うる星やつら しのぶのストレンジストーリー(前編) (Page 4)
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 そんなクラスのみんなの声援が私に力をくれた。私は、汗をかきながらやっとの事で車椅子に座る事が出来た。
 私が車椅子に乗ると、クラスのみんなが私の周りに集まり労いの言葉をかけてくれた。その中にはラムも
 「しのぶ、頑張ったっちゃね。これがきっと、しのぶの自信になるっちゃ」と言うと、満面の笑みを浮かべた。その時、私はラムの曇りの無い真っ直ぐな性格を知ったのだ。
 この事がきっかけとなり、私とラムの距離は縮まっていった。
 さっき、ただ1人ラムだけは私の事を今まで通りに接してくれたと言ったが、実は前と変わらず私に接して来る人がもう一人いるのだ。それは…………
 「しのぶさーーーん!好きだーーー」
 そう、この人【総番】である。私は、歩けなくなり車椅子の生活を始めてから、今までの様な強い力は無くなってしまったが唯一、この人が来た時だけは前の様な力が出た。私は、近付いてくる総番に
 「えーーい!うっとおしいーーー!」と言って思い切り殴り飛ばした。総番は
 「しのぶさーーーん!!」と言いながら、空の彼方に消えた。この時だけは、自分のハンデを忘れる事が出来るのは皮肉だ。
 わたしの学校生活は、みんなの助けも有り順調に進み、私達は無事に友引高校を卒業した。卒業生の半数は進学、半数は就職で、友達はほとんど進学の道に進んだ。私はと言うと、車椅子の私を受け入れてくれる大学が近くには無く、大学に通うには実家から出なくてはならなくなってしまう為、進学は諦め近くの会社に就職したのだ。中のいいクラスメイトでは、面堂さんと、ラムの取り巻きの四人組は進学。あたる君はこれ以上勉強したくないとかで就職。ラムも、あたる君が進学しないので自分で宇宙人相手の仕事を始めた。竜之介君は、念願の浜茶屋をお父さんがオープンしたので、その手伝いらしい。結局、みんなバラバラになってしまった。
 こうして、私は社会人としての一歩を踏み出した。

       第二章

 時は少し遡り、ちょうどしのぶが病院を退院して学校に復学する頃、子狐はしのぶが事故にあってしまった原因が自分に有る事から、今のしのぶを何とか助けようと里に向かっていた。子狐は、しのぶが車に跳ねられた時、しのぶがしっかり腕の中に抱いて居た為、奇跡的に無傷だったのだ。子狐は救急車で運ばれるしのぶを追い、しのぶが入院した病院を知った。子狐は、毎日夜になるとしのぶの病室の前に花を届けて、しのぶの様子を見守って居たのだ。しのぶが退院した時に車椅子に乗ってるのを見て、里に帰る決心をしたのである。子狐は
 (僕のせいで、しのぶさんは……)と思い、泣きながら里に向かっていた。やがて里に着くと、子狐はまっさきに案山子の三四郎の所へ行くと
 「ねぇ、ねぇ、三四郎さん」と言った。三四郎は、そんな子狐の方を向くと
 「ん?何だい?キツネくん」と言った。子狐は悲しそうな表情で
 「時間を戻す方法知らない?」と聞くと、三四郎は
 「どうしたんだい?ただ事では無さそうだけど」と訪ねたが、子狐は黙っていて三四郎に理由を話そうとしない。それを見て三四郎が
 「う〜ん、困ったなぁ。僕は時間を戻す方法は知らないんだよ」と言うと子狐は
 「……そうかぁ、三四郎さんも知らないのか」と言って、ガックリと肩を落とした。そんな子狐の様子を見た三四郎は
 「キツネくん、良かったら理由聞かせてもらえないかなぁ?もしかすると、別の解決法が見つかるかも知れないよ」と言うと、子狐は顔を上げ事の経緯を話した。三四郎は、黙って子狐の話を聞き終わると
 「なるほど、つまりキツネくんはその人間の女の子の時間を戻したいんだね。事故が起こる前に」と言った。すると子狐は
 「うん……だって僕のせいだから……」と言って涙を見せた。三四郎は少し頭をかかえ
 「……方法が無い訳じゃないけどね……」と言った。それを聞いた子狐は
 「え?本当?三四郎さん!」と言って目を輝かせた。しかし三四郎は
 「でもね…………」と言葉を濁した。しかし子狐は
 「教えてよ!三四郎さん!」と言うと三四郎にすがりついた。三四郎は、そんな子狐をじっと見つめると
 「……どうやら、君は本気みたいだね。でも、かなり難しいけど大丈夫?」と子狐に聞くと、子狐は
 「うん!僕、しのぶさんの為なら頑張れるから!」といった。三四郎は
 「じゃぁ、とりあえず方法を教えるね」と言うと、子狐は小さく頷いた。三四郎は更に
 「まず、時間を戻す事は出来ないけど、その人の魂を別の時間軸の分岐点まで戻す事は出来るよ」と言うと、子狐は黙って聞いていた。続けて三四郎は
 「ただ、今の時間軸の過去に戻す事は無理なんだ。ここまではいいかい?」と言うと、子狐は
 「よく分からないけど、しのぶさんが事故に遭う前に戻れるって事だね?」と言うと、三四郎は

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