うる星やつら しのぶのストレンジストーリー(前編) (Page 1)
Page: 01
02
03
04
05
うる星やつら
しのぶのストレンジストーリー(前編)
第一章
わたしの名前は【三宅 しのぶ】ごく平凡な女子高生だった。あの日までは……
あれは、私が高校2年の冬の事だった。私は母にお使いを頼まれて隣町まで行っていたのだけど、母に頼まれた買い物は終わり後は、なじみの喫茶店で紅茶を飲みながらゆっくりと本を読むのが至福の一時だった。
私が、喫茶店に向かって歩いていると通りの向こうに一瞬見覚えのある子狐を見た気がした。私は立ち止まり、もう一度通りの向こう側を見ていたが子狐の姿は見つからなかった。私は
(気のせいかしら……)と思い、再び歩き出した。そして、交差点で信号が青になるのを待っていると、通りの向こうに再び子狐の姿を見た。すると私に気づいた子狐は、私に向かって道路を横断し始めたのだ。信号はまだ赤だ、私の体は考えるより速く動いていた。私は
「きつねさん!!」と叫び子狐を抱き上げた。その時
キキーーーーーー!!!
と、けたたましい音が聞こえたかと思うと、わたしの体を激しい衝撃が襲いその瞬間私の目に映ったのは真っ青に晴れた空だった。そして、腕の中には子狐の小さな心臓の鼓動が感じられ、私が強く子狐を抱きしめた瞬間、今度は頭に強い衝撃を感じ、私の意識は薄らいでいった。
次に私が目を覚ました時に見えたのは、真っ白な天井……。私は首を動かし周りを見ると、窓には白いカーテン、私はベッドに寝かされているらしく私のベッドのすぐ隣にはテレビなどで良くみる、血圧や心拍数をチェックする為の医療機器が有った。それを見て私は
(ここは…………病院……)と、自分が居る場所を把握した。でも記憶が混乱してるのか、何故私が病院のベッドの上に居るか解らなかった。するとその時、病室のドアが開き誰かが病室に入って来た。私がドアの方に目を向けると、そこには花を活けた花瓶を持った母の姿が有った。母は私の顔を見るなり
「し、しのぶ……しのぶ!意識が戻ったのね!」と言うと、慌てて花瓶を近くの棚の上に置くと病室から出て行った。遠くで母の声が聞こえる。
『先生ー!しのぶが!しのぶが目を覚ましました!』
どうやら母は私の事を先生に知らせに行ったらしい。しばらくして母は、主治医らしき先生と一緒に病室に戻ってきた。先生は私の側までくると
「具合はどうですか?ちょっと簡単な質問させていただきますね」と言った。私が軽く頷くと、先生は
「私は、あなたの担当医の鈴木と言います」と言うと、ニコリと笑った。そして鈴木先生は
「では、まずあなたの名前を教えて下さい」と言った。私が
「三宅しのぶです」と答えると、鈴木先生は頷き次の質問に
「ではしのぶさん。あなたは何故ここに居るか分かりますか?」と聞いて来た。私は必死に記憶を辿ったが、全く思い出せず 「……思い出せません……」と言った。鈴木先生は軽く頷くと、今度は
「それでは、今度は右手を動かして下さい」と言った。私は言われるままに右手を少し上げると先生は
「では今度は左手を」と言った。私は今度は左手を少し上げた。すると鈴木先生は今度は私の足の方へ行き、右足と左足を動かす様に言われたので、言われるがままにした。一通りの検査?が終わった所で鈴木先生は再び私の顔を見ると、さっきとは違った真剣な表情で
「しのぶさん、あなたが何故ここに居るか説明します」と言った。私は、不安を感じながらも先生の目を見て頷いた。それを見て先生は説明を始めた。
「しのぶさん、あなたは事故で車に跳ねられこの病院に運ばれて来ました。あなたが運ばれて来た時は頭部に強い衝撃を受け意識の無い状態でした。しかし、処置が速かったので命に別状は有りませんでしたが、意識が戻らなかったのです。そして今日、あなたは目を覚ましたと言う事です」先生の説明を聞いた私は
(……私が事故に……)と思い、先生に聞いてみた。
「私は、どのくらい眠ってたんですか?」すると鈴木先生は
「約2週間です」と言った。わたしは窓の方に顔を向け、窓の外を見ながら
(2週間かぁ……でも、そのくらいなら学校も大丈夫よね)と思った。その時鈴木先生が
「2週間で意識が戻ったのは、不幸中の幸いです。中には、1年以上意識が戻らない方も居ますからね。でも、しのさんの場合は別の問題が有ります」と言った。それを聞いた私は
「別の問題?」と聞き返すと鈴木先生は、一呼吸置くと
「しのぶさんは事故にあわれた時、頭部に強い衝撃を受けました。その際に脳の運動を司る神経に重大なダメージを負ってしまったんです」と言った。私は先生の言おうとしてる事が分からず
「つまり、どう言う事ですか?」と聞いた。すると鈴木先生は
「しのぶさん、落ち着いて聞いて下さいね。あなたは、下半身に麻痺が出ています」と言った。私は先生が何を言ってるのか理解出来ず
「え?麻痺?何言ってるんですか?私、さっき足動かしましたよね?」と言うと鈴木先生は
Page 2
戻る
Page: 01
02
03
04
05