「ザット・クレイジー・サマー」第四話 (Page 1)
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〔ザット・クレイジー・サマー〕 第四話


キコキコキコ…


サクラ「友引高校から出発した自転車の群れ、群れ、群れ。殺気立っている…。無理はない、欲望という重い荷物を積んでいるのじゃからのう…」



ここは学校グラウンドに設けられた大会本部。テントの中で実行委員会のメンツがここに陣取っている。
愛しの「ダーリン」を監視しようとする、「電撃少女」も、当然のごとくそこにいた。


メガネ「いや〜ラムさん!わが大会本部をご視察くださるとは、
    大会実行委員長として大変に光栄であり感激の念に堪えません!!
    このご視察は記念すべき光芒のものとして永久に記念さるべきものにて『友引全史』に…」

パーマ「…まあ、あれはいいとして、それにしても、何か御用?」
ラム「ダーリンの様子を見に来たっちゃ!」
メガネ「ああ、そういうことですか。モニターはあちらです、ささ」

モニターには、全員の様子と現在どこにいるかが一目でわかるようになっていた。
…といっても、見るまでもなく尋ね人の動向を探ることができた。

しのぶ「実況の三宅しのぶです。まだ、各選手横一線に固まっています。あっ!諸星選手が少し抜け出したようです、諸星選手トップ!」

モニターの前にかじりついているのは、しのぶ。なぜか実況係を買って出た。
ペンは剣より強いということをたぶん彼女は意識してい……ないでしょう。

メガネ「順当な結果だな。」
パーマ「だな。」
ラム「やはりダーリンというか、さすがダーリンというか…」
サクラ「諸星が首位か…まあ、じゅ〜ぶん想定の範囲内じゃがな…」
メガネ「女性が絡むとすぐこうだ…」
サクラ「この調子じゃと、少なくとも今日一日は独走トップ状態じゃろうな…」
ラム「そーだっちゃね…」
  
  (さ〜て、ど〜ダーリンを足止めするか…)

メガネ「あ、ラムさん、どこへ?まだまだゆっくりしていらしてください!
    せっかくわさびご飯にトンガラシ・からし明太子のタバスコスープをご用意したのに…」
ラム「折角のご馳走だけど断るっちゃ。うち急用ができたっちゃ。」
メガネ「そうですか…残念ですが仕方ありませんね‥‥ほお〜たあ〜るのお〜ひい〜かあ〜ありい〜・・・グズ…」
パーマ「ほんじゃまあ、お達者で」
ラム (さて、早速UFOに戻って)

サクラ「ちょっと待て」
飛んでいたラムを呼び止めた。

ラム「どうしたっちゃ、サクラ?」
サクラ「まあ、妨害は自由じゃからいろいろ止めるつもりはないのじゃが…やり過ぎんようにな。第一おぬしは行動が素早い。
    それは悪く言えば猪突猛進ということじゃ。収拾がつかなくなっては手遅れじゃ。
    そうなればかえってそういった場をのらりくらりとすり抜けられる諸星有利に話は進むことになる。くれぐれも沈思熟考、熟慮断行、審念熟慮を…」
ラム「チンシジュッコー?ジュクリョダンコー?シンネンジュクリョ?サクラ何言ってるっちゃ?」
サクラ「…おぬしは日本語に疎かったのぉ…ま、ようするに慎重に物事は行わんとかえって奴を有利にするだけ、ということがいいたかったのじゃ。」
ラム「な〜るほど。ありがとうだっちゃ。」
空に飛び立つラム。

サクラ「やっぱり胸騒ぎがするのう…」




しのぶ「あーっ、諸星選手逆送!盛大に逆走しています!!」

サクラ「…やはり予感的中か…ま、大方竜之介を追ってのことじゃろう」
メガネ「御名答ですサクラ先生」


あたる「竜〜〜ちゃん!」
竜之介「何しやがんでい藪から棒に!」
あたる「ささ、僕たちの恋のレースを始めようか…」
竜之介「てめえ、人に抱き着いてそんな歯が浮くようなセリフ吐きやあって!!てえめえ!!」
あたる「ひょいっ。だてに君のパンチを毎回受けてるわけじゃないよ、」
竜之介「待ちやがれ〜!」



しのぶ「藤波・諸星両選手後退、ストップ!先頭集団から大きく引き離されています!」

メガネ「諸星が最下位か…なかなか面白くなってきた!クッ…クックック…ま、とりあえずこれでラムさんも安心だろう!
    これであたるの鼻を明かせるってもんよ!ざまあみやがれ!なあパーマ!」
パーマ「ラムちゃんは喜ぶだろうけどよお・・・」
メガネ「ん、けどってえと…あー!」


観客「あたるのやろ〜、帰ってきたら覚えてろ、竜之介ちゃんに…」「そんなことにうつつを抜かす暇ないんだぞ、お前俺に小遣い全額賭けたんだかんな!」
   「本命候補がそんな調子でいいのかよ!」「さっさかレースに戻れ、あたる!」「実行委員会責任とれ!どうにかしてあたるを走らせろ!」
   「こんな下らん大会やりおって、校長はクビだ!温泉は永久追放だあ!!」「あたるを退学にしろ!!」「なけなしのへそくりを返せえ!!」
   「これは陰謀だ!俺たちがあたるに賭けた金を巻き上げようっていう算段だぜ、きっと!」「ふてえ野郎どもだ!」「大会組織本部を打倒せよ!」

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