同窓会パニック!カニ先生が泣いた日(前編) (Page 1)
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「なにっ、お前もか?」
「エッ、ダーリンも?」
偶然にもあたるとラムの中学時代の同窓会が同じ日に行われることになった。
ちなみに、あたるはしのぶ、それに4人組と一緒の中学であるし、
ラムも弁天、お雪、ランと一緒の中学である。
しかも、両者とも、今名前が挙がったメンバーと3年間それぞれクラスが同じだった。
いわゆる、腐れ縁というやつである。
2人とも当日になって何を着ていこうか迷ったが、
結局ラムはいつもの服で、あたるはブレザーで行くことにした。
ラムは会場が遠いこともあって、あたるより先に出発することになった。
「じゃあ、ウチ、そろそろ行って来るっちゃ。明日の朝には帰るっちゃ。
でもダーリン、昔の友達と旧交を温めるのはいいけど、
ウチがいないことをいいことに、会場に来た女の子にチョッカイ出したら・・・
許さないっちゃよー」
あたるの鼻を指差し、名残惜しそうに言うラムに対し、あたるはそれを払いのけて、
「あーっ、わかった、わかった。わかったからさっさと行って来い。
ところでお前、ランちゃんと一緒に行くんだろ?待ち合わせに遅れるんじゃないのか?」
と言って、ラムをせきたてた。すると、時計を見たラムが、
「いっけなーい!もうこんな時間だっちゃ。待ち合わせに遅れるっちゃ」
と叫ぶと、あたるが、
「ほら見たことか!ほら、とにかく急げ!」
と、早く出て行けとでも言いたげに言った。ラムはUFOのある空へ飛んでいった。
ラムが急いでUFOでランを迎えに行くと、かんかんに怒ったランがお待ちかねだった。
「くぉらぁーっ、ラムーっ!おんどりゃあ、いったい今まで何さらしとったんじゃー!!
ワシを10分も待たすとは、どーゆー了見じゃい!」
ランは毎度おなじみの河内弁で、ラムを散々怒鳴りつけた。
「ご、ごめんちゃ・・・ランちゃん。これには諸々の事情が・・・」
とにかく怒ったランの怖い顔をこれ以上見たくないので、ラムは一応謝った。
しかし、頭の中では、たかが10分遅れただけなのに・・・ひどいっちゃ、
と思っていた。
何はともあれ、2人はラムのUFOで同窓会会場へと向かった。
出発して10分後、UFOの中でランが突然、
「ラームちゃん!あたし、クッキーとクレープをおやつに作ってきたんだけど、
食べない?とーってもおいしいのよー」
と甘えたような口調で言った。
その姿は、10分前の彼女とはまるで別人だった。
ラムは突然の彼女の変化にいつもの事ながら驚いた。
さっきの勢いはどこにいったっちゃ、いったい10分間に何があったっちゃ、
ラムはそう思った。
今は特にお腹は空いていない。食べたくないとラムは思っていたので、
「い、いいっちゃ!今ウチダイエット中だから・・・」
と断ったが、ランは、
「えーっ、冷たいわねぇ・・・せっかく作ってきたのに・・・一緒に太りましょうよぉ!」
と答えた。
ラムはこれ以上断ったら後が怖いと思い、仕方なく一口クレープを食べた。
お腹が空いていないから、味などよく分からなかった。当然食は進まない。
手と口の動きが鈍いラムの様子を見てランが、
「やーねェ、毒なんか入ってないわよぉ!遠慮しないでどんどん食べて」
そうニッコリと笑いながら言うので、ラムは愛想笑いを浮かべながら食べた。
ランがどうしてクッキーとクレープを作って来たのか、今でも不明だ。
いや、たとえ意味があったとしても、どうしてこんなときに食べさせるよう仕向けるのかが分からない。
そうこうしていると、いつの間にか会場に到着していた。
一方そのころ、あたるも同窓会会場に向かっていた。
あたるがニヤけた顔で、
「うははははは・・・ラムのアホが。地球におらんというのに、
どうやってオレがほかの女に手を出したと証明できるんじゃ。
まさに、『鬼の居ぬ間に洗濯』じゃな。今日は思いっきり羽が伸ばせるわい。
あやちゃんやミキちゃんやリカちゃんとあんなことやこんなことを、うひひひひ・・・」
と、しまりのない顔でひとり言っていると、
「何ひとりでぶつぶつ言ってんのよ。気持ち悪いわね・・・」
突如しのぶが現れ、そう言い放った。あたるは慌てた様子で、
「よ、よーう、しのぶー、久しぶりーィ」
と、しのぶに向かって右手を高く上げながら言った。
「昨日も会ったでしょ!相変わらず白々しいわね」
しのぶは冷たくあしらった。
あたるはさっさと先に行こうとする彼女の前にに立ちはだかって、
「ふっ、しのぶ。今日着ているその服、とても素敵だよ。世界一、いや、宇宙一の美しさだ。
その美しさの前じゃ、この夜空に輝く星たちもみんな嫉妬してしまうだろう・・・」
と歯の浮くようなこと言って、しのぶの機嫌を取ろうとした。
そのときしのぶの着ていた服は、ピンクのツーピースで、化粧も少ししていたせいか、お世辞でなくなかなか素敵だ。
「今日は曇り。星なんか1つも見えないわ。いいわよ、社交辞令なんて!
早く行かないと開始時間に遅れるわよ!」

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