時は夢のように・・・。「第三話(其の弐)」 (Page 3)
Page: 01 02 03 04 05

メガネ「あたるの誘惑に誘われてしまうパーマも軟弱だが、やはり元凶はあたるだった。」
あたる「でもなぁ、メガネ・・。」
メガネ「言い訳は聞かん! どんな弁解をしようがあたるとパーマは重罪を犯したのだ。二人にはしかるべき処罰を与えてくれよう!」
あたる「ちょっと待てよ、俺はラム親衛隊じゃないぞ! 無関係なんだ! パーマだけくすぐり地獄やりゃあいいじゃないか!」
メガネ「くすぐり地獄? ふふふふふ・・、そんな生易しい事で済めばいいんだけどなぁ・・。うふふふ〜〜・・・。」
 にやっと眼鏡の中にサディスト的な眼つきを俺に向けた。
 ゾッと背筋が凍りついた感じがした。
あたる「お、お俺に、ど・・どうしろというのだ・・?」
 メガネに少々恐怖を感じて戸惑ってしまって、つい口走ってしまった。これじゃあなんでも要求しろと言ってる様なもんじゃないか。
 してやったりとばかりに意味深な笑みを浮かべたメガネ。
 そこにタイミングを見計らっていたように、面堂が便乗してきた。
面堂「メガネ、諸星も困っている様だし、こうしたらどうだ?」
 何かを思いついたらしい面堂が、面白そうに笑った。そしてメガネと顔を突き合わせた後、しばらくして、メガネが切り出した。
メガネ「あたるぅ〜〜、今回もお前を許そうじゃないか。その代わりにだな・・・。」
面堂「今日の帰りに、諸星家に寄る。」
あたる「なにーーーっ!」
 動転する俺に、メガネがさらに突っ込む。
メガネ「我々に例のラムさん以外の美少女という唯さんを紹介すること。心配させたのだから、あたるもそれくらいフォローするんだな
    ぁ。やましいことが無いなら、そのくらい構わないだろう?」
あたる「心配だってぇ? ただの脅しじゃないか!」
メガネ「それとも、親友の俺たちを自分の家に呼ぶのも遠慮しなくちゃいけないほど、縮こまって暮らしてるわけか?」
 痛いところを突いてきやがる。そうまで言われると、俺も退けない。
 周りではパーマとカクガリ、チビがそろってにやにや笑ってやがる。
あたる「分かったよ。来ればいいだろ!」
 ったく! 結局こうなるんだよ。俺って立場弱いよなぁ〜・・・。
パーマ「へへへっ、俺たちに黙って幸せを独り占めにしたバチが当たったんだ。」
 パーマの言葉とにやけた顔が無性に頭にきた。俺は木槌を振り回しながら、ひとしきり教室中追い回した。

                             *
 授業が終わって、俺たちは揃って学校を出た。
 ラムは用事があるとかで先に帰ってしまった。どこかに寄ってくるんだって。

自宅。
あたる「ただいまーっ!」
「こんばんはーっ!」
「お邪魔しまーっす!」
 メガネ達の声がステレオの様に玄関に響き渡った。
 台所で夕飯の支度をしていた母が驚いたような表情で顔を出した。
母「あらあら、大勢で珍しいわね。ゆっくりしてってね。・・・夕飯は出してあげられないけど。」
「おかまいなくーっ。」
 玄関を上がると二階に行こうとした。しかし、連中は玄関から動こうとしないので、声をかけた。
あたる「お前ら早く来いよ。」
 辺りを窺うようにキョロキョロしている一同。面堂に至っては、手鏡でヘアスタイルをチェックしている始末だ。口では何と言おうと、
まだ見ぬ『評判の娘』に期待しているみたいだ。
メガネ「ゆ・・唯さんは・・?」
あたる「まだ帰ってないんだろ。そのうち帰って来るよ。」
「なんだ・・・。」
 誰が言ったか分からなかったけど、その言葉につられたように全員ががっくり肩を落とした。
 まったくこいつらときたら・・、呆れて言葉が出ねーよ。とりあえず自分の部屋に招き入れた。

あたるの部屋。
 無意味に近い時間がしばらく続いた。
 部屋に散らかっていた雑誌をペラペラめくりながらカクガリがポツリとつぶやいた。
カクガリ「・・・つまんねぇな。」
チビ「ラムちゃんも居ないなんてさぁ、俺たちなにしに来たのかなぁ・・。」
 後に続くように、チビ。
 テーブルの周りに、俺たちは向かい合わせに座って、お茶をずずっと啜る。誰もが無言で、お茶を啜る音がヤケに大きく聞こえる。
メガネ「・・・なんで俺たち、こうやって顔突き合わせてなきゃならないんだ? ラム親衛隊の最高幹部会会議を蹴るんじゃなかったな。」
 と、メガネ。面堂は腕時計に目をやった。
面堂「まったくだな。これなら僕は面堂家の新製品開発ミーティングに参加していたほうがよかった。」
あたる「勝手なこと言うな! お前らが勝手に押しかけてきたんじゃないかよ!」
メガネ「・・・おっ、そう言えばパーマ、お前あのミキちゃんとはどこまでいったんだ?」
パーマ「ぶっ!!」
 突然メガネから意外な言葉が出できたので、パーマは口にしていたお茶を噴き出してしまった。
パーマ「メガネ、お前知っていたのか・・?」
メガネ「ふふふ・・、で、あの娘とはどこまでいったのだ?」
 ビクビクしながらパーマは口を開いた。

Page 2 Page 4
戻る
Page: 01 02 03 04 05