うる星やつら―アナザーワールド― ラストエピソード (Page 2)
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 「なんじゃ?寿司が食えるのか?」と言う声と共に錯乱坊が現れた。あたるは、コケそうになるのを何とか堪え
 「いきなり出るなと何度言えば解るんじゃい!!」と言ってテーブルで錯乱坊を殴った。そんな錯乱坊にサクラが
 「毎度毎度、何故そんな現れ方しか出来んのだ……」と呆れた様に言うと、続けてあたるが
 「そうだ、今はお前に構ってる暇なんてないんじゃ」と言って、更に
 「サクラさん、早く涙を」と言うと、それを聞いた錯乱坊が
 「なんじゃ?サクラを泣かせたいのか?」と言うと、あたるは
 「お前は黙っとれ!」と、錯乱坊を一喝した。すると錯乱坊は
 「なんじゃ、せっかく涙の出し方を教えてやろうかと思ったんじゃがのう」と言うと、部屋を出ようとした。それを聞いたあたるは
 「ちょっと待て!」と言って、錯乱坊の後ろ襟を掴み、更に
 「せっかく来たんだ、涙の出し方を教えろ」と言った。すると錯乱坊は
 「そんなの簡単じゃよ、ただ瞬きをせずに目を開き続ければいいだけじゃよ」と言った。それを聞いてサクラは
 「確かに瞬きをしないで居れば涙は出るな」と言って、ひたすら瞬きを我慢して涙を絞り出した。あたるは、すかさずサクラの涙を容器に入れると
 「サクラさん、ありがとう!お礼に後でデートしてあげるから」と言うと、玄関を飛び出して行った。その後ろ姿にサクラは
 「誰が貴様とデートなどするものか!」と言った。
 次にあたるは自宅に戻り、ラムの髪の毛を探す事にした。家に着いたあたるは、玄関を開けると階段を駆け上がった。玄関を入ってすぐに母の声が聞こえたが、今はそんな事に構ってるる時間は無い、とにかく1分1秒でも早くランの所に行かなくはならないのだ。あたるは自分の部屋に入るとすぐにラムの髪の毛を探し始めた。部屋の中をくまなく探したが、髪の毛1本落ちていない。どうやら、昼間のうちにあたるの母が掃除をしたしい。あたるは押し入れの襖を開けて中を見てみると、1本の長い緑色の髪の毛を見つけた。長さから見てもラムの物に間違いなさそうだった。
 帰ってくるなり、いきなり部屋中をあさりだしたあたるを見てテンは
 「おい、お前なんや!帰って来るなり、わいを無視しくさって!ラムちゃんはどないしたんや!」と言うと、あたるは急にテンを鷲掴みにして
 「おい、こたつ猫は何処におる」と聞いた。するとテンは
 「なんじゃお前は!急に話始めた思うたら!それが人に物聞く態度かいな!」と怒鳴った。しかしあたるは、そんなテンの怒りなど無視し
 「やかましぃ!いいか、これはラムの命に関わる問題なんじゃ!分かったらさっさと答えろ!こたつ猫はどこだ!」と言った。テンは、あたるの迫力に圧倒され
 (な、なんやこいつの迫力は……こいつが、こない必死になるっちゅう事は……まさか)と思い
 「た、多分空き地におると思うで」と言った。するとあたるはテンを放り投げ、階段を駆け降りて猛スピードで玄関から出て行った。
 空き地に着くと、こたつ猫は土管の上に腰掛け月を見つめていた。あたるは、音を立てない様に近づくと、ゆっくりとこたつ猫の尻尾に手を近づけた。後数センチと言う所で、突然こたつ猫が振り返りあたると目と目が合った。あたるは、思いきって手を伸ばし尻尾の毛を引き抜こうとしたが、あと一歩の所でこたつ猫の張り手を喰らい吹き飛んだ。しかしあたるは諦めずに何度もこたつ猫の毛を抜こうと近づくが、こたつ猫の張り手に阻まれて、どうしても毛を抜く事が出来ない。しだいにあたるの口からは、想いが言葉になって漏れはじめた。
 「俺がラムを救ってやる……」
 あたるは、立ち上がると
 「俺がラムを救ってやるんじゃーー!!」と叫びながら突進した。
 だがやはり、こたつ猫の手に阻まれて毛を抜く事は出来なかった。しかし、今までと違っていたのは、こたつ猫は張り手ではなく、あたるを手で受け止めて居たのだ。
 こたつ猫は、あたるの様子から何かを察したらしく、あたるの頭から手を離した。それを見たあたるが
 「……お前、いいのか?」と言うと、こたつ猫は笑顔(?)で頷いた。あたるは
 「ありがとう……」と言うと、こたつ猫の毛を抜いた。
  ブチッ
こたつ猫は、毛を抜かれた瞬間よほど痛かったのか、あたるを力一杯張り手で突き飛ばした。あたるは
 「あ〜れ〜〜〜」と叫びながら飛んで行った。そしてあたるが着地した場所は、なんとランの宇宙船の前だった。あたるは、急いでランの宇宙船のドアの横のボタンを押すと、すぐにランが顔を出しあたるを中へ引き入れた。そしてランが
 「ダーリン、集まった?」と聞くと、あたるは
 「はい、これ!」と言って、3つの容器を渡した。ランは

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