BD2 夢の未来 (Page 3)
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「罠って事ぐらい俺だって気づいたが・・・」
「やっぱサクラさんも歳なんじゃないか?」
後ろであたるとメガネがこそこそ話しているのにサクラはわなわなっとした目つきであたるとメガネの目の前に来た。
「誰が歳じゃーい!!」
サクラは二人を懇親の力を振り絞って蹴飛ばした。二人は要塞の中を突き抜けて、中央だった元の場所から端っこまで到達した。
サクラの頭上の天井には果てしなく続く穴が、砂煙を上げている。
「いててて・・・」
二人はたどり着いたその先で、ぶつけた頭に手を当てていた。ぶつかった壁には人型の跡がくっきりと残っている。
「相変わらず馬鹿力持ってるな〜」
「そんな悠長なこと言っとる場合か!!」
メガネは直ぐさま立ち上がり、元来た道、いや、とばされてぶち破ってきた壁の穴の中に消えていった。メガネの姿が見えなくなるとあたるは何を考えたのか、
元の場所に戻ろうとせず、要塞内を適当に歩き始めた。すると急に廊下が汚くなり、蜘蛛の巣やネズミの穴が出来た。驚いたあたるでは一瞬立ち止まったが、
また歩み出した。
しばらく廊下を歩いていくと、自分たちの寝泊まりしている部屋を見つけた。中をのぞくとホコリをかぶっていて、
電気もつかない。蜘蛛の巣までできている。
「まさか・・・」
あたるは突然走り出した。よくよく廊下を見てみると、ひび割れが目立っている。
あたるは食堂にたどり着いた。やはり電気はつかない。
「夢邪鬼のやつ、俺だけ此処に取り残そうってかい。言い度胸だ・・・」
あたるはこの要塞内に、夢邪鬼の手によって取り残されたと悟った。
あたるは笑いながらも、冷や汗を垂らしていた。


戦艦シリウス捕虜室
「シュガロー、どこ行ったっちゃ!」
ラムのいた監禁室も急に周りが古びた部屋になり、また縄も腐り、ほどけてしまった。
そして同時にシュガローほか、敵の兵が消えてしまったのだ。
(なにが起きてるっちゃ・・・)
ラムはドアを電撃で破り、外に飛び出したが、古びた廊下が永遠と続いている。
そのまま先へ進むと外が見える広場のようなものに出た。
外をのぞいてみるとそこには地球が見える。ラムはガラスの窓をたたいた。たたくたびにガラスの光の反射具合が変わった。
しかし外は宇宙空間である。生身で外に出れば、死ぬのは当然だ。ラムは二、三歩後ずさりした。
そして何かに気づいたのか、はっとした顔をして、鑑の中に消えていった。

「あったっちゃ」
ラムはどこかの発射台に来ていた。そこには脱出用カプセルがあり、ラムはこれを探していた。カプセルは卵のような形をしていて、
上は緑色のガラスのようなもので、下は頑丈な白銀、中は小さなベットのようになっていて、人一人寝っ転がれる。枕元にはいくつものスイッチが並んでいた。
さっそくカプセルを起動させると、ガラスがウィィンと音を立て、真ん中で二つに分かれ、スライドしながら開いた。
ドアに着いていた砂ボコリが開くのと同時にかさかさと音を出しながら落ちた。
ラムは乗り込むと、電源スイッチを探し始めた。
「あ、これだっちゃ」
上向きの状態で、頭のてっぺんの少し上あたりに赤色のボタンが、ひときわ目立って光っていた。それを押すとガラスが、閉じられ、急に重力が
消えるのが感じられた。外を見てみるとすでに宇宙空間に出ていた。重力が消えたのはそのためだ。ラムは狭いカプセルの中を出来る限り、体を動かして、
先ほど見えた地球を探した。体を右に向けたところに小さく青く光る地球が見える。ラムが枕元にある操縦桿を動かして、方向を調整、ロケットの噴射ボタンを押した。
がくんと、体に少し衝撃が走ったが、たいした傷もなく、カプセルは地球に向かった。

三時間後
ようやく地球の大気圏内に入った。カプセルの周りが赤く燃え始めたのが解った。
ラムはクーラースイッチを押すと、地上への激突に備えて、ショック緩和スイッチを押した。

ラムの脱出カプセルが墜落するかと思われる無限に広がる大地
そのころあたるは要塞から小型戦闘廷をどうにかこうにか操縦して、地球に落下し、ついたその先で、無限に広がる大地を見て、やる気をなくしていた。
「町はどこだ・・・」
あたるはそこにへたりと座り込んで、はあとため息をついた。あぐらをくんだ足の中に、小さな白い花が風に吹かれて揺れている。
そのときヒュゥゥ・・・と上空から音がして、ぼーっとしたまなざしで空を見上げた。上を向いたときには驚く間もなく、その落下物に襲われた。
「うわぁぁぁぁ!!」
あたるは爆発に吹き飛ばされ、五十メートルばかし吹っ飛んだ。あたるは立ち上がるとその落下物に目を向けた。
「な、なななな何だあ!?」
あたるは落下物に小走りで歩み寄り、その白い物体に驚くほか無かった。すると上の方についている緑のガラスが開き、中からラムが起きあがってきた。
「ショック緩和スイッチを使ってもやっぱり痛いっちゃねー」
ラムが頭を押さえている。落下の際、多少なり衝撃があったらしい。

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