Welcome To Another World(Chapter 14&15&16) (Page 2)
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「フィ・・・フィル!は、早くして!もう限界よ!!これ以上金縛りはかけられないわ!!」
メリッサは目で合図を送りながらそう訴えた。
「さあ、そこをどくんだ!どけなければ本当に殺すぞ!!」
フィリップはいっそう強く妹を威嚇した。
「お兄様・・・あなたは本当はやさしい人です。そんなあなたに、妹である私が殺せるはずがありません。
・・・さあ、もういいでしょう。帰りましょう。お兄様。私たちの星へ」
こう言われると、フィリップも観念したのか、両手を上げて降参のジェスチャーをした。
「・・・分かったよ、ジャンヌ。お前の言うとおりだ。オレがバカだった。やっぱり帰ろう」
この言葉を聞いたメリッサは仰天した。
「フィ、フィル!」
思わずこう叫んだ。それと同時にラムにかかっていた金縛りが解けた。
「お兄様・・・分かってくださったのね」
ジャンヌは歓喜のあまり、思わずフィリップに抱きついた。しかし次の瞬間だった。
ズボオッ
「う・・・ああああっ!!」
ジャンヌがそううめき声を上げたかと思うと、左胸から血が溢れ出ていた。そこにはフィリップの腕が刺さっていた。
フィリップが腕を彼女の左胸から引き抜くと、そこから真っ赤な血が飛び散った。
空中にいたジャンヌはそのまま墜落し、アスファルトに叩きつけられた。
「ジャ・・・ジャンヌ・・・!!ジャンヌーーーっ!!」
金縛りが解けたばかりのラムが、あわててジャンヌのもとに駆け寄った。
「ジャンヌ!しっかりするっちゃ!ジャンヌ!!」
必死に呼びかけるラムだが、もはやジャンヌは助かる見込みはなかった。
「ラムさん・・・お兄様を・・・止めて・・・これ以上・・・罪を・・・重ね・・・させ・・・ない・・・で・・・
う・・・うううっ!」
ジャンヌは涙ぐみながら、ラムに嘆願した。そしてそのまま息絶えた。
「ジャンヌ・・・!!ジャンヌーーーーっ!!」
ラムは彼女の名を叫んだ。しかし彼女が返事することはなかった。
「ハッハッハッハ!!バカめ!オレに妹が殺せるわけないだと?裏切り者を妹に持った覚えなどないわ!!ハッハッハ!!」
ジャンヌの血で染まった右腕を眺めながら、フィリップは高笑いをした。
その時この男が発した言葉に、ラムは激怒した。
「フィリップ・・・お前・・・ジャンヌを騙したのけ・・・?」
ジャンヌの亡骸を見つめ、フィリップに背中を向けたまま、静かに語った。怒りがにじみ出ていた。
「フン・・・こんな嘘に騙されるとは・・・あれは本当にお人よしだよなあ。そうは思わんか?ラム・・・」
悪びれた様子もなくフィリップは語った。
「お前・・・自分が何をしたのか・・・分かっているのけ・・・?」
「地球人などという下等生命体に与した裏切り者、愚か者に粛清を加えたのだ。違うか?」
「戦っていて気づかなかったっちゃ・・・?ジャンヌがお前を殺せるような攻撃を一度も仕掛けなかったことに・・・
ジャンヌは、お前みたいな悪党でも、自分にとってはたった1人のかけがえのない兄だと思っていたっちゃ。
どんなに悪事を繰り返したとしても、自分の手で殺すのは忍びない、何とか平和的にお前を止めたいと思っていたっちゃよ。
死ぬ間際も、お前を殺してとは一言も言わなかったっちゃよ!なのに・・・
どうしてお前にはその想いが分からなかったっちゃーーーーっ!!」
ラムがどれだけ一生懸命ジャンヌの気持ちを代弁しても、その想いはフィリップの心には届かなかった。
「黙れ!キサマの説教など聞きたくないわ!!キサマも今すぐあの世に送ってやる!!はああああーーーーっ!!」
両手に思い切り溜め込んだ電撃を、フィリップはラムに向けた放った。しかしラムの体が金色に光ったかと思うと、
その瞬間、フィリップが放った電撃がかき消された。
「な・・・なんだ・・・」
「なな・・・何なの・・・?この強大なエネルギーは・・・」
全身から突如、今まで見たこともないような凄まじい電撃エネルギーを発しているラムに、2人は戦慄した。
Chapter 15 汚い奴
「お前たち・・・もう絶対にここから生きては帰さないっちゃよ・・・!!」
ラムが全身から発するエネルギーはどんどん強くなっていった。
「フィ・・・フィル・・・!!」
メリッサは恐怖に震えながら、フィリップのもとに近づいた。
「これはウチとジャンヌの2人分の怒りだっちゃ!これを食らって2人ともジャンヌの所に詫びに行くっちゃーーーっ!!」
ラムは両腕を構え、2人で固まっているフィリップとメリッサに狙いをつけた。
「あ・・・あ・・・ああ・・・」
「ひ・・・ひいい・・・・・・」
フィリップもメリッサも、恐怖で動けなかった。2人とも正気を失っていた。
「ウチ、今までこんな強力な電撃を使ったことないっちゃ・・・でもこれなら、絶対にあいつらを倒せるっちゃ!
見てて、弁天、ジャンヌ、ダーリン・・・今からこのウチが、悪い奴らを退治してやるっちゃ!!」
この時ラムの頭の中には厳しくもいつも自分を励まし続けてくれた弁天、
インフェリオル族でありながら地球人のために精一杯尽くしたジャンヌ、

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