友引町を奪還せよ-act5- (Page 5)
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四つのグループからいっせいに返事が来て、それを聞いたメガネは深呼吸した。
「ではこれより三分後に作戦を開始する。それまで皆気持ちを落ち着けてくれ」
メガネは通信機を机に置くと椅子に座り、足を組んだ。
「皆緊張しているからな、少しは休憩を取らねば・・・」
「そうだな・・・」
司令室は静まりかえった。メガネは目を閉じ、心を落ち着け、神経を集中させた。水の音も大きく聞こえる。腕時計の針が刻一刻と過ぎていく。

「時間だ」
メガネは目をカッと開き、通信機を手に取った。
「メガネだ。先ほども言ったが、悔いの残らない戦いをしてくれ。ではこれより作戦開始を宣言する・・・」
「突撃ー!!」
下友引駅、マッハ拳から学校までの通り、商店街南入り口からいっせいに騒ぎ声が発生した。

八百屋
「なんだあの音は?」
あたるがこの声に気付いた。耳をすませている状態でやっと聞こえる。
「どうした?」
終太郎の耳には聞こえてなかった。
「何か、騒ぎ声が・・・」
「そうか?」
終太郎は耳を澄ませた。かすかに騒ぎ声が聞こえ、目を細めた。何処か懐かしいような響きである。
「これは・・・四組の連中じゃないか・・・」
「まさか、来てくれたのか。戦闘服もないのに・・・」
あたるは目を手の甲でぬぐった。
「行くぞ、面堂!」
「ああ」
だっと通りに出ると早速敵に見つかった。正確には敵のど真ん中に出てしまったのだ。有に十三人はいる。
「しまった!」
「馬鹿か貴様ら・・・」
じわじわと壁に追いつめられた。あたるは木槌を手に持ち、終太郎は刀を抜いた。が、所詮、二対十三。勝ち目はほとんど無い。
「ワァー!!」
二人はこれまでか!と思い目をぎゅっと閉じた。しかしなかなか痛みは感じない。
そーっと目を開けるとそこにはラム親衛隊とその他三人がバットや鍬などを振り下ろした状態で立っていた。
「メ、メガネ・・・。来るのが早かったな」
「ふ、どうせここで敵に見つかってるんじゃないかと思ってな。それで来てみれば案の定・・・」
「ああ、助かったよ・・・」
終太郎が珍しくメガネに礼を言った。これも又時の流れが為すことだとメガネは思った。
「では行くぞ。あたる、面堂!もはや安全な道など探している暇はない。正面から突っ込むぞ」
「おう」
メガネは友引高校の方を見た。建物の蔭に隠れて全体は見ることは出来ないが、時計塔は見える。友引高校のシンボルと言うべき存在であろう。
商店街に風が吹き、ポリバケツが倒れた。その瞬間、
「突撃ー!」
メガネの雄叫びが響いた。
「うりゃー!!」
いっせいに走り出す。道に落ちていた新聞紙がくしゃくしゃと踏まれていった。脇道には猫が怯えている。
「このまま商店街を突っ切って右に曲がれば友引高校だ!」
「おー!」
そのとき脇道に待ち伏せをしていたのか敵軍が現れた。人数は圧倒的には敵が多い。
「ちっ、早速待ち伏せか!?射撃用意!」
親衛隊は銃を取り出し、引き金に手を掛けた。チビが撃つ構えをしたが
「まだだ。もっと近づけてからだ。弾数を大事にしろ」
と言ってチビの銃を手で抑えた。
「何をいっとる。空気銃だから弾数は無制限だ」
終太郎が横から口出しするかのように言った。
「・・・撃てー!!」
何処か恥ずかしさがある声だった。強大な空気の塊がメガネの横を飛んでいた。
「うわー!」
「ぐは!」
吹っ飛んだり、気絶したりして、優勢に見えた。しかし所詮は多勢に無勢。よって、
「このやろー!調子に乗るんじゃねえぞ!!」
一人が立ち止まり銃撃してくる。それに連動するかのようにどんどん銃弾の数は増えていった。
「どけ!お前ら!」
先頭を走っていた三人の前に割って出るとメガネとコースケはそのまま全弾を体で受け止めた。着弾時の爆発で煙がそこら辺を覆い尽くした。
「馬鹿め!自ら受け止めるとは!」
「メガネー!!コースケー!!」
敵は実弾を使っている。まともに当たれば死は免れない。しかしパーマ、カクガリ、チビは心配する様子はない。
煙が晴れると、がに股で立ちすくんでいる人の蔭が目に入った。口元には笑みが見える。
あたると終太郎ははっとした表情で立ちすくんだ。
「ははははははは!私がこれしきで倒れると思ってたのか!!ラムさんのためならなんの障害も覆してくれるわ!!」
煙の中からメガネの奇声が聞こえる。あたるは呆然としていた。
「どうなってんだ?」
「服の下にあの戦闘服を着てるんだよ」
事実に気付いた終太郎が横からひょいっとでてきてあたるに説明した。それを聞いたあたるは腕を組んで陰険な顔をした。
「なにがラムへの想いだ、ったく」
メガネは腰にある物を取りだした。何やら輪っかがついている。そのある物から輪っかを口で取り外すとぽいっと投げた。落ちてきたある物を見た敵軍は驚いた。
「しゅ、手榴弾だ!」
猛烈な勢いで前進していた敵軍は車のブレーキのような音を立て、我先にと後退した。そして、いきなり静かな商店街になった。
「ふ、馬鹿め!これは手榴弾ではない。ただのおもちゃだ」

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