うる星やつら―アナザーワールド― エピソード2 (Page 1)
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   うる星やつら―アナザーワールド―
      エピソード2

 授業修了の鐘がなり、しのぶは図書室から出て2年4組の教室に向かいながら思った。
 (なによ、みんなして大騒ぎして・・・あたる君がもう一人居るからって、今更驚く事じゃないと思うけど。そもそも、今まで起きて来た事に比べたら何て事ないじゃない。まぁ、私には関係ないけどね)しかし、しのぶは自分の思った事に違和感をかんじた。そして
 (はっ!わたし、何考えてるの?あたる君が二人居る事は十分異常な事よ……今までの数々の出来事で感覚が麻痺してるんだわ)と思い、少し意味知れぬ恐怖を感じた。

 しのぶが教室に着くと、他の生徒達もゾロゾロと教室の中に入って来た。あたる、ラム、面堂、メガネ達四人組もその中に居て、ふいにカクガリが
 「今日も温泉来なかったな」と言い、続いてチビが
 「そう言えば、ここ何日か見てないよなぁ」と言った。するとパーマが面倒臭そうに
 「どうせまた、山にでも篭ってるんじゃないのか?」と言った。しかし、それを聞いたメガネは
 「はたしてそうだろうか?」と言った。すると、メガネの発言に疑問を持ったパーマは
 「それ、どう言う事だよ」と言って、改めてメガネを見た。メガネは、顎に手を当てながら
 「俺には、どうも温泉が休んでる事とあたるのバイロケの事が無関係とは思えんのだ」と言った。すると近くに居た面堂も
 「僕もそう思う。実は、ここ何日か鶴丸の姿がみえんのだ。きっと、この友引町で僕らの想像もつかない何かが起きているのに違いない」と言った。それを聞いたパーマが
 「おい、面堂。鶴丸って誰だ?」と言うと、メガネが
 「金持ちのボンボンが飼ってるイカかなんかだろ」と面倒臭そうに答えた。すると面堂は
 「タコだ!!!それに飼って居るのではない!タコは、我が面堂家の家紋であるひょっとこと酷似している。
ゆえに面堂家では、神聖なものとして扱われてきた!それを貴様は、イカなどと!」と言い、怒りを露にした。しかしメガネは相手にせず
 「はいはい、イカでもタコでも何でもいい。とにかく、友引町に何か起きてるのは間違い無いだろう」と言った。メガネの言葉を聞いた面堂は
 「イカでもタコでもとは何だ!タコだ!!決してイカでは無い!」と強く強調したが、誰も聞いていなかった。
 そんな時、彼らの話を聞いていたしのぶが
 「あなたたち、そんな所で喋ってないでちゃんと掃除しなさいよ!」と、やや怒り気味で言った。しかし、メガネは
 「何を呑気な……こんな非常事態に掃除なんてしてられるか」と言って掃除を拒否した。パーマやカクガリ、チビも
 「そうだ、そうだ」と言って、メガネの意見に賛成している。そんな中、面堂はホウキを持って
 「君達、掃除くらいちゃんとしたらどうなんだ」と言った。それを見たメガネは
 「あ、面堂いつの間に……自分だけいい子になりやがって!」と言い、更に
 「俺たちは、断固掃除を拒否する!」と言った。そんなメガネ達に、しのぶは
 「何が断固拒否よ!ただ、掃除したくないだけじゃない」と言って机を持ち上げ投げる体勢に入った。それを見ていたラムは
 「しのぶも相変わらずだっちゃね」と笑いながら、あたるの方を向いた。しかし、そこにあたるの姿は無かった。
 そしてしのぶは机を投げようとしたが、突然背中に悪寒を感じて一気に体から力が抜けていった。原因は、あたるがしのぶの背中に指をはわせて居たのだ。しのぶは、全身に鳥肌を立てて机を落としてしまった。それを見たラムは
 「あ、ダーリン!いつの間に」と叫ぶとあたるに向かって飛んで行った。ラムがあたるに電撃を放つより早く、しのぶの机のフルスイングがあたるを襲った。あたるは、それをモロに受けて校舎の屋根を突き破り
 「一人ブルーインパルスーーー!」と叫びながら、空の彼方へ飛んで行った。それを校庭で見ていたサクラは
 「相変わらずやかましい連中じゃのう」と言いながら校舎に入ろうとした時、背中に悪寒を感じ身体中の力が抜けて行くのを感じた。理由は、やはりあたるがサクラの背中に指を這わせていたのだ。
 サクラは振り向きざまに、あたるを強烈に蹴り上げ
 「貴様!さっきどこぞへ飛んで行ったのでは無かったのかーー!この妖怪小僧がーーー!」と言った。あたるは、再び空に蹴り上げられ
 「一人ブルーインパルスーー!本日2回目ーー!」と言いながら空の彼方に消えた。
 それを見ていたラムは
 「ダーリン!まったく……もう!」と言って、プウっと口を膨らませた。
 一方しのぶは
 「ほんとバカバカしくて呆れちゃう……掃除も終わったし、先生も居ないんだから帰ろうっと」と言うと、カバンを持った。その時ふと面堂やメガネの方を向くと、何やら真剣な顔で話し合って居たが
 (私が居ても、何も出来ないし……やっぱり帰ろうっと)と思い、教室を出ようとするとラムが
 「あ、しのぶ帰るっちゃ?」と聞いてきた。しのぶは

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