うる星やつら チェンジ・ザ・ライフ 最終章 幻 (Page 2)
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 〈僕だ!泉だ!〉と聞こえた。ラムは、そっとドアを開けるとドアの向こうには泉が立っていた。ラムはすぐにドアを勢い良く開けると周りに注意しながら泉を部屋に入れた。そしてドアを閉めてすぐに泉の方に振り向くと
 「ダーリンはどうしたっちゃ?」と聞いた。すると泉は近くに有った椅子に座ると
 「諸星君には囮になってもらう」と言った。それを聞いたラムは泉に詰め寄り
 「ダーリンが囮?どう言う事だっちゃ!」と声を荒らげた。しかし泉は慌てる様子も無く、平然とした表情で言った。
 「僕のデータを銀河パトロールの本部まで転送するには大出力の通信装置が必要なんだ。そして、その通信装置の有る通信室は、当然の事ながら警備が厳重だ。普通に行ったら、たちまち捕まってしまうだろう。そこで、陽動が必要になる。幸い通信装置の有る部屋と諸星君の居る隔離部屋は建物の端と端だ。だから諸星君が隔離部屋周辺で騒ぎを起こしてくれれば人員がそちらにまわるので、通信装置の有る部屋の警備は手薄になるハズだ」するとラムは
 「じゃあ、うちもダーリンと一緒に囮になるっちゃ」と言うと部屋を出て行こうとしたが、泉が、そんなラムをひきとめた。
 「待って!ラムさんには僕と一緒に通信室に来てもらわないとならないんだ!」泉の言葉にラムは
 「何でだっちゃ?お前なら自由に施設内を動けるんじゃないっちゃ?うちが居なくても通信室までたどり着けると思うっちゃよ」と言ったが、泉は申し訳なさそうに
 「実は、このメモリーチップはラムさんのブレスレットと連動していて、半径3メートル以内にブレスレットを着けたラムさんが居ないとデータを開けないんだ」と言った。するとラムは怪訝な顔で言った。
 「どう言う事だっちゃ?」泉は、ひきつった顔で話始めた。
 「実は、万が一に奴等の手にこのメモリーチップが渡っても、データを開けない様にしたんだ。このメモリーチップとブレスレットを着けたラムさんが一緒に居ないとデータを開けない様に…」それを聞いたラムは
 「奴等にデータを奪われない様にしたのはわかったっちゃ。でも、何でうちなんだっちゃ?」と聞くと泉は
 「た、たまたまラムさんがブレスレットをしてたから手っ取り早く…」と言った。ラムは頭を抱えながら
 「だったら、ブレスレットをお前に渡すからお前がブレスレットを着ければいいっちゃ」と言った。しかし泉は
 「いや、そのブレスレットはラムさん以外の人が着けても起動しないんだよ」と泣き出しそうな顔で言った。それを聞いたラムは
 「全く!大した作戦だっちゃ!」と言うと腕を組んで泉を見つめた。
 その頃、隔離部屋のあたるはラムのUFOから持って来た道具を出すと
 「さてと、まずはこの道具がどんな物か確かめないとな」と言って、道具を良く見てみると、それはどうやら握ってボタンを押すだけの様だ。あたるは早速使ってみようと道具を握った時、突然激しい睡魔に襲われた。その睡魔はまさに、過去とリンクする時のものであたるは
 (くっ、何で今…)と思い抵抗したが、それも虚しくあたるは眠りに落ちてしまった。
 あたるが目を覚ますと目に入ってきた光景は………
  牢獄の様な部屋
 あたるは我が目を疑い周りを見回したが、そこはやはり隔離部屋だった。手には小さな道具が握られている。あたるは
 (間違いない、ここは元いた部屋……また夢を見なかった)と思ったが、別の事が気になった。
 (はっ!俺はどの位寝てたんだ?)あたるは思わず見張りの男に聞いた。
 「おい!俺がここに入ってからどの位経った!」見張りはあたるの声にドアの鉄格子越しに部屋の中を見ると、あたるに言った。
 「は?お前何言ってるんだ?まだ20分くらいしか経ってないぞ」それを聞いたあたるは
 (なに?20分だと?すると俺が寝ていたのは15分足らずと言う事になる)と思った。あたるは前回も夢を見なかった事もあり、多少疑問が有ったが今はそんな事よりもしなくてはならない事があった。あたるはこの隔離部屋に来る途中で泉が言っていた事を思い出した。
 『諸星君には、隔離部屋に入ったら騒ぎを起こして欲しい。それと言うのも、僕が銀河パトロール本部に転送したいデータは通信室からじゃないと転送できないんだ。そして当然通信室の警備は厳重だろう。幸いこれから君の行く隔離部屋と通信室は建物の端と端に有るから、諸星君が隔離部屋で騒ぎを起こせばそちらに人員がまわり、通信室の警備が手薄になるはずだ。僕は、その隙に通信室に入り込みデータを転送する。本部がデータを受け取った瞬間、周辺に待機している銀河パトロールの隊員達が組織の施設に潜入し、奴等を拘束して組織を壊滅させる作戦だ』
 泉は、あたるが騒ぎを起こしたタイミングを見て通信室に行くに違いない。あたるは、手に持った道具を見て

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