友引町を奪還せよ-act5- (Page 3)
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「じゃあ、なんだ?」
「・・・ここはどこだ?」
「どこって・・・下水道だが・・・」
終太郎は辺りを見渡した。すると何かに気付いた様子を見せた。七人は特武隊が侵入する時と同じ場所に降り立っていた。
飛行機は途中風にあおられ、何とか予定の穴から入り込むことは出来たが、かなり奥の方に不時着してしまったのである。周りはしんとしていて、小声でも響き渡っていた。
また奥の方と言うことで結構暗い。
「あたる!面堂を取り押さえろ、気付かれたくない!」
メガネは死にそうな声であたるに叫んだ。あたるは何も答えず、面堂を押し倒して口を塞いだ。
「わ〜、暗いよ〜!怖いよ〜!」
本人は絶叫したつもりだが、あたるの手によってそこまで響き渡らなかった。
「お前は明るいところに行くまで寝てろ!」
バキ!!コースケは木槌を顔面に向かって振り落とした。顔には丸い赤々とした跡が残った。
「よし、第一関門突破!」
いつの間にか回復している。回復力ならあたるや終太郎に劣らない五人である。カクガリが面堂を肩に掛ける状態で運んでいった。七人の姿は闇に消えていった。

どれくらい歩いたのか、あたるは何事もない事に少しいらだちを感じていた。
「ええい、まだか、まだ予定のマンホールまで来んのか!」
「ここだ」
すてーん!!コースケは上を指した。少し光が漏れている。時々瞬間的に光が消えた。上を誰かが通っているようである。
「ここなら面堂を起こしても良いだろう。起きろ面堂!」
カクガリは面堂を肩からおろすとほっぺたを軽く叩いた。
「う、・・・ここは・・・?」
「予定のマンホールの下だ。少し明るいからお前も大丈夫だろ」
「ああ・・・」
面堂は起きあがり、周りを見渡した。七人がいる位置は広かった。後ろには大きな穴がありそこから少し水が垂れていた。
「よし、これより戦闘開始だ。二手に分かれ、それぞれ友引高校に向かう。いいな?」
面堂家の人口衛生によると敵はビルの中から友引高校に拠点を移したという情報が手に入った。このマンホールは二手に分かれても学校とはほぼ同等の距離である。
「このマンホールを出たら俺とコースケと面堂は商店街側から向う。ラム親衛隊は下友引駅から向かってくれ、いいな」
「わかった」
全員うなずく。
「それから最後に・・・」
あたるが口を開いてそのまま言葉が続かなかった。水の垂れる音が場を支配する。
「死ぬなよ」
「・・・」
「それじゃ行くぞ」
あたるは返事も聞かずにはしごを上り始めた。面堂、コースケ、親衛隊も続く。あたるはマンホールを少し開けて外の様子をうかがった
何人かうろつき回っているが、警備というわけでは無そうである。出るタイミングを見計らった。
そのとき急にもの凄く重い力がマンホールにのしかかった。あたるの腕は耐えきれず、マンホールは閉まった。がちゃーんと言う音が下水道内に響き渡った。
「どうした?」
あたるは右腕をぶんぶんと上下に振って、痛みをやらわげようとした。
「戦車だ。戦車が通りかかっていった」
あたるはマンホールを再び開け、隙間からのぞき込んだ。戦車が曲がり終わるのを見ると
「今だ」
と言って、あたる、コースケ、終太郎はそそくさと外に出て、店の陰に隠れた。残りの四人はまだマンホール内だ。
あたるは見つかっていないことを確認すると店の裏路地へ入っていった。
「この町の地理はあいつらより数段理解している。出来るだけ裏路地を通って学校に行くぞ」
うなずくコースケ、終太郎。表通りに敵の姿があった。その内の一人が、あたる達の視線の中で止まった。
向こうから見える位置にいたあたる達はゴミ袋の陰に隠れ、どこかに行くのを待った。しかし予想に反して敵はこちら側に歩いてきた。
(マズイ!)
「何処か逃げ道はないか!」
コースケは後ろ、上、を確認したがそんな物は何処にもない。
「だめだ!」
「ちっ。ここへ来てすぐにピンチか・・・」
銃を使うのも無理だった。空気銃とはいえ、音はでかい。三人ともそのことは理解していた。少しずつ近寄ってくる。その足音が近づくたびに、あたるの頬から汗が一粒落ちた。
「うりゃ!」
終太郎は突然に斬りかかった。敵はそれに気づきよろめく。ドビュっと刀が空を切った。しかしわざとか偶然かはずれた。
「今だ!殴れ!」
敵は首に掛けてある笛をとった。口元に持っていったところで
「させるか!」
と、終太郎は笛を切った。と、同時にあたるは後ろから首に手を回し、グキ!と気絶させた。ばたっと膝をついて倒れた。
「ふう、」
一息ついたそのときだった。
「誰だ!?」
たまたま裏路地を通っていった敵が後ろから現れた。ぴー!!笛の音が鳴り響く。
「くっ!」
終太郎は納めたばかりの刀を抜くと
「でやー!」
と言って飛び上がった。すると敵は腰に手を回した。銃を撃つつもりだ。それ気付いたあたるは思わず、腰にぶら下げてある空気銃を取るなり撃ってしまった。
ドーン!敵に何とか命中したもののこれで気付かれるは必定である。
「こ、これで気付かれたな・・・」

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