BD2 夢の未来 (Page 4)
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「おのれは久しぶりの再会ぐらい感動的にできんのか!!?」
「あ、ダーリン、久しぶりだっちゃ」
ラムはあたるの怒りに構わず、あたるに抱きついた。あたるはあきれながらも離れようとはしなかった。
「ったく・・・」
と、いいながらも顔は赤くなっている。

「ところで、お前、此処が何処か解るか?」
「さあー、全然・・・」
2人は大地の真ん中で、あたるはあぐらを、ラムはなぜか正座をして座っていた。
風がラムの長い髪を揺らしていた。
「ま、とにかく、歩いてみるか・・・」
あたるは立ち上がりざまに、背伸びをして目の上に手をかざし、周りを見渡した。あたるの目には、山やら空やら何の平凡のない地平線が写っている。
「よし、あっちだ」
何の根拠もなく、向こうに見える山の方向を指さした。
「何でだっちゃ」
「野生の勘さ・・・」
「あっそ・・・」
とりあえず、ラムも飛び上がり、歩み出すあたるの横でで飛行した。
しばらくすると、あたるの足下に何か白く、石のようなものがあった。
あたるは何かに気づいたというわけでもなく、その白い石を拾ってみた。
「なんだっちゃ、それ?」
「俺が知るかよ」
あたるはその白い石を回しながら、その正体を探ろうとした。しかしすぐにそんなものの正体がわかった。
なにか不規則な穴が開いていて、あごの関節のようなものがあった。
「げ!頭蓋骨!」
あたるはその頭蓋骨に吃驚して投げ捨てた。地面で頭蓋骨にひびが入り、強風によってバラバラになった。
「ああ、かわいそうだっちゃ!」
ラムはまだ飛ばされていない頭蓋骨を集め、どこからか布を取り出すと、それに包んで、腰が引けているあたるに手渡した。
「な、なんだよ?」
「ダーリンがもつっちゃ」
「なんでじゃ!」
しかしラムは返事もせず、そのまま先を急いだ。あたるはしぶしぶその布を担ぎ、ラムの跡を追った。

「あ、町だっちゃ!」
ラムが十メートル先で手を振っている。あたるは歩き疲れていたが、ラムは休憩を認めず、あたるは気力だけでラムを追っていた。
「やっと町かぁ〜」
ふと気が抜け、町が見えるとともに前方に倒れ込んだ。
「あ、そっちは崖だっちゃよ」
あたるの足下には急斜面な坂道があるのだ。あたるの目にごつい岩が写った。
あたるは崖を見事に滑り落ち、町のはずれで終わっている坂道で、ぼろぼろになりながら何とか生きていた。
「大丈夫け?」
「大丈夫なわけあるか・・・」
「ふうん・・・」
ラムはあたるから町に視線を移した。草木が無節操に生えていて、土と木で作られたであろう家は、穴が開いていて、人の姿も見えない。
「なんだ、誰もいないではないか・・・」
あたるは立ち上がり、その荒れ果てた町を見た。
「そうみたいだっちゃ」
しかし食料ぐらいあるかもしれない、そういってあたるは歩み出した。
「しばし待ちなされ・・・」
横から毛布をかぶって、一人寂しく座っている老人がいた。
「なんすか?」
「おぬし、その服から見ると同盟軍のものか?」
あたるはいまだ青龍組の制服を着ていた。しかし同盟軍のものではない。だが、それはそれで違うと言えば、矛盾が生じる。
仕方なしに
「ええ、まあ・・・、そんな感じです」
と正否が解らぬ答えをした。
「まだ、同盟軍は存在したのか・・・」
「なにを言ってるんですか?まだ宇宙の方で戦争を・・・」
「おぬしこそ何を言っておる。戦争は五十年前に帝国の勝利で終わったではないか・・・」
あたるは返す言葉の選択に迷った。たったいま、あたるたちは戦闘の前触れを経験してきたのだ。
「因みに此処はどこなんですか?」
あたるは話題を変え、今一番聞きたい、ここは地球の何処の国なのか、それを問いだした。
「ここはな、帝国軍に襲われた首都星を脱出して、落ち武者狩りをしている帝国の追跡にふるえながら
暮らしているやつらの最後の地なんだ」
「はあ・・・。いやだからここはなんて言う国なんですか?」
老人の的はずれな答えにあたるは言い方を変え、はっきりとした質問をした。
「国名?そんなものはありゃせんよ。今の世にとってはな・・・。まあ、あえていうならその昔は日本と呼ばれていた国だ」
「に、日本!?」
あたるは日本にこんな土地があるはずがないと、一応何県の何市なのかそれを聞いてみた。
「ああ、東京都、友引町じゃ・・・」
「そ、そんなばかな・・・」
あたるは魂が抜けたかのように、その場で両膝をつき、四つんばいになった。たしかに夢の世界ではあるが、
夢邪鬼が今まで見せてきたものは全て未来を想定してある。つまり未来は戦争により、地球は滅びることを悟ったのだ。
「ダーリン・・・」
ラムはあたるの両肩に手を添えて、四つんばいのあたるを起こそうとした。
「お前・・・、ラムか?」
老人が少し、声を大きく出して、立ち上がろうとした。しかし相当弱っているのか、すぐにバランスを崩して、しりもちをついた。
四つんばいでショックのあまり下を向いてたあたるは、その老人を見た。
「おれ・・・?」

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