GSサクラお払い大作戦 (Page 2)
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しっかりつかまっていなかった俺は、振り落とされそうになったというのは言うまでもない・・・

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―車を走らせること、数十分後―

ようやく今回の依頼主の家にたどり着いた。
友引町のはずれにあるその屋敷には、車がン十台は入る駐車場やテニスコート、プール等
金持ちの静養には持ってこいの、豪華な別荘であった。
ただ一点、屋敷自体が古いのが問題であろう。
除霊用のリュックを背負い、ラムと俺はサクラ先生の後についていった。
待っていたのは、スーツを着た40代ほどの不動産業者であった。

「あ、お待ちしておりました。GSのサクラ様ですよね?」
男はこちらに気が付くと、非常に切迫した顔で歩み寄ってきた。
「うむ、いかにも。貴方が今回、ワシに仕事の依頼をした・・・?」
「あ、はい、友引不動産の大島と申します。」
手短に自己紹介すると、男は名刺を差し出してきた。『大島』・・・オーシマ・・・
どこかで聞いたことあるような名前だが、思い出せない。まぁいいか。
「えぇっと・・・後ろのお二方は?」
「あぁ、ワシのアシスタントの・・・」
「ども〜諸星あたるです。外野で〜す。」
「ウチ、ラムだっちゃ!ベンチで〜す。」
「あぁ、どうも、宜しくお願いします。では、着くなり早速で悪いのですが、依頼の内容について説明させて頂きます。」
「あぁ、宜しく頼む。」
「昔、この別荘はさる資産家の静養地だったのですが・・・」

『さる』?『さる』と言うと、あのキキッっと鳴く、アレか?・・・

「20年ほど前に資産家がこの別荘で亡くなって以来、ずっとほったらかしのままになっていたのです。
 テニスコートやプールは、元々この別荘の持ち物だったのですが、近くの別の別荘主が買い取られて、
 使用してきたので、補修もされていて十分綺麗なのですが、さすがに屋敷の方が老朽化してしまったようでして。
 しかし近くに温泉が発見されたこともあり、この別荘地の価値は一段と高くなると見込んで、今回建替えた後、
 売りに出そうと思っていたのですが、取り壊そうとする度に関係者が謎の死を遂げるので、困り果てていたのです。」
「ふむ・・・事前の依頼書にもあった通り、地縛霊の気配は確かにするのう・・・今までに他の霊能者に除霊を頼んだことは?」
「はぁ、今までにも何人もの霊能者に頼んできたのですが、皆失敗してしまって・・・
 それでこの度、最近話題になっている敏腕GSであるサクラ様に、お願いした次第でありまして・・・」

・・・ゴクッ・・・今までに何人もの関係者が死に、何度も除霊に失敗しているだと?・・・

「サ、サクラ先生〜、今回の依頼、キャンセルしましょうよ〜・・・」
「何でじゃ?諸星。」
「だって、わけの分からん『猿』が持ち主で、しかもこの別荘で死んでるし・・・
 おまけに今までにもたくさん関係者が死んだり、除霊に失敗したりしてるじゃないすか〜・・・」
「何をわけのわからんことを・・・」

と、その時、向こうから一人の女性が走ってきた。
「大島部長!本社から今、連絡があって、今週中に工事に着工しないと来年の納期に間に合わないと催促が・・・」
「あ、こちら、秘書の火暮(ひぐらし)君で・・・」
「どもーー!!!ボク、諸星あたるでっす!GSのアシスタントやってまーーす!!!」
説明を聞くまもなく、俺は本能と理性に基づく公然たる自己紹介をした。
「あ、はぁ・・・」
「ダーリン。火暮さん、困ってるっちゃよ・・・」
「・・・で、諸星。『キャンセル』がどーかしたって?」
「・・・『キャンセル』?何を言ってるんですサクラ先生!?愛と正義と平和の為に、
 我々GSが悪しき地縛霊を退治せず一体誰がやると言うんです!?やりましょうよ!」

こうして、サクラGSチームの除霊が決定したのであった。

「・・・ところで火暮さん。あとでご一緒に食事でも・・・」
「・・・ダ〜〜リン〜〜〜?(バリッバババ)・・・・」
「・・・報酬の貴社のチェーン料理店の1年間無料券、お忘れなく(ボソッ)・・・」
「・・・はぁ・・・・」

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算段がついたところで、俺達は屋敷へと案内してもらった。
昼間だというのに、何とも言えない不気味さと暗さを持った屋敷である。
昔は立派な屋敷だったのだろうが、今となっては見る陰もない。

「今までに何人もの霊能者が除霊しようとしたのですが、皆このような有様で・・・」
そういうと、大島氏は何枚かの写真を取り出した。
どの写真にもズダズダのボロボロに怪我した霊能者らしき人物が写っていた。
「おーおー、猟奇殺人真っ青じゃな。これでは。」
「・・・となると、後はプロに任せて引き揚げた方がいいでしょうね。」
「だっちゃね」

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