時は夢のように・・・。「第八話」 (Page 2)
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俺が話し出した時だった。
面堂は急に両耳を押さえると、頭をブンブン振って、
面堂「聞きたくないっ! 死人が出たなんて話、僕は絶対聞かんからな!」
・・・あのなぁ。
パーマ「うははっ、面白いなぁ、お前ら! 漫才の練習だろ?」
とパーマまで勝手なことをほざきはじめる中、ついに俺は立ち上がってわめいた。
あたる「お前ら、ちゃんと聞けよ! 俺が悩んでるのはラムとのことなんだ!」
俺は、ハッとした。ラムが同じ教室にいるのに、大声で叫んじまったじゃないか。
ラムの姿を目で追ったけど、見当たらない・・。ホッと息を吐いた。
そんな俺を、二人が瞬きしながら見た。
俺は腰を落とすと、文字通りに頭を抱えて、
あたる「・・・唯ちゃんとの会話を聞かれちゃってさ。マジでやばいんだ。」
面堂はタメ息をついて、再び俺の前に座りなおすと、
面堂「・・・話せ。」
真剣な口調が、少しありがたい。
俺は頷いて、口を開いた。
あたる「・・・実は、台風が去った次の日・・・。」
*
話は、4日程さかのぼる。
あの日、俺は、唯から告白された。
突然のことだったから、唯がなんて言ったのか、はっきりとは思い出せないけど、
唯「あたるさんがいてくれるだけで、すごく心地いいの・・・。でも、あなたとラムさんのことを考えると、心が叫んで・・痛くて・・ど
うしようもなくなっちゃう・・。・・・あなたが好き・・。」
俺が、ラム以外から告白されたことなんてほとんどなかったから、正直なところ嬉しかった。夢じゃないかと思ったほどだ。
でも、俺が有頂天にあったのは、ほんの数秒で、玄関のドアを開けた瞬間に、どん底まで突き落とされたのだ。
唯からの告白の一部始終を、玄関のドア越しとはいえ、ラムに聞かれてしまった。
俺は、二階に逃げるように飛び去るラムを見て、ピンときたんだ。
ダッシュで後を追って、部屋まで行ったんだけど、
あたる「ラムっ、話を聞いてくれっ。・・っ!」
目を真っ赤にさせて立ち尽くしているラムを見たら、それから言葉が出てこなくなっちまって・・。
ラム「ダーリン・・・さっきの唯との話、なんなんだっちゃ?」
ラムはそう言うと、俯いてしまった。
俺はなんて答えたらいいのかわからなくて、そのまま黙ってラムを見ていた。
多分、一瞬の時間だったんだろうけど、すごく長い間に感じた。
その時だった。
階段から、足音と、声がが聞こえたんだ。
唯「あたるさーん。荷物運ぶの手伝ってくれませんかー?」
階段の方から、唯が俺に声をかけてきたんで、一瞬目がいって、またラムに目を戻した。
そしたら、もう、そこにラムはいなかった。
窓の外に、飛び去ってくラムが見えたんで、俺は窓際に駆け寄ったんだけど、声なんかかけられる暇もなく、あっという間に、ラムの姿
は俺の視界から消えた。
少しの間、俺は、ラムが消えた真っ青な空をじっと眺めてた。
声をかけられたのは、そんな時だった。
唯「あたるさん、どうかしたの? あ、あの、さっきはごめんね。あんなこと言っちゃって・・。あ・・ラムさんは?」
真っ赤な顔で、唯。
俺は唯の顔を見つめた。でも、なんか頭がクラクラして、ちょっとのあいだ放心してたみたいだ。
唯「どうか・・した?」
唯の二度目の問いかけで、俺は我に返った。
あたる「あ、ああ。ちょっと急用ができたって、・・UFOに帰ったよ。」
唯「そうなんだ・・。」
ほんの少し、唯の顔が影った。
心配させちゃ悪いから、唯には、後でうまく言って誤魔化したんだけど、どうかなぁ・・。
ラムは、その日は帰ってこなかった。
翌日、ラムは普段と変わらない風で、俺たちの前に現れたんだ。唯とラムの会話も、いつもと変わらない感じだ。
でも、微妙に違和感があって・・・接し方とかにさ。
俺は指折り数えた。
@電撃リンチがなくなった。
A行動が別々になった。
B冷たくあしらわれることもしばしば・・。
俺にとっちゃ、嬉しいことばかりだけど・・、冷たくあしらわれるのは、とても腑に落ちない抵抗がある。
以前とはそれほど変わってないと、思えばそれまでなんだけど・・。
確かに、電撃リンチだって、俺が悪さしたときの鉄鎚だし。いつもいつも同じ行動ばかりもしていないし・・、喧嘩すれば冷たくあしら
われるコトだってある。
俺の考えすぎなのかな・・・。
結局、俺と唯は一緒の部屋で生活している。唯は3人一緒でも平気だよって言ってたけど、ラムはUFOがあるからって言って、毎晩U
FOに帰って寝ている。あんなにまで反対してたのに・・。今は、当たり前ってな具合で、平気な顔してやがる。
俺を信用してくれたのか? だから唯と俺を一緒の部屋で生活するのを許した?
・・・それとも、俺を嫌いになったのか? だから、もう俺のことには口を出さなくなったとか?
でも、ラムの様子はあまり変わらないし・・。
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