時は夢のように・・・。「第三話(其の弐)」 (Page 5)
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面堂「いや、こういうのはな、不毛というのだ。」
 面堂は一口、お茶をすすって、ほうっと溜め息をついた。
メガネ「違うっ! そういうことじゃなく、面堂から聞いた話と全く違うではないかっ!! 『あたるが手を出さない程の娘』と聞いていたか
    らその程度の娘だと期待半分だったのだ!! それがどーだ!! ものすごい美女ではないかっ、ええっ!!」
面堂「確かにメガネの言うとおりだな。あれだけの美女だ、諸星が手を出さないはずが無い!」
 ゆらりと立ち上がって、ゆっくりと刀を前に出すと封印の紐を解いた。
面堂「正直に答えてもらおうか諸星・・。貴様、ラムさんという女性がありながら、唯さんにナニをしたっ。」
あたる「ちょっと待て、ずーーっと言ってるだろ。俺は『手が出せない』のだ! 野蛮な妄想を巡らせて勝手に決め付けるなっ!」
メガネ「ほほぉ、その『手が出せない』理由はなんだ?」
あたる「わからん。」
 間髪入れず答えたが、正直な回答だ。
面堂「話にならん。やはり解決する方法は一つの様だ・・。諸星をこの場で、斬るっ!」
 じりじりと俺に詰め寄る五人。むき出しの殺気がビリビリ感じる。
あたる「冷静に話し合おう。お前らナニに興奮してるんだい?」
パーマ「決まってんだろっ!」
カクガリ「な・ん・でっ!」
チビ「いつもあたるだけがっ!」
メガネ「美女に縁があるのだっ!」
面堂「納得がいかぁーーーんっ!!」
あたる「結局はソレじゃないか!」
 面堂の斬りこみに続いてメガネ達が飛びかかってきた。所詮、多勢に無勢、俺は逃げ回るしか出来なかった。

「お邪魔しましたぁーーっ!」
 家中でさんざん大暴れしてスッキリしたのか、やつらは清清しい挨拶を響かせながら帰って行った。
 俺は、支える棒が必要な程ボロボロになった身体を引きずって、玄関で見送った。

 そして・・・。
 月曜日、登校した俺は、途端にクラスの奴らに囲まれた。
 土曜のことが噂になって広まったらしい。
 サクラ先生も『変な誤解が広がる前に』って事で、みんなに事情を説明したんだそうだ。確かに俺の場合『変な噂』が地球規模に発展す
る事が多いからな・・・。
 おかげで俺は一躍、男子生徒たちの羨望と嫉妬を一身に集めることになった。ラムが側にいるだけでも敵は多いのに、その枠が劇的に広
がった感じだ。椅子にガビョウが置いてあったり、カミソリ入りの不幸の手紙を送り付けられたり・・・なんてことはされていないけど。
 そして同時に女子の興味の対象になっちまった。
しのぶ「ねえ、あたるクン。一緒に住んでる娘ってどんな娘? ラムとは最近どう?」
 しのぶが、興味津々といったふうに聞いてくる。
 女子の興味はもっぱらそれにつきる様だ。ったく、どっかの芸能ゴシップじゃないんだ。でも、なんか変なもんだ。ラムと同居が始まっ
た時もこんな感じだったな、照れくさいやら、自慢したいやら。くすぐったい感じだ。
 しかし、幸せな奴らめ。やっぱりおまえらには分からんのだ。
 女の子と一緒に生活するってのはなっ、すんげー大変なんだぞぉーーっ!!
 俺は思わず、大声でそう叫びたくなった。


エンディングテーマ:心細いな
                                           第三話『噂は色々ありますが。』・・・完

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