Welcome To Another World(Chapter 12&13) (Page 2)
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その時、あたるの様子がどこかおかしいことに気づいた。
あたるの体から薄黄色のオーラのようなものが発されている。髪の毛が青みがかった緑色になっている。
「ど・・・どうしちゃったのよぉ!?ダーリン!!」
ランの問いかけにあたるは答えなかった。
「竜ちゃんも、メガネも、パーマも、チビも、カクガリも、しのぶも、そして了子ちゃんまでも、みんな・・・」
あたるは戦闘で死んだ者を正確に言い当てた。
「ご主人様!今言った方々が一体どうしたというのですか!?まさか・・・」
「死んだよ・・・みんな・・・」
お雪の問いかけに、あたるは一言こう答えた。これを聞いたお雪とランは仰天した。
「わ・・・悪い冗談はよしてよ!どうしてダーリンにそんなことが分かるのよ!?」
ランはうろたえた様子であたるに言った。
「分からない・・・だがオレの言ったことが事実であることは確かだ。
そして今、面堂と、もう1人は誰かは分からないが、女の子が、
フィリップとメリッサと戦っている女の子がやられかけている・・・
女の子のところにいるチェリーとサクラさんも、霊力がもうずいぶん減っている。
かなりやばい状況だな・・・ラムはどうやら、その女の子のところに向かっているようだ」
あまりに具体的に話をするあたるを見て、お雪もランも、彼が嘘を言っているとは到底思えなかった。
これだけ話し終わったあと、突然、あたるはベッドから起き上がり、立ち上がった。
まだ足元はふらついている。
「ダ、ダーリン!どうしたのよ?突然起きたりして!」
ランはあたるを心配そうな表情で見つめ、そう言った。
「決まってるだろ。みんなを助けに行くんだよ!のんきに寝てなんかいられるか!」
あたるはランに向かって吐き捨てるように言った。
「だ、だめよ!まだダーリンの体は本調子じゃないのよ!今出て行って何ができるというの!?
お願いだからベッドに戻って!!」
ランはあたるの前に立ちはだかり、前からあたるを抱くようにしてあたるを止めようとしたが、
あたるに振り切られた。振り切られたランは床に転げた。
病室を出て行こうとしたあたるに、今度はお雪が通せんぼをして立ちふさがった。
「お雪さん・・・そこをどくんだ!」
両手を広げてドアの前に立ちはだかるお雪に、あたるは言った。
「いいえ・・・どきません!今あなたをここから先へ行かせるわけにはいきませんわ!」
お雪は首を横に振り、拒絶した。
「どうあってもどかないつもりか・・・」
「私はラムから、あなたのことを『任せる』と言われたんです。
あなたが完全に回復するまでは、私にはあなたを管理する義務があるんです。
・・・お願いします、せめて、あと少しだけ待ってください」
険しい表情で話すあたるに、お雪は毅然とした態度で対応した。
「何を待てというんだ・・・このままラムたちが殺されるのを黙って待てというのか・・・?」
こう話すあたるの表情は、いっそう険しくなっていた。
「そうではありません。ご主人様の回復力なら、あと数時間我慢すれば、かなり回復するはずです。
ラムたちだって、そんなに簡単にはやられるはずはありませんわ」
それにも臆することなく、お雪は説得を続けた。
「敵の狙いはラムとこのオレなんだ。どんなにここで時間稼ぎしたところで、
いずれはここに来ることになるんだ!だから頼む・・・!!オレを行かせてくれ!!」
「いけません!今あなたが戦いに行ったところで、返り討ちに遭うのは目に見えていますわ!!
こちらからもお願いします・・・ベッドに戻ってください・・・」
あたるの要求をお雪が拒絶したあと、あたるは信じがたい行動をとった。
右手をお雪のほうに突き出し、手がうっすらと青白く光ったかと思うと、バチバチと音を立て始めた。
お雪もランも、ものすごいエネルギーを感じた。それは紛れもなく電撃のエネルギーだった。
あたるは顔を上げ、青色に変化した目でお雪をにらみながら言った。
「これが最後通告だ・・・お雪さん・・・そこをどくんだ・・・
もしどけないなら、お雪さん、今のオレにとっては、あんたもオレの敵だ!!遠慮なくこいつをけしかける!」
あたるは電撃のエネルギーをたっぷり吸った右手をお雪に向け、彼女を威嚇した。
威嚇されたお雪は恐怖のあまり、その場にへたり込んでしまった。
これほどの恐怖を彼女は経験したことはなかった。
「ダ、ダーリン・・・!」
ランはドアをくぐり部屋を出ようとしたあたるを思わず呼んだ。するとあたるは振り返り一言、
「オレは行く。いや、行かなければならないんだ!」
と言い残し、部屋を飛び出した。
(ここからだと面堂のいるところのほうが近いな・・・)
廊下を走っている途中に頭の中でそう考えた後、あたるは面堂がティモシーと戦ってる場所に向かった。
走るたびに、左脇腹に痛みが走った。
(ちいっ、まだ痛えな・・・だが今はそんなことにかまっちゃいられん・・・
それにしても、体中にあふれんばかりのパワーがみなぎっているな。
これならフィリップに勝てるかもしれん!

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