ答えた。その時、
「おい!次元のひずみ、やっと見つかったぞ。しかし何で今日はこんなに手こずったんだろうな・・・?」
と言う弁天の声が聞こえた。彼女がそう言うのももっともであろう。
いつもなら3分もかからないひずみ探しが、今日に限って30分以上もかかった。
やっと見つかったのが、八王子市の上空という有様だった。
「よし。今からひずみに突っ込むぞ!揺れるかもしれねえから、3人とも、
何かにしっかりつかまれ!絶対振り落とされんじゃねえぞ!!」
弁天が3人に向かってそう告げると、エンジンがうなりをあげ、
ひずみに向かって猛スピードで突っ込んだ。
「わぁーー!速いのこわいよォーー!」
面堂はこう叫んだが、今さらバイクは止まれなかった。
一方、ここは面堂家私設軍隊の兵舎である。大将である面堂からの連絡がなく、
どうしたらよいかと迷っていた矢先、了子がそこに現れた。
髪を後ろで束ね、迷彩服に身を包んでいた彼女は、現れるや否や、
「みんな、聞きなさい!たった今から、あなたたちの指揮はこの私が執るわ!
誰か異存のある者はいるかしら!?」
と叫び、皆に自らの信任を問うた。誰も異存を唱えるものはいなかった。
彼女の迫力に皆圧倒されていた。
その瞬間、面堂家私設軍隊の指揮統帥権は、今年高校生になったばかりの少女の手に委ねられた。
To be continued......
Toshio

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