Welcome To Another World(Chapter 12&13) (Page 4)
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「ハア・・・ハア・・・油断したな・・・ティモシー・・・!!」
面堂は倒れたティモシーを見下しながらそう言うと、彼の胸から刀を抜いた。
その瞬間、傷口から血が噴き出した。
「う・・・ぐぐぐ・・・ま・・・まさか・・・キサマ・・・最初から・・・」
虫のような声でティモシーが言うと、面堂はにやりと笑った。
「すばやいキサマを一撃で確実にしとめるには、これしか方法がないと思った・・・」
「なぜだ・・・なぜ・・・そんなに・・・この星が・・・大・・・切なのか・・・」
さらにティモシーは問いかけた。
「お前がボクの立場なら・・・きっとそうしたはずだ」
面堂はこう答えた。
「・・・フッ、見事だぞ・・・面・・・堂。捨て身の・・・戦法・・・恐れ入っ・・・た・・・ぐふっ!」
ティモシーはそのまま息絶えた。
「う・・・ぐうっ!」
それと同時に面堂も足元がふらつき、目がかすみ始めた。そしてその場に仰向けに倒れた。
(フッ・・・どうやらボクもこれまでか・・・18年・・・まあそれなりに楽しい人生だったな。
了子の敵も討ったことだし・・・もう、何も思い残すことなどないな・・・
・・・あの世ではきっとあいつともうまくいくだろう。
・・・いや、1つあった。諸星との決着がまだだった。でもやはり、ボクの負けは明らかかな・・・?)
それから程なくして、あたるがその近くに到着した。間もなく、仰向けに倒れている面堂を見つけた。
「面堂っ・・・!!面堂っ!!」
面堂を見つけるなり、あたるは彼の名を叫び、彼のもとに駆け寄った。
「諸・・・星・・・か・・・?」
頭をあたるの方に向け、今にも消え去りそうな声で面堂はつぶやいた。あたるの変化した姿に驚いた。
「フッ・・・この世で最後に見るのが・・・キサマのアホ面とはな・・・ぐ・・・ゴホッ!ゴホッ!」
冗談を言い、余裕を見せようとした面堂だが、口からの吐血が、彼の本音をよく表していた。
「もうしゃべるな!面堂!!安心せい!お前も一応助けてやるわい。お前がラムたちと持ってきた薬で・・・」
冗談には冗談で、このときあたるはこう思っていた。面堂が命尽きる寸前であるとは考えもしなかった。
「一応とは何だ、一応とは・・・ずいぶん安く・・・見積もられたもんだな・・・ボクの命は・・・
だがな・・・もういいんだ・・・諸星・・・どうせボクは死ぬ・・・もとより覚悟の上だった・・・ぐっ、ごはぁっ!」
このときの面堂は、もはやしゃべるのも辛い状況であった。
「バッ・・・バカモノォ!!死ぬな!死ぬんじゃなぁーーい!!」
大量の血を吐く面堂に、動揺しながらもあたるはひたすら呼びかけた。
「も・・・諸星・・・こ・・・これを・・・」
面堂は自分の刀をあたるに差し出した。この動きさえも、今の彼には命がけなのだ。
「面堂・・・お前・・・」
「この・・・刀・・・は・・・ボクの・・・命の・・・次に・・・大切な・・・愛刀・・・だ・・・
どうか・・・受け取って・・・くれ・・・」
あたるを見つめる面堂の目は、真剣そのものだった。
「諸・・・星・・・ボクの・・・敵を・・・討って・・・くれとは・・・言わ・・・ん・・・
頼・・・む・・・死ん・・・だ・・・了子や・・・他の・・・みんなの・・・ため・・・にも、
絶・・・対に・・・奴を・・・フィリップを・・・倒・・・して・・・く・・・れ・・・」
「分かった。約束しよう」
あたるにこう返事された面堂は、満足げに微笑んだ。
「後は・・・頼ん・・・だ・・・ぞ・・・ラム・・・・さんを・・・幸せ・・・に・・・う・・・ぐううっ!」
これだけを言い残して、面堂は絶命した。
「面堂・・・お前はやはり・・・死ぬまで侍だったな・・・
ランちゃんから聞いたぞ・・・お前、オレを助けるためにラムたちと一緒に亜空間に行ったんだってな。
汚い奴だ・・・こんなどでかい貸しを作ったままくたばりやがって・・・
・・・これでは、もう一生お前に借りが返せんではないか」
あたるはこう呟くと、面堂の遺体のまぶたを閉じ、手を合わせてやった。
「面堂・・・許してくれ。全部オレのせいだ。オレがフィリップにやられたりしなければ、
あと5分早く着いていたら、お前も了子ちゃんも死なずに済んだかもしれないのに・・・」
あたるはうつむいたまま面堂の亡骸に話し続けた。
「ダーリン!」
「ご主人様!」
そこにランとお雪が現れた。あたるは驚いた。
「ランちゃん・・・お雪さん・・・なぜ・・・」
「ご主人様のおっしゃったとおりでしたわ。弁天も、しのぶさんも、竜之介さんも、他の皆様方も、
お亡くなりになっていました・・・それに、あの双子の姉妹と、大男もですわ」
お雪は無念の表情であたるにこう伝えた。
「ああ・・・やはりな・・・了子ちゃんも、そしてたった今、面堂も息を引き取ったところだ」
「そ・・・そんな・・・め・・・面堂さんまでが・・・」
あたるに面堂の死を告げられたランは、ショックを受けてこう言った。
「ところで、何で君たちはここにいるんだ?」
あたるは怒ったような声で聞いた。

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