友引町を奪還せよ-act5- (Page 2)
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暗闇から声が聞こえた。二人は声の方向を見た。ぐき!首の骨がなった。横を見ながら頭から落ちたためである。
「いてて・・・。誰だ!?」
終太郎だった。後ろにはボディーガードが二人いる。どちらも巨体だ。勝ち目がないことを悟った二人はその場であぐらをかいて両手をあげた。
「なにをしとる?」
「なにって、見つかったし、勝ち目がない。さっさと連れてってくれい」
「何を言っておる。別に捕まえに来たわけではない。折り入って頼みたいことがあるんだ」
あたるとコースケはきょとんとした。終太郎からの頼み事など意外すぎたからだ。
「ど・・・どういう事だ?面堂が頼み事なんて・・・」
「さ、さあ?」
二人は顔を見合わせる。
「本題に入る前に仲間を連れてきてくれ」
「ああ、解った・・・」
あまりにも意外なことに反抗する気力もなかった。
「さあ、連れてきたぞ」
そこら辺に見たことある顔が二十人くらいいた。
「お、お前らこんなに連れてきてのか?」
もはやあきれ顔の怒り顔である。オールバックから髪が何本か垂れ下がった。
「まあいい・・・」
垂れた髪を元に戻すと顔をきりっとさせた。
「実は・・・、お前達に友引町にいって貰いたい」
皆少し驚き顔である。
「・・・と言いたいんだが、全員というわけではない。用意した武具が七人分しかない。そのうち僕も行くから六人分だ」
「え・・・」
後ろにいたボディーガードの冷静な顔が少し崩れた。
「わ、若!」
「僕も友引町に思い出があるのでな。自分自身のためにもあそこに行きたいんだ」
「し、しかし・・・」
終太郎はボディーガードをゆっくりと見た。その目に負けた二人は
「若・・・解りました。親方様には私たちが伝えておきます」
とあきらめた。
「すまない・・・」
終太郎はボディーガードからあたる達に視線を移した。
「どうだ、僕と一緒に戦ってくれるか?」
終太郎は手を差し出した。
「・・・ああ、俺は良いぜ」
コースケは言った。ラム親衛隊もうなずく。
「あたるは?」
皆があたるを見る。あたるは何も言わず、終太郎の前に立った。メガネはごくりと息をのんだ。辺りは静まりかえり、ミミズクの声が聞こえる。
あたるは何も言わず、そして・・・握手した。
「諸星・・・」
「貴様の心意気は認めてやる」
二人は硬く握手した。
「おい面堂」
「なんだ諸星」
「いい加減手を離せ。男に握手させられてもうれしくない」
シャキーン!!刃擦れる音がした。ガシン!あたるは刀を受け止めた。あたる得意の真剣白刃取りである。
「ぐぬぬぬぬぬぬ」
・・・。
「さて、メンバーだが・・・」
終太郎の前にはあたるをはじめ、コースケ、メガネ、パーマ、チビ、カクガリの姿があった。動きやすく頑丈な戦闘服を着ていて、その上に私服を着ている。
「まあなんというか、読者の予想通りだな」
「何処を向いて喋っとるんだ」
「気にするな、サービスだ」
七人は飛行機の前にいた。塗装は塗られていないらしく、銀色のボディーが輝いていた。
「さあ、行くぞ!」
「ああ!」
階段を上る。カツーンカツーンと少しづつ足音が増えていった。
「若!」
さっきのボディーガードだ。奥平もその右に立っている。その声に気付いた終太郎は前を向いたまま顔だけを振り替えさせた。
「御武運を!」
三人は敬礼した。終太郎は今度は体を振り替えさせて答礼する。また階段を上る音が響き渡った。
さっきの三人の行動を見ていたあたるは終太郎の横に行き、話しかけた。
「成績はともかく、良い部下を持ってるな」
「ああ・・・」
「88式オクトパス『風神』」この飛行機の名前のようだ。英語で書いてあった。
「風神、離陸準備完了。総員待避せよ」
飛行機の中から見ると右へ左へと整備員が行き来していた。
「総員待避終了」
声が響き渡る。
「ドア、オープン!」
巨大な扉が鈍い音を立てて開き始めた。外には綺麗な夜空が広がっており、これから起こる戦いの最後のくつろぎを誰かが与えてくれたようだった。
「エンジン点火!」
その声と同時に風神の羽と後ろから大きなエンジン音が聞こえてきた。飛行機内部にもその音が聞こえ、わずかな振動が感じられた。
「もう戻れないぞ」
座席の一番前にいる終太郎が後ろを向きながら言った。
「ああ、解っている」
メガネは目を一度閉じ、しばらくしてからそう答えた。終太郎は他の五人にも聞こうと見渡したが、皆同じ答えが返ってくると終太郎は解った。
「発進!!」

友引町下水道内
ハッチが開いた。その振動で砂ぼこりが落ちる。ぞろぞろと終太郎、あたる、コースケ、メガネ、パーマ、チビ、カクガリの順で七人が出てきた。
勇姿が現れていた・・・と言うわけではないようである。
「なんだ、あの乗りごごちの悪さは・・・」
終太郎を除いた六人が口に手を当て苦しがっていた。
「ったく、なんだその様は・・・。これでは戦いに行けないではないか」
「お前は平気なのか?」
あたるは壁によっかっている状態だった。顔は血の気が引いており、青ざめていた。
「慣れだ」
「そうじゃない」

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