Welcome To Another World(Chapter 6) (Page 2)
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その後、お兄様たちと皆さんが戦っていた隙に、逃げ出してきたわけです」
ジャンヌはこのようにして、侵略者の計画を説明した。
するとそこに了子が現れ、
「皆さん!ただいまより友引町防衛作戦を開始します!諸星様の看病をする方を除き、
全員どこかの部隊に所属していただきます。
それを今から発表しますから、皆さん、よくお聞きになってください」
と伝えた。了子の発表が終わったあと、お雪とランを除き、全員が所定の配置に着いた。
外は雨が降り続けていた。
「あーあ。今となっちゃ、この雨だけがオレたちの唯一のバリアーなんだよなあ、メガネ」
「ああ。だがこの雨が降り続ける限りオレたちは安泰というわけだ」
与えられた武器の手入れをしながら、2人がこんな会話をしていると、
「そうとは限りません」
と言い、ジャンヌが横から会話に加わってきた。
「確かにインフェリオル族は酸性雨に弱いですが、それを防ぐ特殊スーツをティモシーは開発したんです。
それは体に直接フィットさせるものですから、着てから体に完全にフィットするまで丸1日かかりますけど。
たとえ雨が止まなくても、いずれは・・・」
ジャンヌがこう言った後、チビは、
「そ、そんな・・・じゃあ明日の昼ごろには・・・」
と言い、不安そうな顔をし、カクガリも、
「じゃあ、最悪の場合、あたるをガードしつつ、奴らを撃退しなきゃいけないってことか?」
と不安そうに述べた。
「悪いほうにばかり考えたって始まらないわ。今はとにかく、ラムたちが一刻も早く戻ることを祈りましょう」
しのぶはそう言って、みんなを落ち着かせようとした。すると、
「みんなー!ごはんができたわよーー!みんなで食べましょう!」
という声が聞こえた。ランだった。みんなの表情が少し緩んだ。
「あーあ・・・あと何回、こうやって静かにメシが食えるのかなあ」
ランの作ったおむすびを手に取り、パーマが呟くと、
「メシのときぐらい考え事はよせよ、パーマ!せっかくランちゃんが作ってくれたメシがまずくなっちまう」
メガネはパーマのその呟きを封じた。
そうこうしながら、その場にいた一同はそれぞれ食べ物を口に運んだが、
口に入れたその瞬間、みんなの表情が曇った。
(な・・・何だこりゃ・・・?)
(このおむすび、甘い・・・)
おむすびを食べた者は皆、こう思った。みんなの表情を見たランが慌てておむすびを口にすると、
「ご・・・ごめんなさい・・・お塩とお砂糖間違えちゃった・・・」
と謝罪した。おむすびだけでなく、ほかの料理の味もメチャクチャだった。
彼女らしくないミスだ。やはりレイの死が尾を引いているのだろうか。
「ごめんなさい・・・まずかったら残してね・・・」
うつむいたまま彼女が呟くと、彼女の気持ちを汲んだメガネが気を利かせ、
「い、いやー、いいんだよランちゃん!オレたち、甘いおにぎりも酸っぱいスープも大好きだから!アハハ・・・
なっ、みんな!?」
と周りを睨みつけ、賛同することを迫ったので、
「そ、そーだよ!オレたち、残したりなんかしないよー」
と周りのみんなも言った。
「えーーっ!?ウッソオーー!ホントにぃーーっ!?じゃああたし、明日からもこの味付けで作ろうかしら!?」
ランは微笑みながら冗談交じりにそう言った。しかしその笑顔はどこか作為的なものだった。
(ああやって明るく振舞っているけど、やっぱりレイの死で・・・きっと相当辛いんだろうな。
なあ、あたる。お前がもし死んだら、ラムさん、どんな顔するんだろうな。
やっぱり、想像もつかないようなひどい顔になるのかなぁ・・・)
メガネは甘いおむすびをかじりながらこのようなことを考えた。
「明日か・・・オレたちに本当に明日が来るのかなあ・・・」
チビは力なくそう呟いた。
「チィービィーーー・・・・・・!!」
その場にいたみんなはチビを睨みつけた。
「ご・・・ゴメンよお!そんなつもりはなかったんだよお!」
みんなからの視線を感じ、チビはあわてて謝った。
食事が終わると、皆また沈み込んだ。
「ふうー、どうやら着いたみてえだな」
その頃ラムたち4人は、亜空間ベクトルXYZの入り口に到着していた。
「何だか暗いところですね・・・空気も悪いし・・・それにこの寒さは・・・」
面堂がそう言うのを聞いて、竜之介も、
「ここに長くいると、胸クソが悪くなりそうだぜ・・・」
と不快感をあらわにした。
「ジェームスの森は、ミラクルセージはどこにあるっちゃ!?」
ラムがそわそわしながら言うと、
「とにかく情報を集めねえと・・・誰か知っている奴を探すしかねえな・・・
どこかに村かなんかあればいいんだけどな」
と言い、前に向かって進みだした。しばらくすると、村が見えてきた。
それにしても、村全体に活気が感じられない。人の話し声も聞こえない。
「何だか、暗い村だっちゃね・・・」
「まさか誰もいねえなんてことは・・・ねえよな」
「あそこに市場らしいものがありますよ。でも客はいないようだな・・・」

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