BD2 機動武装隊「青龍組」 (Page 3)
Page: 01 02 03 04 05

メガネが関西弁で答えた。驚いたときはこの男ほど豹変の激しいものはいない。
「実は他の兵士から抗議がありまして・・・。客人室に戦いもせずにぬくもっているなど腹立たしい。我々と同じ戦場に行かせろ、とのことです」
「まあ、確かに・・・。で、どこに配属なんだ?」
「え、良いんですか?」
ゼルクスは少し驚いたような顔をした。普通なら嫌がるものだが、こんなにあっさりとOKを貰うとは思わなかったのだろう。
「いいから早く教えろよ」
「あ、はい・・・」
ゼルクスはポケットから紙を取り出した。
「えっとー、第一艦隊武装機動隊です。組名は「青龍組」です」
「龍神組?」
あたるとパーマは寝間着から私服に着替えていた。パンツ一丁で部屋を忙しなく動き回っていた。
修学旅行で私服を持ってきていたため着る物にはこまらない。
「ええ、第一艦隊の武装機動隊の組名です。因みに第二艦隊は「白虎組」第三艦隊は「朱雀組」です。あと補欠的存在の「玄武組」があります」
「ほ〜、四神か〜」
メガネは感心した声を出して、腕を組んだ。
「四神?」
するとメガネはどこからともなく辞書を取りだした。そしてパラパラとページをめくっていき、それが終わると眼鏡を光らせて言った。
「『天の四方の方角を司る神。すなわち東は青龍、西は白虎、南は朱雀、北は玄武の称。四獸』広辞苑第五版参照」
「ったく、どこから出してんだ?この非現実主義者め」
「ふん!」
メガネはその場ですね、人差し指で地面に円を書くように動かした。どうやら幼児退行化現象、あるいは被虐待者になったようである。
あたるはそのメガネを見て呆れた。そんな事をよそにゼルクスはさらに付け加えた。
「しかし青龍組は武装機動隊の中でも精鋭揃いです。しかも練習は並の人間じゃついていけません。いまなら他の部署にも行けますけど・・・」
「白虎組とかでも良いのか?」
「いや、武装機動隊以外の場所です。ここに入れるなら青龍組意外は認めないとの意見も少なくありませんので・・・。他の部署は、
士官部、砲撃部、保安部、整備部、通信部などがあります。士官部は作戦や戦闘時の指令、砲撃部はそのまま砲撃担当、保安部は艦隊内での事件、事故の管理、
整備部はエンジンを初めとした機種の整備及び修理、通信部は首都星や他の鑑や艦隊との通信です」
「どれも向いてないな〜」
あたるは腕を組んで少し悩んだ。このような軍などでの訓練はおろか、基本知識さえ知っているはずがない。武装機動隊以外は無理のようである。
「仕方ない、武装機動隊で我慢してやるか・・・」
「それでは早速行ってみましょう」
「ま、待て朝飯ぐらい食わせろよ」
「あ、すいませんでした・・・」
ゼルクスは部屋を出ていこうとしていた身を翻して、顔を赤くした。

第一食堂
あたる達は要塞の食堂でカレーを食べていた。朝っぱらからカレーとはいい気なもんだ。
「へ〜、あなた達は地球の出身なんですか・・・」
「まあな。しかしただの地球じゃない。お前等から見たら異次元の地球だ」
「え、あなた方は異次元を渡る技術を持っているんですか?」
ゼルクスは少し前に体を乗り出して、声を大きくした。
「い〜や、たまにあるんだよ、こういう事が・・・。理由はわからんがな・・・」
「ふ〜ん・・・」
しばらく沈黙が続いたが、あたる達にとってここはまだに、三日程度しか滞在していない。まだまだ疑問は出てくる。
「しかし、ここもあれだな。軍とかにしては結構空気が張りつめてないな」
食堂では規律正しく食事を食べる姿もないし、固ッ苦しい話もない。トランプをしたり、腕相撲をしていたり、自分の彼女の写真を見ていたりと
階級に関係なく遊びほうけているかんじだ。
「リーヤン提督のせいですよ。一応英雄と呼ばれるだけあって戦闘時での指揮ぶりは驚くばかりだし、犠牲も少ないですが、性格がスチャラカしていて、
独身の時は部屋は汚いし、皿も洗わず、ゴミもすてないでと軍隊にいなかったら町をさまよう浮浪者だったでしょうね。
それでそのスチャラカな性格が兵士にも移っちゃったと言うわけです」
目の前で一緒に食事をしているゼルクスが答えた。
「結婚しているのか?」
メガネはカレーを食べるスプーンの手を止めて、驚いた声を出した。
「ええ、副官のフレリー・ハンツ准将です。記憶力がもの凄く良いんです。物忘れの激しいリーヤン提督には打ってつけの
パートナーですよ」
「美人か?」
あたるらしい質問である。
「そりゃあもう。この要塞内ではアイドル的存在ですし、リーヤン提督には勿体ないと言う声もしばしば・・・」
「お前もそう思っているのか?」
「いや、僕はお似合いだと思いますよ。一緒に生活していて、そう思います」
「お前、その二人の子供か?」
「いや、僕は戦争孤児なんです。父は戦死しました。そして二年前、保護者として白羽の矢が立ったのがリーヤン提督です。

Page 2 Page 4
戻る
Page: 01 02 03 04 05