うる星やつら―アナザーワールド― エピソード10 (Page 1)
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  うる星やつらーアナザーワールドー
      エピソード 10

 サクラの言葉を聞いたラムは、身を乗り出してサクラに
 「まさか、向こうの世界との連絡方法が分かったっちゃ?」と尋ねた。するとサクラは
 「ここでは何だし、ちと上がらせてはもらえぬか?」と言った。ラムは、あたるの母を見て
 「お母さま、いいっちゃ?」と聞くと、あたるの母も、仕方なく了承しサクラと錯乱坊を茶の間に通した。
 席に着くなり、あたるは
 「サクラさんはともかく、何でチェリーまで上げにゃぁならんのだ?」と言うと、サクラが
 「そう言うな、今回の事は叔父上無しでは無理なのじゃから」と言った。すると錯乱坊は
 「そうじゃ、今回の事態をおさめられるのは、拙僧をおいて他に居らぬ」と言い、更に調子づき
 「わしは今、腹が減っておってのう」と言った。しかし、その瞬間サクラが目の前のテーブルを錯乱坊の頭にめり込ませ
 「おのれがその様だから、私まで同じ目で見られるのじゃ!!」と言い、向き直り
 「すまぬな、これでも血の繋がった叔父じゃ。私に免じて許してくれ」と言った。そして
 「では、本題に入ろう」と言うと、あたる、ラム、あたるの母、あたるの父は、一斉に息を飲んだ。そんな中
 パリッ、ポリッ
妙な音が聞こえ、全員が音の方を見るとそこでは錯乱坊が戸棚の中に有った煎餅を食べていた。それを見た瞬間、全員が激しくコケ、すぐさまサクラが錯乱坊の襟首を掴み
 「おのれは、それでも坊主かー!何故、我慢できん!」と言うと、錯乱坊は
 「し、仕方あるまい、む、向こうからこっちに移動すると、む、無性に腹が減るのじゃ」と声を絞り出した。それを聞いたラムは
 「え?もしかしてチェリーは、向こうとこっちを自由に移動出来るっちゃ?」と聞くと、サクラが
 「うむ、実はそうらしいのだ」と言った。するとラムは
 「でも、どうしてチェリーは自由に移動出来るっちゃ?」と疑問を投げかけた。しかしサクラは
 「それを追求しても、意味は無いじゃろう。姪の私が言うのも何じゃが、叔父上はとても人間とは思えんからのう」と言い、それを聞いたラムも、あたるも納得した。そしてラムは
 「でも、チェリー凄いっちゃ!これで向こうのみんなとも連絡が取れるっちゃ!そうと分かったら、こうしては居られないっちゃ。ウチは、すぐにランちゃんにこの事を知らせてくるっちゃ!」と言った。するとあたるが
 「ランちゃん?」と言ったので、ラムは
 「あ、そうか、ウチが向こうの世界に居ないって事は、ランちゃんも居ないって事だっちゃよね?」と言い
 (だってランちゃん、ウチに仕返しする為に地球に来たんだから)と思った。しかしあたるは訳が分からず
 「どう言う事だ?」とラムに聞くとラムは
 「あ、ランちゃんはウチの幼馴染みなんだっちゃよ」と言った。それを聞いてあたるは
 「て事は、その……ランちゃんも宇宙人?」と言うと、ラムは
 「だっちゃ」と答えた。そしてラムは
 「じゃウチ、ランちゃんの所に行ってくるから、サクラはチェリーがどこにも行かない様、見張ってて欲しいっちゃ」と言って茶の間の窓を開け、飛び去って行った。あたるは、飛び去って行くラムを見つめていた。
 ラムはランの宇宙船に着くと、入り口横にあるチャイムのボタンを押した。するとドアが開き、中から
 「あらラムちゃん、どうしたの?こんな時間に」と言ってランが出て来た。ラムは
すぐに
 「ランちゃん!向こうの世界と連絡を取る方法がみつかったっちゃ!」と言った。するとランは
 「えー!本当?じゃぁラムちゃん、中で詳しく聞かせて」と言って、ラムを中に入れた。ラムは中に入ると、サクラから聞いた話をランに伝えた。それを聞いたランは
 「なるほど、じゃぁチェリーを通じて向こうとこっちで打合せすればいい訳ね」と言い、ラムも
 「だっちゃ」と頷いた。しかし、ランは
 「でもぉ、ダーリン達の入れ替えが終わったらぁ、すぐに空間を閉じないとダメよねぇ」と言い、ラムも
 「だっちゃね、サクラとチェリーに頼んでまた歪みに霊力を放出してもらうっちゃ」と言うと、ランが
 「でも、前よりもかなり強力な力じゃないと失敗しちゃうわよ?」と言った。それを聞いてラムは
 「そうかぁ、前の時のサクラとチェリーが全開じゃ無かった事を願うっちゃ」と言うと、席を立ち
 「じゃぁ、ウチそろそろ帰るっちゃ。みんなには明日学校で詳しく話すっちゃね」と言うと、ランの宇宙船から出て家に向かった。
 家では、あたるが部屋で1人考えていた。あたるは仰向けになり、天井を見つめながら
 (向こうとの連絡方法が分かったって事は、いよいよ俺達は向こうに帰れるって事か……)と思った。しかし、あたるは全く喜びは感じなかった。それと言うのも、向こうとこっちでは、別段それほど違いが無いからだ。逆に向こうにはラムは居ないが、こちらにはラムが居る。その事は、あたるにとって重要な事となっていた。あたるは

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