うる星やつら―アナザーワールド― エピソード1 (Page 1)
Page: 01 02 03 04


   うる星やつら―アナザーワールド―
       エピソード1


 深夜の友引町。鳴り響く雷鳴の中、びしょ濡れになりながら空を飛び去るラムの姿が有った。
 「あんな事になるなんて・・・・ウチのせいだっちゃ!でも・・・何で?」
 ラムは、困惑の表情を浮かべ飛び去っていった。事の始まりは、3日前に遡る。

   ………………3日前………………

 友引高校の図書室。この日2年4組は、終日図書室で自習だった。不意に、メガネがあたるに話しかけた
 「おい、あたる」あたるは、メガネに話しかけられメガネの方を向くと
 「ん?なんだ?」と答えた。ここまでは、いつもの日常だった。しかし、それは次のメガネの一言で一変した。
 「お前、双子だったっけ?」メガネの質問にあたるは
 「何を言い出すかと思えば、俺が双子の訳無かろうが」と言った。するとメガネは
 「だよな・・だが、確かにこの前見たのはお前だったと思うんだが・・・」メガネの言葉にあたるは
 「じゃあ、俺じゃないのか?」と、面倒臭そうに言った。しかし、メガネは
 「アホ!その時、お前はラムさんと面堂の家に行ってたんだよ!あそこに居るはず無かったんだ!」と言うと、あたるは
 「そんなの、お前の勘違いか何かじゃないのか?」と、怪訝な顔をした。すると、それまで黙ってメガネの話を聞いていたラムが
 「ダーリン双子だったっちゃ?」と言った。それを聞いたあたるは
 「お前アホか!毎日俺と一緒に居るんだから俺が双子じゃない事ぐらい分かっとろうが!」と言った。その時、近くに居た面堂が
 「それは、もしかしてドッペルゲンガーじゃないのか?」と口を挟んだ。それを聞いてラムが
 「ドッペル・・なんだっちゃ?」と言うと、すかさず面堂が
 「ドッペルゲンガーですよ、ラムさん。ドッペルゲンガーとはドイツ語で歩くコピーって意味らしいです。本人にそっくりな人間が全く違う所で目撃される現象は、世界中で確認されています」と言うと、ラムは
 「じゃあ、もう一人のダーリンが近くに居るって事だっちゃ?」と、面堂に問い返した。すると面堂は
 「いや、僕が見た訳ではないので・・・実際、ドッペルゲンガーかどうかは分かりませんが」と言いながら、面堂はメガネを横目で見た。そんな面堂の視線にメガネは
 「な、なんだ、その眼は!俺が見間違えたって言うのか!!」と言うと勢いよく席を立った。そんなメガネに、隣に座っていたパーマが
 「しかしメガネよぉ、実際にそれを見たのはお前だけなんだし、見間違えって可能性もあるんじゃないか?」と言った。するとメガネはパーマの方を向いて
 「お前まで俺を信用しないのか!俺があたるを見間違えると思うか?あのアホ面を。あれは、間違いなくあたるだった!」と言った。メガネの言葉に、面堂は
 「なるほど、確かに諸星のアホ面を見間違えるなんて事はあり得ないな。これほどのアホ面は世界の何処を探しても、諸星以外存在しないだろうし」と言い、パーマ達も頷き納得した。それを見てあたるは
 「納得するところは、そこか!!」と声をあげた。
 面堂は、そんなあたるに意味ありげな笑みを浮かべ
 「諸星、とにかく気を付ける事だな」と言った。しかし、あたるは
 「バカバカしい、俺にそっくりな奴が居たからって何だっちゅうんじゃ!別に死ぬ訳じゃ有るまいし」と言ったが、すぐにメガネが
 「いや、死ぬぞ」と言った。あたるは、メガネの方を向くと
 「なに?またまた、悪い冗談を」と、軽く流そうとしたが顔はひきつっていた。しかし、面堂が
 「いや、本人がドッペルゲンガーに出くわすと、死ぬと言われているのは本当だ」と言った。
あたるは、青ざめた顔で面堂の顔を見た。そんなあたるを見てラムは
 「大丈夫だっちゃよダーリン。ウチが絶対ダーリンの事、守ってみせるっちゃ!」と、あたるを元気付けようとした。そして面堂に
 「そもそも、ドッペルゲンガーって何なんだっちゃ?」と聞くと、面堂は
 「諸説有りますが、幽体離脱や生き霊説が一般的です。他にも、パラレルワールドから来たとかタイムトラベル説も有りますね。でも、実際には解明されていないんです。わが面堂家の情報収集力を駆使しても、解りませんでした」と言って肩を落とした。それを聞いたパーマは
 「調べたんだな」とつぶやくと、ニヤリと笑った。その顔を見て面堂は、慌てて
 「な、何だその顔は!ぼ、僕は別に怖くて調べた訳じゃないからな!」と言うと、メガネがメガネを外しハンカチで拭きながら
 「誰も、お前がドッペルゲンガーが怖いなどと言う事は言ってないが・・とりわけ、人と言うものは自分の苦手な物や、恐怖を感じる物には事の他敏感になるものだ。よって、誰にも指摘されていなくても過剰に反応し、自ら墓穴を掘る様な発言をしてしまう場合がある」と言って、再びメガネをかけると

Page 2
戻る
Page: 01 02 03 04