BD2 機動武装隊「青龍組」 (Page 4)
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同盟軍隊は十五歳から採用しますから軍人になる前の一年間はリーヤン提督の世話をしていたわけですが、それがもう大変でした。
一年前、フレリーさんと結婚されて、大分楽になりましたね」
あたるは水を飲みながらふ〜んともへ〜ともつかぬ声を出した。
「そう言えば君はなぜファミリーネームが無いんだ?」
今まで黙って会話を聞いていた面堂が話題を変えた。
「何で知ってるんです?ファミリーネームがないことを・・・」
「最初に名乗ったとき、ファミリーネームを言わなかったじゃないか。初対面の時にはフルネームで答えるものだろう」
「ははは、頭が良いですね、面堂さんは・・・」
面堂は髪をチラッと触ってきざったらしい声で
「僕は育ちが良いのでね。ここにいる貧乏人のろくでなしとは次元が違うんだよ」
「やるか?」
あたるは木槌を取り出し、また面堂も刀を取り出した。最初に面堂が雄叫びと一緒に刀を振りおろした。あたるは上にジャンプし、わざわざ
面堂の頭を足蹴にすると面堂の背後に降り立った。そして面堂に木槌をぶつけようとすると、刀で振り払われ、木槌は周りにいた野次馬に直撃した。
無防備のあたるにとどめの一撃と言わんばかりに斬りかかると、あたるは得意芸である真剣白刃取りをして、そのまま硬直した。
その後面堂は刀を捨て、刀出しの次に得意な釣鐘割りを応用した怪力で、テーブルを次々に投げつけては周りに被害を与えた。

第四監獄所前
「いくら周りがスチャラカだからといってあんまり調子に乗らないでくださいよ」
あたると面堂はあの後保安部によって拘束され、立った今リーヤンの釈放書を持ってゼルクスが迎えに来たところであった。
「面目ない・・・。このアホについ調子を合わせてしまった」
「やるか?」
「望むところだ」
さっきまで反省していたかのような表情はどこへ行ったのか、またしても喧嘩、及び拘束された。
「は〜・・・」
ゼルクスは溜息の後面倒くさそうに、また保安部の管理室に釈放書を書きに言った。あたる達に反省や学習と言った言葉は知らないのだろう。

機動武装隊青龍組道場前
「で、ここは青龍組の道場です」
見るからに日本風の道場で、神棚もちゃんとある。入り口には力強く「青龍組」と漢字で書いてある。
「ほ〜、ここに来て初めて日本語を見たな〜」
「そう言えば地球は同盟側の星で唯一言葉が統一されたなかったんでしたよね。歴史の授業で習いました」
「一応世界共通語と言って英語が使われていたんだ。でも日本では本格的には習わなかったな」
「しかし、良く日本語が書ける奴がいたな」
「ああ、それは武装機動隊隊長で青龍組組長のシューベル・モロヴァシー大佐が地球出身なんです。なんでも曾祖父が、
残り少ない日本民だと自慢げに話していました」
そう言うとゼルクスは道場の戸に手を掛けた。そのとき
「でやぁぁぁ!!」
という叫びと共に戸が破れ、胴着を着た隊員が、ゼルクスを巻き込み、床に倒れ込んだ。あたる達は呆然とそれをみていた。大分厳しい特訓のようだ。
「どうした!?この程度で倒れるくらいなら、軍隊を退役しろ!!」
中ではシューベルが、竹刀を持ちながらこちら側に叫んでいる。ゼルクスががれきの中から立ち上がり、痛そうに立ち上がった。
この痛々しい姿をシューベルは見た。
「ゼルクス、なにやってんだ?」
そう言ってゆっくり歩み寄ると、よろめくゼルクスの体を支えた。
「大丈夫です。それより新しい隊員です。諸星あたるさんと面堂終太郎さん、それから・・・」
メガネを見てゼルクスは止まった。
「メガネでいい・・・」
何処か悲しげな声だ。
「この三人が青龍組に入ることになりましたんで、けいこの方を頼みたいと・・・」
「しかし、見るからにアホ頭等でスケベそうで、やる気が感じられんが・・・」
あたるは上目使いでシューベルをにらみつけた。横で面堂とメガネがあたるを横目に、にやにやしている。
「誰がだ?」
重くずっしりとした声でシューベルに言った。
「三人ともだ」
面堂とメガネはずるっとこけて、起きあがるついでに武器を取りだした。
「貴様ぁ〜」
「まて、戦うつもりならこちらに来い。勝負してやる。無用な殺生は避けたほうがいい」
(何が殺生だ、このバカタレ)

「勝負は時間無制限。ルールは特になし。どちらかが気絶するまで戦い続けろ。以上だ」
あたる達の目前にいるのは、道場の手練れらしき人物二人だ。相手はそれにシューベルがついて三人。三対三なのだ。
相手側はスポコン漫画で出てくる敵のように余裕の笑みを浮かべている。手練れの余裕と言ったところか。
「最初の相手は誰か?」
相手側から一人の隊員が一歩前に出た。
「私は・・・」
「能書きはどうでも良い!さっさとはじめんか!!」
あたる達の一番手はメガネだ。一歩前に出た隊員の前置きを払った。その隊員はそれにかちんと来たようである。
「組長、こんな奴らに一人一人相手なんかせず、いっぺんにやりましょう。時間の無駄です」

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