時は夢のように・・・。 (Page 4)
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ラム「あれっ? ダーリンどこだっちゃ? もうダーリンたら、先に起きてるなら、何でウチのこと起こしてくれないっちゃ?!」
ラムと一緒に押し入れの中で寝ていたテンが、半分眠りながら奥から出て来た。
テン「ラムひゃん・・。どないしたねん・・?」
ラム「テンちゃん、早く起きるっちゃ。もうお昼だっちゃよ!」
テン「今日は日曜やないか〜・・。ワイはも少し寝てるで・・。」
テンは再び押し入れの中に入ると、すーすーと寝息を立て始めた。
ラム「もう、しょうがないっちゃね・・。(まぁ、仕方ないか。夕べはダーリンに付き合わされて夜中の三時過ぎまで花札してたんだもん ・・・。ダーリンの意地っ張りも、困りモノだっちゃね・・。)」
押し入れの戸を静かに閉めた。
そして部屋のドアを開けると、飛翔して階段を下り、一階の洗面所に向かった。
*
茶の間。
父「おや? ラムちゃんが起きたようだね。」
母「ラムちゃーん、顔洗ったら茶の間に来てちょうだいねーっ。」
母さんが、ふすまを開けて顔だけ出してラムに声をかけた。
ラム「はいだっちゃーっ。」
しまった・・。ラムの存在をすっかり忘れていた・・。
なんだか、すっかり酔いが覚めてしまった感じだ。
俺が彼女に手を出そうとしようものならば、絶対あいつが黙っていない。怒鳴って喚いて泣き叫ぶだろう。とどめには電撃リンチは必至だ。それがあいつの伝家の宝刀とも言うべき必殺技でもあるしな・・。
あたる「・・・・。」
考えれば考えるほど、ブルーに入っていく。
唯「あの・・、あたるさん・・?」
あたる「は・・?」
唯「どうかなさったんですか? お顔が真っ青ですよ・・?」
どうもラムの事を考えると深みに入ってしまう。そのせいで妙な顔をしていたんだろう。唯は首をわずかに竦めた。
あたる「い・・いや〜〜、文字だけでして、カラーでお見せ出来ないのが残念ですぅ・・。」
唯「あっ、そうそう、あたるさんだなんて馴れ馴れしくてごめんなさい。今日会ったばかりなのに。あの、あたるさん、って呼んでいいか な? 私の事も、他人行儀は嫌だから、唯って呼んでください。これから一緒に暮らしていくんですもの・・ね。」
これから・・ずっと?(おれにはこう聞こえた)その言葉が引き金となって、俺の頭はまた妄想の世界に突入していった。
あたる「(今日からずっと一緒に・・・唯と一緒に・・・? いやぁ〜ったまりまへんなぁ〜〜っ! うひひひひ〜〜っ!)」
俺の心では、彼女は『祈瀬さん』から、早速『唯』に変わっていた。
にやにやと不気味な笑みを浮かべて、視線は宙を彷徨わせている。そんなあたるに両親は大きく溜め息をついた。
そうしていると、茶の間の戸が開いて、元気一杯の声が部屋にこだました。
ラム「おっはよーーっ!」
起きたばかりだというのに、相変わらずハイテンションなラム。
唯は、予想だにしなかったラムの登場の仕方に、ちょっとびっくりしたのか、目を真ん丸くさせている。
振り返った唯とラムの目があった。
ラム「ん? お客さんだっちゃ?」
大きく、つぶらな瞳をパチクリさせるラム。
唯「あ、おはようございます!」
唯もラムに負けないくらい元気一杯に挨拶を返す。
父「おはよう、ラムちゃん。こちらは祈瀬唯さん。今日からしばらく我が家でお預かりする事になったので、仲良くしてくれるかな?」
ラム「どーゆー事だっちゃ?」
あまりに唐突な話しで小首を傾げる。
唯は、すっと立って、また頭を下げた。
唯「初めまして、祈瀬唯です! 今日からお世話になります!」
ラム「あ、ど・・どぉも〜・・。」
事情が分からないラムであったが、つられるようにお辞儀し返す。
あたる「唯ちゃんって、ほんに礼儀正しいのぉ〜。むっふふふふ・・。」
ラムと唯が並んで立って初めて分かったのだが、唯も結構背が高い。高いと言ってもラムよりほんの少し高いくらい、ラムは俺と比べると少し低いくらいだから、もしかすると、俺と同じくらいあるのでは・・?
唯「あの・・。」
ラム「ウチ、ラムだっちゃです。」
にっこり笑って自己紹介。
唯「じゃあ、ラムさん。仲良くしましょうね!」
唯はグッとくるような笑顔でにこやかに微笑んで、右手を差し出した。
ラム「イマイチ事情が分かんないけど、ヨロシクだっちゃ!」
ラムは唯の手を軽く握って握手した。
あたる「唯ちゃぁん! 僕とも仲良くしてね〜〜ん!」
唯の背中にすりすりするあたる。
それを見たラムが途端に顔色を変える。
ラム「ダーリン! ウチの前でそんなことするなんて、いい度胸だっちゃね!」
あたる「い・・いや、違うんだよラム。これは反射的と言うか、癖と言うか・・。俺流の挨拶ではないか・・。」
青白い光を放ちバチバチと放電するラム。あたるもみるみるうちにテンションが下がって、声が小さくなっていく。
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