Welcome To Another World(Chapter 6) (Page 3)
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こんなことを話しながら村中を歩いていると、ようやく1人の男を見つけた。
髪もヒゲもぼさぼさで、体中が酒臭かった。
「おい、聞きてえことがあるんだけどよ。ジェームスの森ってどこにあるか知らねえか?
アタイらそこに行きてえんだ。もし場所を知ってたら、教えてくんねえかな?」
弁天はその男に尋ねた。するとその男はいやらしい笑い声をあげて、
「・・・いいぜ。ただし、3万クレジット払ってくれたらな」
と報酬を要求してきた。
「そんなお金、持ってないっちゃ」
ラムはムッとした表情で答えた。
「そうか・・・じゃあちょうど2人女がいることだし、その体で払ってくれたら、
ロハで教えてやってもいいぜ?」
男はいやらしい笑いを浮かべ、ラムと弁天を眺めながら言った。
「おい!オレが目に入らねえのか!?言っとくけどなあ、オレは女・・・!!」
「およしなさい、竜之介さん。話が余計ややこしくなりますよ」
自分が女であることを名乗り出ようとした竜之介を、面堂は制止した。
「・・・わかったよ。だがな、こいつの体は勘弁してくれねえか?
こいつは嫁入り前の大事な体なんでなあ。代わりにアタイが2人分がんばるからよお・・・」
「へっへっへ・・・ちょっと惜しいけど、まあいいや。オレの家はすぐそこだから、
せいぜい楽しませてくれよ・・・」
弁天の申し出に、男は承諾した。2人は路地裏に消えていった。
数分後、弁天は1人で戻ってきた。
「だめだ。あいつはちょっと勘違いしてたらしくてよ、ジェームスの森のことは何も知らなかった。
せっかくラムの分もがんばったのによお・・・しゃーねえ、ほか当たろうぜ」
弁天に促され、ほかの3人も動き出した。
一方男は、自分のベッドの上でボコボコになっていた。この男は、
初めからラムたちから金を巻き上げ、さらにはラム、弁天を暴行するつもりだったのだ。
4人は手当たり次第に周囲の人に尋ねたが、知っているという者はいなかった。
いたのは金目当て、ラム、弁天の体目当てで言い寄ってくる野郎ばかりであった。
「まったくどうなってやがるんでい、この村はよ!」
竜之介がそう叫ぶのも当然だった。
「ジャンヌさんの言ってたとおり、この世界の男どもは、本当に金と色以外興味がないんですね。
でも若い女性の姿がまったく見えないなんて、変ですね・・・?」
「ウチもそう思うっちゃ。初めから1人もいないなんてありえないし、どこかに隠れているのかなあ?」
面堂の疑問に、ラムはそう答えた。
「まさか・・・かくれんぼじゃあるまいし・・・とにかくこの村はもう出たほうが・・・
あっ、何だあれ!?」
弁天の指差す方向から、馬車がやってきた。大男が馬を操っていた。いや、正確に言えば馬のような生き物だった。
「どーう。よーし、ここで止まれ」
男はそう言うと、馬から降りて、弁天の目の前に立った。
「こ・・・こいつだよ親分!オレをこんな目に遭わせたのは!」
見覚えのある男が、大男のほうを向きながら、弁天を指差して言った。
弁天が最初にぶっとばした男だった。このほかにも弁天は20人近い男をぶっとばしていた。
「お前、オレの子分たちをずいぶんかわいがってくれたそうだなあ・・・ここがどこか分かってるのか?」
大男は弁天を睨みつけた。
「へえー、あいつらみんなおめえの子分か。もうちょっとちゃんとしつけといたほうがいいぜ。ん・・・?」
弁天は馬車の中を見てみた。きれいな女性が10人ほど乗っていた。
「おい、馬車の中の女たち、ありゃあ何だ?」
弁天は大男に尋ねた。
「この村の選りすぐりの女どもさ。こんなチンケな村にしては、結構上玉ぞろいだろ?
こうやって遠出するときは、いつもこれぐらいはべらしているんだ」
大男は平然と答えた。
「なんか全員、自発的にそうしているようには見えねえけどなあ」
弁天は馬車を眺めながら再び尋ねた。
「この村の奴らはほとんどがオレに借金をしていて、そのカタとしてオレに自分の娘や妻を渡したのさ。
もっとも、正確に言えばオレがいただいたんだけどな。
オレの屋敷には、まだ何人か娘たちがいるぜ。その娘たちでハーレムを作っているというわけだ」
大男は再び淡々と答えた。これで若い女性が見当たらないわけが分かった。
「ひどいことするっちゃね!金の力で女を自分のおもちゃにするなんて!!
お前、男として恥ずかしくないっちゃ!?」
ラムは女を金と同レベルに扱う大男に猛然と抗議した。
「この村、いや、この世界は金と力がすべてなんだよ・・・これが答えだ」
ラムの抗議に対しても、大男は顔色一つ変えなかった。
「お前・・・最低だっちゃ・・・!!男として、人間として最低だっちゃ!!」
そう叫ぶと、ラムは強烈な電撃を大男に浴びせた。大男はその場に勢いよく倒れた。
「く・・・くそっ!おい、かまわねえ!やっちまえ!!」
大男は起き上がると、周囲に隠れていた子分をけしかけた。ほとんどが弁天に一度焼きを入れられていた。
「あーあ、あいつすっかりムキになってやんの。しょうがねえ、助太刀してやっか!」

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