Welcome To Another World(Chapter 14&15&16) (Page 4)
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みんなは・・・何のために死んでいったっちゃ・・・ジャンヌは・・・どんな思いでウチに賭けたっちゃ・・・
死ねないっちゃ・・・!こんなところで死ぬわけにはいかないっちゃ・・・!!
父ちゃん・・・母ちゃん・・・レイ・・・それにテンちゃんに、鬼星のみんな・・・地球人の人たち・・・
みんなの敵を討つまで・・・!!)
「ウチは絶対に死ねないんだっちゃーーーっ!!」
ラムは絶叫した。そして最後の力を振り絞り、再三繰り返してきたが、今までで最大の電撃をフィリップに放った。
これを見たフィリップは仰天した。
「な・・・何いーーーッ!!?どこにそんな力が!!?う・・・うわああああーーーッ!!」
あまりに唐突な出来事だったので、よけることはおろか、受けることさえもできなかった。
青い閃光の中に、フィリップは消えた。ラムはその後しばらく、その場にふらふらしながら立ち尽くしていた。
「や・・・やったっちゃ・・・」
1分ぐらいしたとき、ラムは力なくこう呟いた。実際、彼女にはもう戦えるほどの余力などなかった。
全生命力を力に変えたのだ。
しかし、ラムが勝利を確信したその直後だった。
「うがあーーーーッ!!」
瓦礫の山の中から、血まみれになったフィリップが現れたのだ。かなりのダメージは受けていたものの、生きていた。
「ハア・・・ハア・・・まさか・・・まだこんな力が残っていたとはな・・・!!
だが・・・これまでだ・・・!!今度こそもうお前には余力など残ってはいまい!!」
フィリップには、まだ歩けるほどの力は残っていた。
「そ・・・そんな・・・」
その場に倒れこんだラムは、もはや指を動かすことさえできなかった。
フィリップはそんなラムの首根っこを左手で掴み、引き起こした。
「確実にお前が死ぬように・・・その首・・・掻っ切ってやる!!ははは!!
首から頭と体が離れたお前を見たときの諸星あたるの顔が見れないのが残念だぜ!!」
誇らしげにそう言い放つと、ラムを掴んでいない右手に電撃エネルギーを溜め込み、大きく振りかぶった。
(みんな・・・ごめんちゃ・・・敵・・・討てなかったっちゃ・・・
ジャンヌ・・・お前の兄ちゃん・・・止められなかったちゃ・・・
ダーリン・・・夫より先に死ぬ、妻失格のウチを・・・許して欲しいっちゃ・・・)
頭の中で辞世の句を述べ終えたラムに、フィリップの毒牙が容赦なく迫ったそのときだった。
ドカアッ
「うがあーーーーッ!!」
何者かに横から自分の頭を蹴られたフィリップは、30メートルは突き飛ばされた。
ラムはその場に倒れた。
「ぐっ・・・!!だっ・・・誰だっ!!?」
フィリップは起き上がりながらそう叫んだ。そして、視線の先に見えた人物を見て驚いた。
「も・・・諸星!?キ・・・キサマ・・・!!どうしてここに!?お前は死んだはずじゃ・・・!?」
「お前の魔の手からラムを救うために、地獄から舞い戻ってきたんだよ。お前の妹に案内人をしてもらってな」
驚きあわてるフィリップに、あたるは冗談めいて答えた。
「ぐっ・・・その姿は・・・キサマ・・・とうとう覚醒したのか・・・!!」
あたるが、もはや完全にスーペリオル族の姿をしているのを見て、唇を噛み締めながらそう呟いた。
そんなフィリップを睨みつけたあと、あたるはゆっくりとラムのほうに向かった。
「ラム!」
「ラムちゃん!」
そのとき、遅れていたお雪とランもその場に到達した。そしてあたるのあとを追うようにラムのほうに向かった。
「ラム!しっかりせい!オレだ・・・分かるか?」
ラムの肩を揺すり、あたるは呼びかけた。
「ダーリン・・・来てくれたっちゃね・・・うれしいっちゃ・・・」
ラムはこう答えた。見た目が全く変わっていたあたるの姿にも驚くことはなかった。
「ああ。お前のおかげだ!オレが今こうして生きているのは」
ラムの目をしっかりと見つめながら、あたるは言った。
「ダーリン・・・」
「ん・・・なんだ?」
思いつめた様子でそう呼びかけたラムに、あたるは返事した。
「今まで・・・本当にごめんちゃ」
「な・・・何だよいきなり!やめろよ、バカ!何謝ってんだよ」
突然こう言ったラムに、あたるは当惑した様子で答えた。
「ダーリンに今まで・・・電撃を食らわせたり・・・ハンマーで殴ったり・・・痛かったでしょ?」
「何だ、そんなことか。お前は何も悪くない。悪いのはオレだ。自業自得さ。
お前が、お前だけがいつもそばにいてくれたのに、オレはそのことに感謝することもなく、
いつもほかの女の尻を追いかけていたんだからな。お前が怒るのも当然だ。
オレはお前に感謝している。今までずっとオレに愛想を尽かすこともなく、一緒に暮らしてくれたことを。
オレの傍若無人な振る舞いにずっと耐えてくれたことを。だめ人間のオレに誠心誠意尽くしてくれたことを。
そして、こんなオレのことを夫だと言ってくれたことを、お前が自分のことをオレの妻だと言ってくれたことを。
やっぱりオレみたいな男には、お前じゃなきゃだめなんだよ。お前以外、オレの妻は務まらん」

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