友引町を奪還せよ-act5- (Page 4)
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「すまない・・・」
「いや、お前は僕を助けてくれた。謝る必要は何処にもない」
終太郎は刀をさやに収めた。そのとき通信機がなった。
「わっ、わっ」
通信機を持っていた終太郎は妙に慌てた。通信機は終太郎の手を右に左に飛び、なかなかとられることはなかった。
「ええい、早くでんか!」
そう言って、コースケが飛び交う通信機をタイミングを取って取り上げた。
「もしもし」
「ああ、おれだ」
「なんだ、メガネか。どうした?」
「今銃声が聞こえてきてな。恐らくあたるがぶっ放したんだろうが、これではマズイ。一度戻ってこい。態勢を立て直す」
「解った」
コースケは通信機を切った。
「一度戻って来いって」
「そうだな、そうした方がいい」
「だがどうする?表通りは敵でいっぱいのようだ」
表通りを指さしたあたるが言った。確かに表通りは緊迫した空気が流れていて、いま突撃せんとしている状態のようだ。
「馬鹿者。あそこのマンホールから入る必要はない。ここに一つあるだろ」
終太郎はあたるの真下にあるマンホールを指さした。
「突撃ー!!」
「マズイ!早く中に!!」
コースケ、終太郎が中に飛び込んだ。しかし一人足りない。
「諸星、早くしろ!!」
あたるは何故か飛び込もうとしない。
「面堂!先に帰っててくれ。俺は一人で行く。メガネ達に合流したらすぐに応援を頼む」
「何を言っておるのだ!」
「俺が友引高校までの安全な道を探すから、お前達は片づけが終わったら、道案内をしてやる。この方が確実というわけだ」
「だったら僕も行く」
終太郎は穴の中からよいしょという感じで、出てきた。
「なんでだよ」
「お前にはラムさんのところに帰らなければならないという使命があるからな。僕が友引高校まで貴様を守り通してみせる」
「だが、お前が死んでしまったら面堂財閥は・・・」
「なーに、了子が頑張ってくれるさ」
終太郎は空を見ながら、答えた。高いところにいるからなのか、光がないのかいつも見ている星空よりも数倍綺麗である。
「でも、家族や黒メガネ達だってお前が死んで欲しくないんじゃないか?」
「だったら貴様に守って貰おう。守り守られと言うわけだ」
「・・・解った。不本意ではあるがしかたあるまい。コースケ頼んだぞ」
コースケは静かにうなずく。
「いたぞー!!」
敵の内一人がこちらを指さしている。そして大群が現れた。
「意外と早かったな。じゃあな、コースケ!」
「健闘を祈る!」
マンホールがしまりその上を敵軍が駆け抜けていった。どうやらマンホールのは気付かなかったらしい。
(死ぬなよ、あたる、面堂!)
コースケははしごを下りていき、メガネの元に向かった。

コースケの目にメガネを含めた四人の姿が見えた。
「来たか・・・。ん、あたると面堂はそうした?」
「あいつらは、友引高校に向かった。安全な道を探してきてくれるそうだ」
「そうか」
メガネはどこから持ってきたのかパイプ椅子に腰掛けていた。横にはスタンドもある。
「コースケ、嬉しい知らせがあるぞ。出てこい」
メガネは右側にある穴を指さし、暗闇から二十人近くの人盛りが現れた。全員見たことのある顔だ。
「お前ら四組の・・・どうしてここに・・・」
「先ほど面堂邸の方から連絡が入ってな。武装抜きで良いから来させてくれとこいつらからの要望が出たそうで、今し方到着した。学校に正面からつっこんでやる」
「だが、あたる達は・・・」
「あいつらは今頃、八百屋の野菜の蔭にでも隠れていて、身動きがとれない状況にいるにきまっとる」


「見失ったぞ!」
「探せー!」
あたる終太郎は八百屋の野菜の蔭に隠れていた。
「いったか・・・」
「その様だ」
「これでは身動きがとれないではないか」
あたるはトマトを取ると丸かじりにした。少し赤い汁があごを垂れる。

「下友引駅戦闘隊。準備完了」
「仏滅高校前バス停見回り無し。指示を乞う」
無線からいろいろな声が聞こえる。
「仏滅高校前バス停班、では友引商店街北入り口方面の援助に回れ」
「了解」
「立ち食いソバ屋マッハ拳から友引商店街南側出口突入隊。戦闘準備完了」
「後は公園の戦闘部隊の連絡を待つだけか・・・」
「こちら公園武隊準備完了」
これを聞いたメガネは立ち上がり、
「ではこれより友引町奪還作戦を開始する。各部隊悔いを残さぬよう全力を尽くし、勝利を信じろ。我々は勝つ。ではこれより作戦の説明をする。
まず、敵の見張り部隊の主力がいる武藏友引駅、立ち食いソバ屋マッハ拳から友引商店街南側出口の通り、公園の三つで同時に奇襲を掛ける。
その作戦開始と同時に北入り口隊は友引高校へ向かい出来るだけ学校内の戦力を外に絞り出して、そこからここ、司令本部のマンホールへ敵を連れてきてくれ。
ここには地雷を仕掛けてある。スイッチが司令室内にあるから、それを使って再起不能に陥れろ。戦闘が終了した班は援軍に備え、元のは位置に戻れ。
我々はあたる達を救出しそのまま学校に向かう。以上だ」
「了解!」

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