時は夢のように・・・。「第三話(其の弐)」 (Page 4)
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パーマ「そうだな・・・、友引メルヘンランドまで。」
カクガリ「何十年前のギャグだ、そりゃ。」
 カクガリがパーマの頭をパカっと殴った。
パーマ「お前ら・・、俺に彼女がいたこと知ってたのか・・・。」
カクガリ「知らいでかよ。」
チビ「パーマ、抜け駆けだよ。」
 パーマの目にはうっすら涙が滲んでる。
メガネ「もう、お前との付き合いも長いからな。」
 メガネの一言で、ぶわっとパーマの目から涙が溢れてきた。するとパーマはテーブルに突っ伏してヒーヒー泣いた。
 しばらくして、パーマが落ち着くと、メガネが一言言い放った。
メガネ「お前の裏切りの処罰は考えなけりゃならんがな!」
パーマ「みんな知ってて、わざと見て見ぬふりしてくれてたのか・・。す、すまねぇ・・みんな。」
 なーんだ、メガネ達ミキちゃんがパーマの彼女だって知ってたのか・・。待てよ、じゃあ、なんで俺は拷問されたんだ?! メガネ達にもハ
メられてたってーのか?! 冗談じゃない! 一番損しているのは俺じゃないかよ! 友情の美しさに感動している場合じゃねーよ!
 新事実を知って、怒髪天を突くぐらいムカっぱらがたったんだけど、ここは一つ冷静になってメガネに突っ込みを入れてみよう。
あたる「でもメガネよ、それって、罪人をかばう事にならんのか? 罪人をかばう事はラム親衛隊あるまじき行為なんだろ?」
メガネ「あ・・。」
 メガネの眼鏡がずるっとズレると、すぐに人差し指でかけなおした。
メガネ「も・・もう何も言うな、俺たちの青春は言葉なんかじゃない。」

 その後、パーマに彼女がいると分かった時点でただちにメガネが裏切り者のパーマに対して鉄槌をあたえなかったのはなぜか、深層まで
突っ込んでやろうとしたが、どうもメガネに上手くはぐらかされてしまった。メガネの奴、もしかすると、叩けば誇りが出たりして・・。

 しばらくすると、静かだった庭の方からバイクのエンジン音が聞こえた。
「ただいまーっ。」
「ただいまだっちゃーっ。」
「お邪魔しますぅ。」
 エンジン音が止まってすぐに、玄関で、何人かの女の子の声が響いた。一人はラム、もう一人は唯ちゃん。もうひとりは?
 トントントントン・・。
 階段を軽やかに上がってくる音がすると、部屋のドアが開いた。
 制服姿のラムが部屋を覗く。
ラム「ダーリン、ただいまだっちゃ。実は唯と待ち合わせしてたっちゃよ。・・あれ? みんなどうしたんだっちゃ?」
面堂「お邪魔してます。ラムさん。」
四人「こんばんはーっ。お邪魔してまーっす!」
 ラムの後に続くように、唯が顔を出した。
唯「あたるさん? お友達がきてたの?」
 唯は今朝見かけたいでたちだ。茶色に斜めに配したボーダーがポイントのカットソー、ダークブラウンのスカートは膝上まで上げられて
て、結構そそられてしまう。大きなリングを二個あしらったアンティーク風なベルトが、全体をさりげなくまとめている。
 唯の後ろには初めて会う女性の姿があった。
 柔らかくウェーブのかかった長い髪と、えくぼが可愛い、ぽっちゃりタイプの娘だ。いたずらっぽそうな眉をしてる。
「こんばんは、はじめまして。」
 俺は反射的に頭を下げた。
 ううっ、やばい、どういうワケだか緊張してる。
唯「あたるさん、彼女は私とおなじ仕事場で、同期の中山沙織。親友なの。今日はあたるさんに会ってみたいって言うから連れてきたんだ
  けど、お友達がいるなら、また今度にするわね。どうぞごゆっくり。」
 とりつくしまもなく、唯と沙織ちゃんは唯の部屋に行ってしまった。
ラム「あっ、ウチも一緒に行くっちゃ。」
 そう言うとラムも唯の部屋に行ってしまった。
 15分ほどして部屋から出てきた三人は、俺の部屋のドアをノックすると、返事も聞かずドアを開けて、
ラム「ダーリン、ウチら、ちょっと出かけてくるっちゃ。今夜は沙織のお宅で夕ご飯をご馳走になってくるっちゃ。あまり遅くならないで
   帰るから、心配しないで。」
沙織「私と唯とラムちゃんとで、ゴールデンウィークに旅行しようと思ってるの。その話し合いですから。」
 沙織ちゃんが手を振った。パタンとドアが閉まる。
あたる「な・・なにぃ、旅行だってぇ?!」
 そいつは初耳だぞ! 不覚だ! 俺の知らないところでそんなプロジェクトが進行していたとはっ!
 寝耳に水ってのはこのことだった。
 娘たちの笑いさざめく声と、足音が遠ざかっていく。
 取り残された俺たちは、顔を見合わせた。
メガネ「あ・・・あ・・あたるぅーーーっっ!!」
 いきなりメガネが俺の胸ぐらを引っ掴んできた。
あたる「なんだよ?!」
メガネ「貴様ぁっ、いったいどーゆーことだこれはーっ!!」
 俺をガクガク激しく揺さぶって興奮絶頂のメガネ。額には青筋が見え隠れしている。
あたる「俺は何も知らんっ! 旅行なんて初耳だよ!」
カクガリ「もしかしたら、あたるも旅行に誘うはずだったのかな・・。」
チビ「・・・邪魔しちゃったかな、俺達。」
 二人がボソッとつぶやいた。

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