死闘!メガネVS面堂軍団!!(1) (Page 3)
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パ−マに促がされて覗いたコマンダー用のパノラマサイトに迫り来る敵の戦車隊が映し
出される。
破壊と殺戮の為に極限まで無駄を排除した機能美もその本来の目的の為に迫り来る姿は
現実的な恐怖その物であった。
「ラムさん・・・」
無意識にあの人の名を唱える。
「あの向こうに居るんだよね」
砲手用のステレオ式測遠儀を覗いていたチビが恐怖のためか全く昂揚ない声でつぶやい
た。
「それじゃ、行こうか!ラムさんの顔を見に!」
パーマは雰囲気を察知して努めて明るく言放った。
景気付けに105mm砲を一発撃つと戦車を発進させる。
戦車隊との距離は見る間にせばっまてくる。至近距離で炸裂する対戦車榴弾の衝撃波で
車体は揺らぐ。
「進めー。敵陣に入り込めば同士討ちも誘える。残骸を盾にもできる」
突然車体に激しい衝撃と共に戦車は動きを止めた。
「どうした?」
「キャタピラをやられた、動かんぞ」
パーマは諦めた様にハンドルを拳で叩きながら答える。
命中した砲弾が不発弾であったのは幸いであった。まだツキは残っていた。
しかし、カクザした戦車に立て篭もっていては自殺行為である。ここは戦車を棄てゴル
フコースに隣接する林の中に逃げ込むのが正解だろう。
皆にその旨を告げるとハッチを開け車外に飛び出し爆風によろめきながら林に林に向け
走り始める。敵はレオパルドを棄てた我々に気付き7,62mm機銃を使い、進路を妨げる
様に撃ちこんでくるのが数発毎に詰められた曳光弾によって分る。
たまらずに深いバンカーに飛び込む。丁度敵の方向がえぐれたアゴになり弾を防いでく
れる。
カクガリとパーマが続いて飛び込んでドウやらきた。無事のようだ。
「チビはどうした」
「分らん、逃げ送れたらしい」
レオパルドを振り返ると逃げ送れたチビが中から引きずり出される所だった。
「チビー」
チビを助けるために戻ろうとするカクガリを引き止める。
「止めろ、もう遅い・・・。心配するな、奴らも捕虜の扱い方ぐらいは心得ているはず
だ。非常な様だが犠牲は覚悟の上ではないか。チビは立派に戦ったのだ。アイツも自分
のタメに全滅するのは望んでいないだろう」
カクガリは暫く私を睨んでいたが納得したように頷いた。
「そうだな、仇はきっと取ってやる」
空からヘリが接近してくる。あたるの乗った奴では無い。もっと大きな武装ヘリ、多分
アパッチであろう。隠れ様のないゴルフコースで上空から攻撃されれば終わりだ。
無駄を承知で64式小銃を手にとる。
予備弾倉の入ったバックは見当らない。後は各自が身に付けているだけである。
しかし、ヘリは我々を無視して着陸態勢に入った。故障か何かで緊急着陸するのかも知
れない。
ともかくヘリが邪魔で敵の砲撃は中断されている、このチャンスを逃がさず我々は林に
向け全速力で走りだした。

敵に遭遇する事も無く無事に洋館までたどり着く事が出来た。
あたるの奴が敵を引き付けているのか、我々に未だツキが残っているのか分らないが今
はそんな事を考えるより行動するだけだった。
「おい、車だ」
先行していたカクガリの声に物陰に隠れ様子を見ると、白色のキューベルワーゲンが洋
館裏手のガレージと思われる場所から走り出て建物を半周すると正面に横付けされた。
「おいあれは面堂の専用車だぜ」
「するとやはり奴はここに居るのか」
二人は小声で問い掛けてくる。
キューベルワーゲンはライトを消したがエンジンは掛けたまま正面玄関の車付けから動
かない。一つの考えが浮かんだ。
「ああ、どうやらその様だな。やはり俺達はツイてる。面堂はワーゲンで出かける気ら
しい、ココで奴を押さえてラムさんを救い出す。頭さえ潰せば面堂軍等恐るるに足ら
ん」
「成る程、で、どうやって面堂を捕まえる?」
あらためて洋館の周りを見渡す。正面玄関の前は蛸が口から水を噴出す噴水を中心とし
た洋風の庭園に成っている。
「そうだな・・・。まず、正面玄関の噴水の前まで忍び寄ろう、おあつらえ向きに花壇
や植え込み伝いに行けそうだ。そこで面堂が出て来るのを待つ」
「成るほど、それから?」
「ココからが大切だ。奴がワーゲンに乗り込むのを待って俺がタイヤかエンジンを撃っ
て車で逃げられ無い様にする。二人は俺が撃ちだしたら手榴弾を投げてくれ」
私はパーマの弾帯の手榴弾を指差した。
「そりゃいいが。手榴弾なんか使って大丈夫か?」
「そうだな、面堂や他の奴が死んじまったりしたら寝覚めが悪いし、第一人質にならん
だろう」
二人は心配そうにしている。
「ああ、その点は大丈夫だ。コイツには殺傷力はない、その代わりに強烈な閃光と轟音
で一時的に相手を軽い失神状態にする、だから投擲後地面に伏せて光を見ない様にしな
けばならん。幸いキューベルワーゲンは幌を掛けてないから効果的だ。で、敵が怯んで
いる間に一気に面堂を抑え人質に取り、ラムさんとチビを解放させる。この作戦にはタ
イミングが重用だ」
私は作戦を二人に説明し、同意を求めた。
「成るほど、それでいこう」
「よし乗った」

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