Welcome To Another World(Chapter 7) (Page 4)
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アンジェラはそれを聞いて鳩が豆鉄砲食ったような表情でそう言った。
「ミラクルセージをくれてやると言ってるんだ!さあ、時間がないんだろ!?早くこっちに!!」
状況が飲み込めぬまま、ラムたちはハインリヒに言われるがままにあとをついて行った。
程なくして、大きな木の前でハインリヒは止まった。その木の周りには、ミラクルセージが青々と生い茂っていた。
「好きなだけ持っていくがいい。それをすりつぶしてエキスにして飲ませればよいのだ」
ハインリヒは5人にそう告げた。
「ど、どういうことです・・・さっきミラクルセージはすべて枯れかかっていると・・・」
面堂の問いかけに、ハインリヒは答えた。
「さっきまではお前たちをテストしていたのだ。ミラクルセージを与えるにふさわしい者かどうかのな・・・」
それを聞いてラムは、
「どういうことか説明して欲しいっちゃ」
と言った。
「もしお前が、自分の夫を救うためなら仲間さえも犠牲にするような輩であったら、
自分の欲望のために平気で人を殺すような輩であったら、ミラクルセージは与えず、お前を殺すつもりだった。
邪な心の者には、これを得る資格などないと私は思っておるからな。
・・・早く夫の元に戻るがいい。危険な状態なのだろう?」
ハインリヒはこう答えた。ラムは小さくうなずいた。その直後、
「あーーーっ!!しまったあ!!」
突然弁天が大きな声を上げた。
「どうしたんでい、弁天!」
竜之介に尋ねられると、
「バイク・・・あの村に置きっぱなしだ・・・」
弁天は呆然とした表情で答えた。
「まずいですよ、それは!今から森を出て村に戻るまでどれだけかかることか・・・もう諸星が・・・!!」
アラームが鳴り響く中、面堂もそう言った。すると、
「バイクとはこれのことか?」
突然ハインリヒがそう言った。彼の目の前には弁天のエアバイクがあった。
「あれー!?どうしてこんなところに!?」
弁天は不思議そうに言った。
「そんなことはこの際どうだっていいだろう。早くお前たちの世界に戻れ!
お前たちの世界に出るための次元のひずみを私の力でここに開けておいた。
そこを抜ければ、お前たちの住む町まで出られるはずだ」
ハインリヒはそう答えた。
「本当に・・・ありがとだっちゃ!これでウチのダーリン、きっと助かるっちゃ!」
ラムは心からの礼をハインリヒに伝えた。それと同時に、アンジェラともお別れとなった。
「おめえにも、いろいろ世話んなったな。ありがとよ」
弁天にこう言われると、
「何言ってんのよ。お礼を言うべきなのはあたしのほうよ。本当に何から何まで・・・ありがとう!」
アンジェラもこう返した。
「あばよ、アンジェラ。おめえの親父さんによろしくな」
最初にアンジェラを助けた竜之介もこのように別れの言葉を告げた。
4人はバイクに乗り、人工の次元のひずみに突っ込んだ。こうして4人は亜空間ベクトルXYZをあとにした。
一方面堂邸では、あたるに対する懸命の処置が施されていたが、あたるの脈も呼吸も弱くなる一方だった。
「だめ・・・もう中和剤は全然効果がないわ・・・はっきり言って、もう私のできることは・・・」
お雪はまさに、さじを投げてしまった。
「そんなあ・・・このままじゃダーリン・・・死んじゃうわ・・・!!」
「ねえ、何かないの!?何かやることはないの・・・!?」
ランもしのぶもこう言ったが、
「今の私たちにできるのは、少しでも早くラムたちが戻って来るのを祈るだけだわ・・・祈りましょう」
お雪はこう答えるのがやっとだった。そのときだった。
チュドォーーーーン
大きな爆発音が鳴り響いた。部屋の中が揺れに揺れた。
「な・・・何や!?一体何が起こったっちゅうんや!?」
ランはパニックを起こした。しのぶはおもむろにテレビのスイッチを入れた。
「・・・日本を除くすべての国が侵略者の攻撃により壊滅状態になりました。
その中には無条件降伏し、日本が降伏した時点で彼らに従属することを決めた国もあります・・・」
しのぶはチャンネルを変えた。
「・・・先ほどついに、侵略者たちが日本に襲撃してきました。
東京など、各地の大都市を中心に、次々と無差別爆撃を・・・う・・・わああーー・・・!!」
画面は砂嵐になった。
「こうしちゃいられないわ!私、行ってくる!後はお願いするわ!!」
しのぶは隅においてあった銃を取り、病室を飛び出した。
「はははは!!壊せ!ぶっ潰せ!!降伏していないのはこの国だけだからな!!ユートピア完成は近いぞ、皆の衆!!」
フィリップは高笑いをしながら兵隊たちに命令した。
ラムたちもひずみを出た直後、目の前にこのような惨状が映った。
「くそお・・・遅かったか!!」
面堂は悔しそうにそう叫んだ。
「ひでえ・・・なんてことを!!」
竜之介も唇を噛み締めそう言った。
「弁天!ウチ1人でダーリンのところに戻るっちゃ!!弁天たちは早くメガネさんたちの援護に行って!!」
ラムがこう言うと、
「分かった!でも、もし途中で敵に遭っても無茶すんなよ!諸星の命を救うことが最優先だからな!!」

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